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2話
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一方その頃、クロイツ邸ではカナリアのドレスの試着が行われていた。
「私には派手じゃない?」
「そんな事はない。よく似合ってるぞ」
カナリアはロナルドの瞳の色と同じサファイア色のドレスに身を包み、白い長髪を軽く纏めていた。
彼女の肌は完全に蛇の鱗が無くなり、包帯やガーゼもない真っさらな状態だった。
「本当なら10着は欲しいところだったんだが…」
「いいってそんなに!4着でも多いのに妥協した方だよ?」
「謙虚だな。そんな所も好ましいが…」
「うむ…」
こうしてロナルドがカナリアを屋敷に呼ぶのは少なくない。
特に呪いの兆候が全くなくなった日を境に、彼は何かと理由をつけ屋敷へ連れてきていたのだ。
その為、カナリアは使用人達にも顔が知れ渡ってるのだが、彼女が平民だからと言って誰も嫌な顔1つしなかった。
それもそうだろう。
屋敷の主人が長年想い続けた相手を嫌悪するような度胸など、誰にも持ち合わせていないのだ。
「本当に平民の私が結婚して…領民は納得する?」
「させる。何が何でもな」
「何ていうか、根性論っぽいよ。らしくない」
「かもな。お前が絡むと冷静さを失う」
そう言うとロナルドはカナリアをソッと抱きしめる。
その手つきは優しく、まるで陶器を扱うかのように彼女を包み込む。
「もうすぐ皆にお前が俺のものだと知らしめられると思うと楽しみだ」
「ロイ…」
「16年。とても長かった」
「本当にね…。ごめんね、待たせちゃった」
カナリアはロナルドを抱きしめ返す。
しばらく経ち、力を緩めた2人は顔が近づく。
あと少しで重なる、そんな時。
「旦那様!奥様!!」
「「!?」」
バンっ!と扉が開くと同時に2人は思い切り離れる。
あまりに突然のことでお互い息を切らすような呼吸をしてしまっていた。
扉の前には若い使用人が手に手紙を持って立っており、2人の様子を見てキョトンとしていた。
「い、いきなりどうした!?」
「も、申し訳ありません!ノックも無く!!しかし旦那様!王宮より伝達が!!」
「王宮?至急の仕事は無いはずだが…」
ロナルドは首を傾げる。
カナリアも続いて首を傾げる、が「あ」と心当たりがあるかのような声を上げる。
「王宮といえばアルバート殿下が廃嫡になったんだよね?」
「そうなのか?」
「魔法省で噂になってた。男爵家の庶子と結婚するんだって」
彼女は16年前辞表を魔法省に提出したが、受理されていない。
その為、無期限の休養と称しており、復帰後は度々魔法省へ顔を出していたのだ。
「いえ、アルバート殿下の事は関係なく…」
「なら王宮からなんと?」
「奥様の娘、サリナ様と第三王子アルト殿下との婚約の文が届きました!!」
「「は?」」
カナリア、ロナルドは同時に声を揃えた。
そして…。
「「はぁぁぁあ!?」」
「ななななんで急に!?確かにアルト殿下とお友達だって聞いてたけど、そういう仲だったの!?」
「娘はまだやらんぞ!!せめて俺を倒してからにしろ!」
「何年かかる気よ!!と、とにかくサリナにも確認取らないと!」
「俺は王宮へ向う…って、カナリア!ドレスのまま行くな!せめて着替えろ!!」
夫婦(まだ)は慌ただしく動くのだった。
「私には派手じゃない?」
「そんな事はない。よく似合ってるぞ」
カナリアはロナルドの瞳の色と同じサファイア色のドレスに身を包み、白い長髪を軽く纏めていた。
彼女の肌は完全に蛇の鱗が無くなり、包帯やガーゼもない真っさらな状態だった。
「本当なら10着は欲しいところだったんだが…」
「いいってそんなに!4着でも多いのに妥協した方だよ?」
「謙虚だな。そんな所も好ましいが…」
「うむ…」
こうしてロナルドがカナリアを屋敷に呼ぶのは少なくない。
特に呪いの兆候が全くなくなった日を境に、彼は何かと理由をつけ屋敷へ連れてきていたのだ。
その為、カナリアは使用人達にも顔が知れ渡ってるのだが、彼女が平民だからと言って誰も嫌な顔1つしなかった。
それもそうだろう。
屋敷の主人が長年想い続けた相手を嫌悪するような度胸など、誰にも持ち合わせていないのだ。
「本当に平民の私が結婚して…領民は納得する?」
「させる。何が何でもな」
「何ていうか、根性論っぽいよ。らしくない」
「かもな。お前が絡むと冷静さを失う」
そう言うとロナルドはカナリアをソッと抱きしめる。
その手つきは優しく、まるで陶器を扱うかのように彼女を包み込む。
「もうすぐ皆にお前が俺のものだと知らしめられると思うと楽しみだ」
「ロイ…」
「16年。とても長かった」
「本当にね…。ごめんね、待たせちゃった」
カナリアはロナルドを抱きしめ返す。
しばらく経ち、力を緩めた2人は顔が近づく。
あと少しで重なる、そんな時。
「旦那様!奥様!!」
「「!?」」
バンっ!と扉が開くと同時に2人は思い切り離れる。
あまりに突然のことでお互い息を切らすような呼吸をしてしまっていた。
扉の前には若い使用人が手に手紙を持って立っており、2人の様子を見てキョトンとしていた。
「い、いきなりどうした!?」
「も、申し訳ありません!ノックも無く!!しかし旦那様!王宮より伝達が!!」
「王宮?至急の仕事は無いはずだが…」
ロナルドは首を傾げる。
カナリアも続いて首を傾げる、が「あ」と心当たりがあるかのような声を上げる。
「王宮といえばアルバート殿下が廃嫡になったんだよね?」
「そうなのか?」
「魔法省で噂になってた。男爵家の庶子と結婚するんだって」
彼女は16年前辞表を魔法省に提出したが、受理されていない。
その為、無期限の休養と称しており、復帰後は度々魔法省へ顔を出していたのだ。
「いえ、アルバート殿下の事は関係なく…」
「なら王宮からなんと?」
「奥様の娘、サリナ様と第三王子アルト殿下との婚約の文が届きました!!」
「「は?」」
カナリア、ロナルドは同時に声を揃えた。
そして…。
「「はぁぁぁあ!?」」
「ななななんで急に!?確かにアルト殿下とお友達だって聞いてたけど、そういう仲だったの!?」
「娘はまだやらんぞ!!せめて俺を倒してからにしろ!」
「何年かかる気よ!!と、とにかくサリナにも確認取らないと!」
「俺は王宮へ向う…って、カナリア!ドレスのまま行くな!せめて着替えろ!!」
夫婦(まだ)は慌ただしく動くのだった。
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