【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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初めまして、獣人の王族様

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 オールは完食。

「美味しかったな」

 って、コレが美味しい!
 美味しいって言ったよね?

「ユアは少食なんだな」
「……あはは、ゴメンネ」

 水煮魚に柑橘汁かけ野菜、まともそうに見えるパンは固いし料理が好きな私には無理、これ以上食べれない!
 もしかして、王宮の食事もこんな感じなのかな?
 だとしたら私、拒食症気味になる前に餓死しちゃうじゃん!
 なんとかしたい。
 ここで言うのは失礼だから、王宮へ向かう時に言おう!
 お会計を済ませ。
 いざ王宮へ!


 オールは私を抱えたまま、ドラゴンに跳び乗った。

「ひゃあっ!」

 ビックリして素っ頓狂な声を出してしまった。
 獣人さんだから跳躍力も凄いんだなって感心しながらも、抱えられるのはまだ慣れない。

「大丈夫、俺は絶対に落としたりしないから」

 街を離れたから今聞いてみよう。

「ねえオール。
 王宮の食事って美味しい?
 さっきの食事みたいにオイシイノ?」

 最後は棒読みになっちゃったよ。

「あぁ、パンは同じだが料理はこの世界で一番って言われてるよ」

 世界で一番なら大丈夫だよね。
 パンは、仕方ないけど他が美味しいなら言う事なし。


 王宮に着く前にアレを思い出しておかないと!
 アレといえば、そう!
 異世界で女性が王族や貴族に挨拶する時のポーズ『カーテシー』だ。
 確か、両手でスカートの左右を摘み、少しだけ持ち上げて、片足を後ろに引いてもう片方の足を曲げて腰を落とし、背筋を伸ばしたまま声がかかるまで、そのままの姿勢で待つだったよね?
 本当なら足を斜めに後ろへ引き、足をクロスするようなのが本当のカーテシーなんだけど、転ぶと台無しだし、簡単な方のカーテシーにしよう。
 自分の事を『わたし』から『』と呼ばないとね。

 カーテシーの『シミュレーション』を王宮に着くまで何度も何度も繰り返した。



「ユア、王宮に着いたよ」

 綺麗な色とりどりのお花沢山咲いており、手入れがされた低木や花が咲き誇った大きな木にも色とりどりだった。
 王宮は薄いクリーム色。
 ドラゴンが降りやすいように作られている円形状の広場に降りた。



 ドキドキ感が半端ないくらい頭の天辺まで響いて、口から心臓が出てしまいそう。
 手の平に『人・人・人』って書いて飲み込む!
 コレで大丈夫、たぶんね。



 謁見の間へ着き。

「お帰りなさいませ、殿下」

 扉の前にいた騎士様は敬礼をし、扉を開けてくれた。



 中に入ると、凄く綺麗だし大きい!
 色々な形のシャンデリアに置物。
 中は日本武道館並みの大きさ。
 王様とお妃様は王座に座っており、横には王女様? 皇女様? が立っていた。
 皇女様って呼んだ方が良いわね。


「オールよ。
 よくぞ戻った」

 にこやかに話す王様。

「父上。
 こちらの女性が大切な愛しの『ユア』です」

 今だ!
 ゆっくりと綺麗なカーテシーをし。

「お初に御目にかかります。
 わたくしは、ユアと申します」

 をしたまま姿勢を崩さず笑顔で挨拶をした。
 オールは目を見開き、王族の皆さんも初めは驚いていたものの笑顔に変わり。

「ユアよ。
 よくぞこの世界へ来てくれた。
 ありがとう。
 姿勢を崩してくれ」

 姿勢を戻すと、オールも王族の皆さんも笑顔になり、カーテシーを褒めてくれた。

「私はルーヴェン・ブラック・オニキス。
 『父』と呼んでくれると嬉しい、義父になる日が待ちどうしいな」
「わたくしはメーリア・ブラック・オニキスですわ。
 『母』と呼んで下さいな」
「わたくしはリアローズ・ブラック・オニキスですわ。
 オールの姉ですわ、わたくしの事は『お姉様』と呼んで下さいませ」
「わたくしはリリーティア・ブラック・オニキスですわ。
 オールはわたくしのお兄様ですが、ユアより歳上なので『お姉様』と呼んで欲しいのです」

 私は皆様に微笑み。

「はい、お義父様、お義母様、お姉様方」
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