【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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ディロールの王宮へ到着です

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 風耐性の魔法をかけてもらい、出発したもののフィーリア大陸が途切れた瞬間に哀愁感あいしゅうかんが漂って来た。
 優しい獣人の皆の顔が頭一杯になり、涙が頬を伝っている。
 私は涙を手の裏で拭い『頑張ってやる!』と心の中で叫んだ。
 でも気が弱くて、時間が経つにつれて不安な気持ちになっていた。

 ドラゴンの移動スピードは速く、中央大陸であるディロールへと即着いた。
 このまま学園ではなく、ディロールに住む人間側の王族へ謁見しなくてはならないのだ。

 ディロールの王宮に、王族とバールナ公爵家が勢揃いして待っているとの事なので、真っ先に王宮の広場へ降りた。
 ソフィーリアの王宮の方が大きいと思った事は内緒にしとこう。

 オールとユージンが見えた時の女性の声?   悲鳴が凄かった!
  
「キャアアァァァッ!
 オパール王子様よ!」
「何度見ても素敵よ!」
「私を見て下さい!!」
「いいえ、私を見て下さい!」

 どう突っ込めば良いのか。

 学園に行ったら、半端ない嫉妬の嵐なんだろうな。
 ユージンはフェンを抱いたまま広場へと降りた。

「宰相のユージン様よ!」
「素敵すぎよ!
 子犬と一緒の姿は貴重だわ!」
「オパール王子様とユージン宰相様!
 私を見て!!」

 またしても黄色い声の嵐が凄すぎ!

 まあ、気持ちは分かるよ。
 この二人って、桁違いにすぎだもの!
 あ~~、学園での生活が心配になって来たよ。
 少し項垂れる私。

 オールもユージンも素知らぬ顔で。

「ユア様、ディロールの王宮に着きましたよ」
「ユア、着いたから降りるよ」

 私を抱きかかえたままオールは広場へ降りた。

「何あの子!」
「ちょっと見て!
 あの髪と目!!」
「何でオパール王子様とユージン様と一緒にいるのかしら!」

 などと文句……いいえ、嫉妬の嵐。

 学園ではこれ以上になるんだから耐えるのよ私!
 友達が見つかると良いな。
 そんな事を思いながら広場を後にした。

 王宮へオール、ユージンとフェン、私の順で入ろうとした時だった、建物の入り口を警備をしている兵士に腕を掴まれ、呼び止められた。

「そこの者!   待てっ!!」

 最後尾の私は強く腕を掴まれ、痛みで声が漏れてしまった。

「……っ、い、痛っ……!!」

 オールは低い声で「ユアに触るなっ!!」睨みながら兵士の腕を掴んだ。
 また『忌子』とか言われるんだろうなと思っていたら。
 オールに抱き寄せられ、ユージンとフェンも私を守るようにして兵士と私の間に立った!
 後ろで女性達の黄色い悲鳴があったが、今はそれどころではない。
 オールは今まで見た事ない鋭い目つきで兵士を睨みながらを出していた。

「汚い手で俺のユアに触るな!」

 きゃあぁっ!   この抱きしめられた姿にシチュエーション、今まで好きな人や恋人がいなかった私にとって国宝級の貴重なシーンだわ! などと私の脳内が言っている。
 ユージンにフェン、庇ってくれてありがとう。

「グルルルッ!」フェンが唸った。

「貴方こそ、こちらの方をご存じ無いんですか?
 この方はオパール皇太子殿下の番であり、御婚約者様です!!
 以後『口や言葉』には気をつける事だ、貴方の顔は覚えましたから『次』があれば貴方は生きていないかもしれませんね!」

 そこって、ニコニコ顔で言うところ?
 ユージンの顔は笑ってるけど目が、目が怖いよ。
 兵士はお辞儀をし。

「も、申し訳ありませんでした! 以後気をつけます!」

 オールとユージン、フェンも分かってたみたいだけど。
 兵士は歩き出した私を憎らしそうに睨んでいた。

「ジン、後で父上に報告とメイドを二人要請するよう知らせてくれ!
  はぁぁっ、初っ端からアレじゃあユアが危険だ!!」
「御意!」

 初っ端から揉め事って、日本のことわざで言えば『人生山あり谷あり』だよ。
 頑張れ私! 自分で自分を励ました。
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