【完結】番である私の旦那様

桜もふ

文字の大きさ
31 / 96

ディロールの王族への謁見

しおりを挟む
 謁見の間へと続く廊下を歩いている時に、オールの事をチラッと見ると(うわぁっ、怖い顔になってる)見た事も無いような怖い顔だった。
 番であるオールには私の不安になっている気持ちが伝わったのか、私を見た後。

「俺達が居るから大丈夫だからな」

 いつもの優しい顔に戻り、ユージンもフェンも私を安心させるかの様に微笑んで一言。

「大丈夫ですよ」
「我がずっと側に居る、安心しろ」

 うん! と頷き謁見の間まで無言で歩いた。
 オールは私の腰を抱いたまま、謁見の間の前に居る騎士を見ると。

 騎士は私を見て言った。

「あの、オパール皇太子殿下、そちらの者は……」

 言いかけた時、二人と一匹の鋭い目つきで怯み。

「申し訳ありません!!」

 の一言で、謁見の間の扉が開いた。

「どうぞ……(魔族女)」

 憎らしそうに私を睨みながら、微かに聞こえた声に言葉。
 ここでも睨まれたり嫌味を言われてるんだ、そんなに黒が駄目なのかしら。

 私はこの容姿を醜いなんて思った事ないわ。
 可愛くなくて平凡な容姿だけど、でも私は気にいってるんだから!
 異世界ではシャンプーとリンス、トリートメントにボディーソープなんてないでしょっ!!
 私の髪の毛、この世界の誰よりもサラサラしてる自信あるんだから!

 ちょっと脳内で愚痴ってしまった。


 オールは騎士を睨み、私の腰をギュッと自分の方に寄せた。


 王様の周りに関係者や身内の方達が集まっていた。
 ディロールの王様の前まで行き、えっ!
 王様まで目つきが変わったのが分かった。

 私は勇気を出し、挨拶の為にオールから少し離れ、背筋を『ピンッ!』と伸ばし、綺麗で優雅なカーテシー!

「お初にお目にかかります。
 わたくしはソフィーリア大陸、第一継承者オパール・ブラック・オニキス皇太子殿下の』と申します。
 皆様、以後お見知り置きを!」

 王様の声がかかるまでずっとをしたままだ。

「………!!」
「………!!」

 ディロールの王族は私の丁寧で綺麗なカーテシーを見て驚いている。


 これくらいなんともないんだけどね。

 地球では学校に体育という授業があって、そっちの方がキツイんだよ?
 バランスも崩さずピクリとも動かない私。
 笑顔の方がカーテシーよりキツイ!
 顔には出さないけど。

 何これ、小さなイジメ?
 もしイジメまがいなら大人としてどうなのかと思うけれど。


 ………。
 ………。
 ………。
 何も言わない王族に対して、オールとユージンはイライラしている。

 フェン! 今はまだ大人しくしててね。


 ざっと15~20分は経ったと思うんだけどなぁ。

「よい、分かった。
 オパール皇太子殿下よ、で間違いないのか?」

 ゆっくりバランスを崩さず姿勢を戻し、オールの隣へと移動した。
 王様なのに疑うんだ?
 なんか腹が立つな、脳内では王様の王冠を取ってハリセンで叩いていた。

「我らを疑っているのか?」

 オールは低い声で王を睨みつけた。
 その様子を見た、腰まである黄緑色の髪に水色の瞳の女性が前に出て来た。

「オール様! ごめんなさい。
 でも、皆が変な目で見てしまうのは仕方ないと思うの。
 だって髪も目もなんですもの!
 あっ、私はバールナ公爵家ので~~す」

 エヘっ! って舌を出して微笑んだ。

 だが、オールとユージンは怒りを抑えて、公爵に申した。

「バールナ公爵、貴方のにはもっとを入れた方が良い!
 が、もう手遅れだろう……バールナ公爵、一応だが……には見切りを考えた方が良い」
「ルリナ嬢よ、オパール皇太子殿下には決して近づきませんよう申し上げます!」

 ………。

 何を言って良いのか分かりません。
 ルリナ様は何て言ったの?
 さっき普通にで「」って言ったよね?
 聞き間違いではないよね。

 隣国の王族に対して愛称呼びは不敬になるのでは?
 えっと、頭は大丈夫かな?
 頭の中『』でいっぱいなのかな?


 オールに肩を抱かれた時に、ルリナ様と目が合ったけど、怖い顔で睨まれた!
 コワッ!!
 この睨んでる子と暮らすんだよね?
 これは私がというかな?

 なんか前途多難な幕開け? スタート? になりそう!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

処理中です...