【完結】番である私の旦那様

桜もふ

文字の大きさ
36 / 96

オールとユージンの激怒!

しおりを挟む
 私は会って話す勇気がなかったのもあり、手紙で昨夜の出来事と火傷の事を手紙に書く事にした。

『親愛なるオールへ
 昨夜、ルリナ様が第二王子様がいる王宮で生活すると立ち上がった時に、椅子で転んだのを笑ってしまって……。
 熱い紅茶を顔にかけられ、火傷をしてしまいました。
 笑ったわたくしが悪いんです!
 公爵家の皆様は何度も何度も謝ってくれました。
 公爵家の皆様は悪くないんです!
 悪いのは……笑ってしまったわたくしなのです。
 これは笑った罰なのです。

 お願いがあります、公爵家の皆様には酷い事をしないで下さい!
 お願いします。

 直接会って言う勇気が無かったので、手紙に書き留める事にしました。
 オール、顔が凄く痛いよ。
 助けて。
 治癒が使える方は王宮にしかいないんだよね?
 ディロールの王宮には行きたくない。
 可能なら……ソフィーリアで治癒だけして、直ぐにディロールへ帰る事は出来ないかな?
 返事を待ってます。

 ユアより』

 これで良いよね?

「フェン、この手紙をオールの所へ届けて欲しいの。
 頼めるかな?」
「主の怪我の為だ、直ぐに行って来る!」

 シュッッ! と直ぐに姿が消えた?
 速い動き、さすが伝説のフェンリルだわ。

「主よ、アイツらが怒っている!
 今、ここに……もう来たみたいだな」

 カタカタカタカタッッッッ!!

 えっ、何? この異様な威圧感……オールとユージン?
 急いで、外に行かなきゃっ!
 あと、公爵様に学園へ行くのを延期にしてもらうように話もしておかないと。

 外へ出ると、オールとユージンが私の顔を見て『ツノ』が2本も出てるし、ユージンは毛が逆立ってる!

「ユアっ!!
 こんな、痛かっただろう?
 あの女……!!」
「あぁっ、ユア様……なんて事だ!
 今直ぐにソフィーリアで治癒してもらうよう手紙を出しました。
 学園は延期で良いでしょう!」

 公爵家の皆様が一斉に頭を深く下げて謝罪をした。

「うちの愚女、馬鹿娘が大変な事をしてしまい誠に申し訳ありません。
 処罰は覚悟しています」

 私はバールナ公爵の皆様とオール達の間に入り言葉を発した。

「オール、ユージン、公爵家の皆様は悪くないんです!
 処罰はわたくしが受けます!
 お願いします、皆様に処罰は与えないで下さい!」

 オールとユージンに深く頭を下げてお願いをした。
 オールは私をソッと抱きしめて言った。

「処罰はあの女、公爵の娘だけにするから安心してくれ!
 父上達が激怒している、今は治癒が先決だ。
 公爵よ、学園への連絡をお願いしても良いか?
 期間は1週間」

 バールナ公爵当主は頭を下げて「分かりました」と一言。

「オール、公爵家の皆様には何もしないわよね?
 ディロールに来て、優しく接してくれたのはバールナ公爵の皆様だけなの。
 ルリナ様は、ちょっと違うけれど……」
「ユア、大丈夫だ。
 公爵家の皆には何もしない、安心してくれ。
 あの女は別だがな……公爵よ、再度忠告するが……娘をどうするかを考えた方が良い」
「はい、娘には幾度となく教育に力とお金をかけて来ました。
 ですが『ヒロイン』と言う可笑しな言葉しか頭に無く……。
 公爵家では前々から話し合っていた『公爵剥奪』をし、娘とは縁を切る覚悟です!」

 オールとユージンは、バールナ公爵に微笑み頷いた。

「そうか、そこまで考えているなら何も言うまい。
 バールナ公爵がディロールで住みづらくなった時には、ソフィーリアへ移住する事を許可する。
 遠慮なく申してくれ!」

「オール、ユージン、ありがとう。
 バールナ公爵家は、わたくしのもう一つの家族だから、その言葉が凄く嬉しい」

 笑った瞬間に激痛が走り、両手で顔を覆いながら屈んだ。

「ううぅぅぅっ、痛いっ!
 ……痛いよっ!!」
「学園には私共が伝えます。
 ユア様をお早く治癒してあげて下さい。
 ユア様、本当に申し訳ありません!」

 私は泣きながら、左右に顔を振り「公爵家の皆様は悪くない」と何度も言った。

「ジン急ぐぞっ!
 バールナ公爵、失礼する」

 私はオールにソッと抱かれた後、傷に刺激がかからない様にゆっくりとドラゴンの側まで歩いた。
 私とフェンはオールとユージンのドラゴンに乗って、ソフィーリアへと急いだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

処理中です...