【完結】番である私の旦那様

桜もふ

文字の大きさ
38 / 96

療養中の私は眠り姫?

しおりを挟む
 オールが私を運ぼうとする前に、従魔であるフェンの背に乗せたまま、スタスタと私の部屋まで運んでくれたのだが、フェンも心配していたのだから今はフェンに任せようとオールは思い、後ろから見守っていた。
 私専属メイドのランとメイド頭のアミンがドアを開けたり、掛け布団をめくってくれたりと皆で付きっきりの状態だ。
 フェンの背からゆっくりと、ユージンがベッドへ運んでくれていた。

 王様、王妃様、皇女様方は部屋のソファーに座り、王宮の皆は次々に出入りをし、私の頭を撫でて無事を確認しては微笑んだ後、王族の皆様に挨拶をして職務へと戻って行った。
 オールはユージンとこれからの事を、テラスにある椅子へと移動をして座り話し合っている。
 もちろん私とディロールの事をね。

 ディロールのフォーリン学園には、獣人がいないのもあるが一番の問題が『あの女』である。

 魔術が使えるのは厄介だし、オール程の強い獣人もピタリと停止させてしまう力、それに公爵令嬢にもかかわらず、あの礼儀が無い態度、疑問に思う二人は、この事を王様に話聞かせた。

「父上、ユアが眠っている今報告したき事があります」

 王様、大臣であるヨシュア、執事・宰相のユアンとユージン、オールの5人で再びテラスの椅子へと移動をし、話し合いを始めた。
 執事・宰相のユアンはユージンの兄であり、王妃様の甥っ子。

「話してくれ!」
「バールナ公爵の長女であるルリナ嬢は強い魔術が使え、殆どの事に耐性がある俺でも解く事が困難でした。
 ルリナ嬢は公爵の礼儀が全くなかったのです!」
「私もルリナ嬢には、再度となく申し上げてはいましたが聞く耳をもたないといった状態でした。
 バールナ公爵はルリナ嬢に対しての教育に、力とお金を使ったものの無駄だった様です」

 ユアンは話を聞いて『ピクリ』と片眉を動かし、公爵は自分の娘をこれからどうするかを考え決めているのかを聞いて来た。

「おいユージン、バールナ公爵家は自分の娘の対応を決めているのか?
 我らにとっては重要なとこだぞ?」

 ユージンは兄であるユアンに頷き答えた。

「はい、そこはきちんと確認済みです。
 バールナ公爵家にいる皆様は、ルリナ嬢を公爵家から『公爵剥奪』する事を決めているそうです」
「そうか、確認済みであるなら安心した」

 ユアンは笑顔になり安堵していた。

「バールナ公爵は娘を剥奪すると決めたのなら、ディロールでは住みづらいであろう。
 ソフィーリアで良いのなら、ぜひ来てくれと伝えて欲しい。
 優秀であるバールナ公爵には、王宮で働いてもらいたいからな」

 王様も笑顔で話していた。


 私の側には、王妃様と皇女様方が手を握って目覚めるのを待っている。
 夜中になっても目覚めない私が心配だと言って、なかなか部屋へ戻ろうとしない王族の皆様に、メイド長のテリーゼに説得されて部屋から追い出されてしまった。

「ユア様がお気づきになられましたらお知らせ致しますので、皆様はお部屋でお休み下さいませ!」

 グイグイと押されるかの様に追い出された王族、皆で笑い合いながら部屋へと戻って行った。


 朝になっても目覚めない私を、メイドさん達が交代しながら看病をしてくれている。
 オールは朝日とともに目覚め、バタバタと走って私の部屋へ来たが、まだ目覚めていない私の頭を撫でていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

処理中です...