【完結】番である私の旦那様

桜もふ

文字の大きさ
59 / 96

ジーナ様の番

しおりを挟む
 ジーナ様の気持ちを聞いてから『番』がいる事を話そう。

「ジーナ様、不躾な質問をする事をお許しください」
「ええ、大丈夫ですわ」
「ジーナ様は、今でもダーティ様に対してのお気持ちはありますか?」
「……無いですわね……。
 もう気持ちは無いんですのよ、でも良い殿方がいないのが現状なんですの。
 両親とお兄様にも言えなくて、誰かに聞いてもらって背中を押してほしかったのです」

 言っても大丈夫そうだね。

「ジーナ様にはソフィーリアに獣人の『番』がいると聞きましたわ。
 獣人は1人の番しか愛さないらしいですよ、ゆっくりで良いんです。
 ジーナ様の良い返事を待っていますわ。」

 私は顔を真っ赤にしているジーナ様を見て微笑んだ。
 数人の走って来る足音がした時だった。

「それは本当かい?
 その獣人の番の話は今でも可能だろうか?」
「会わせてやって下さい!」
「まぁまぁまぁ、獣人の旦那様だなんて素敵だわ!」
「娘に紹介してもらえないだろうか?」

 イーリス子爵家の皆様に凄い勢いで食いつかれたわ。

「わたくしの婚約者にお聞きしておきますわ。
 ジーナ様、このネックレスを受け取っていただけると嬉しいです。
 友情の証として、レイン様とハーティー様もつけていますの。
 虹色に光って綺麗でしょ?
 4人でお揃いですわ」
「……ううっ……嬉しい、凄く嬉しいですわ。
 ユア様、こんな私でも友達だと思ってくれますか?」
「当たり前ですわ。
 ジーナ様はわたくしの大切な友人、そして親友になりたいですわ!」
「わたくしもユア様と親友になりたいですわ。
 レイン様とハーティー様とも親友になりたいです!」

 私とジーナ様は微笑み合いながら、お互いの両手を握りしめていた。
 楽しい時間は過ぎるのが早いもので、帰宅時間になり……ジーナ様と両手を握りしめて明日は番の話を、レイン様とハーティー様も交えて話す約束をした。

「ユア様、きっとですよ。
 明日も来てくださいませ」

 ウルウルした瞳が萌えーーで、可愛い!
 私のハートが撃ち抜かれた気分だわ。

「ジーナ、ユア様を困らせてはいけないよ」
「ジーナ様、大丈夫ですよ。
 ジーナ様が望むのであれば、わたくしは毎日来ますわ」
「っっ!!
 ユア様、ありがとうございます!!」

 私達は手を振り、オールとジンの元へ行った。


「ユア様、この様な時間にどうかされましたか?」
「……あのね……ジーナ様の番の相手が知りたくて。
 ジンお願いします、教えて下さい!」
「……ユア様、頭を上げて下さい。
 ジーナ嬢の番は『私』ですよ、ジーナ嬢には相手がいるので良いんです。
 幸せになって……」
「ジーナ様は婚約破棄をすると言ってました!
 今日の夕刻に婚約破棄申請をしたと聞きました。
 ジーナ様はダーティ様に対する気持ちは無く、イーリス子爵家の皆様には獣人の『番』の話はまだ可能なのかを聞かれました!」
「……私は諦めなくて良いと?
 ユア様、私はジーナ嬢の隣にいても良いのだろうか?」

 ドアが開きオールがジンの肩をポンッと叩き、背中を押していた。

「何を迷っているんだ?
 早くしないとジーナ嬢が他の者に取られてしまうぞ!
 政務も終わっているんだ、行くぞ。
 ユアも来てくれるか?」
「うん。
 ジーナ様の喜ぶ顔が見たいわ。
 オール、レイン様とハーティー様も御両親に婚約破棄の話をすると言ってたよ」
「っ!!
 今日はジーナ嬢に話して、明日はレイン嬢とハーティー嬢の『番』に連絡して、こちらへ来るよう手配しておくよ」

 オールとジンと一緒にジーナ様のお屋敷へと急いだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

処理中です...