【完結】番である私の旦那様

桜もふ

文字の大きさ
60 / 96

ジンに春が来た

しおりを挟む
 私達はメイドさんに伝言を伝えてもらい、ジーナ様のお屋敷の前でイーリス子爵家の皆様を待っている。

「オパール・ブラック・オニキス王太子殿下様、ユージン・オルフォード公爵様。
 大変お待たせし申し訳ありません。
 我が家のメイドからお聞きしました。
 ジーナの相手の方がお見えとの事ですが……」

 ジンが前に出、綺麗な姿勢でお辞儀をしジーナ様を愛しそうに見つめながら自己紹介をした。

「鈴の音?
 聞いたことない綺麗な鈴の音がしますわ!」

 ジンはジーナ様に微笑み。

「ジーナ・イーリス様、私はユージン・オルフォード公爵で貴女様の『』です。
 その綺麗な音は番同士にしか聞こえないんですよ。
 ジーナ様、私の婚約者になって欲しい、返事は急ぎません。
 どんな返事でも大丈夫で……」
「宜しくお願いします!!」

 ジンの服を掴んだジーナ様は、真っ赤な顔をしながら即答していた。
 ジンの尻尾がジーナ様の方へ伸び身体に巻きついている、何だか可愛い。

「中へどうぞ。
 ジーナとオルフォード様は客間へ案内します」
「ジン、ジーナ嬢、ゆっくりと2人で話してくれ。
 ユア俺達は行こう」
「うん」

 私はジンとジーナ様に片手を少し上げて、イーリス子爵家の皆様と移動した。

 ジンとジーナ様、凄く幸せそうな顔をしていたなぁ。
 私達はイーリス子爵家の皆様とお茶を飲みながら談笑をしていた。
 
「ジーナの笑顔が戻り、婚約者まで……奇跡だ」
「ルーテったら、でも本当に奇跡みたいだわ。
 ジャックとギルもそう思うでしょう?」
「ああ、俺も奇跡みたいだなって思うよ」
「俺はその奇跡をユア様が運んでくれたように思うな?
 ユア様が今日初めて来てくれてからジーナの笑顔と婚約者だろ?
 俺はユア様に感謝しているよ」

 イーリス子爵家の皆様が立ったと思ったら、一斉にお辞儀をして御礼を言われた。
 えっ、私何もしてないよ?
 ただ友達になれたらなーーって思ったのと、ジーナ様に獣人の『番』がいる事が分かったからその方と幸せになれたらなって思って。
 ただそれだけだった。

「ジーナ様が自ら掴んだ幸せですわ。
 わたくしはただ見守っていただけです」

 私達はダーティ様の学園での様子を話した。
 私が学園でされた仕打ちと気持ち悪い行動などを話すと、オールとイーリス子爵家の皆様は怒っていたが意味不明の行動には身震いしていた。
 私が学園で、ダーティ様に回し蹴りをした事を話すと。

「はははははっ!
 いやあ、これは傑作だ!」
「まぁぁ、ギルドマスターの息子が女性に負けるなんて情けない!」
「ブフッ!
 お茶を吹いちゃったよ、ダーティって弱いの?」
「私が……学園で、その……回し蹴りをしまして……起き上がれなかった様ですわ……」
「ははっ、もっとやってほしかったよ。
 今日の夕刻に婚約破棄申請が受理されて良かったよ。
 そうそう、ポイズン侯爵様とパーロニー伯爵様も婚約破棄申請をしていたよ」

 私は笑顔になり喜んだ。

「やったぁーー!!
 ……失礼しました。
 レイン様とハーティー様も婚約破棄の話をするとおっしゃっていましたわ」
「婚約者がいるにも関わらず、他の女性の方に行くような男は駄目だ!
 ポイズン侯爵様とパーロニー伯爵様は良い選択をした。
 ジーナは運が良い。
 婚約破棄をすると嫁ぎ先がな……」
「大丈夫ですわ。
 レイン様とハーティー様にも『番』がいるんですのよ」
「っっっ!!」
「良かったですわ!」
「やはりユア様が幸運を運んでくれたんですよ」

 楽しく話をしながら、その日は終わった。
 レイン様とハーティー様に明日、ジーナ様のお屋敷へ訪問していただきたい事を手紙に書いて届けてもらった。
 ソフィーリアにいるアーロンとグレンにはオールの相棒であるルークに手紙を届けてもらってる。
 明日には騎士団長のアーロンと騎士副団長のグレンが来る予定だ。
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

処理中です...