【完結】番である私の旦那様

桜もふ

文字の大きさ
70 / 96

ルリナ様御一行は地下牢行きになりました

しおりを挟む
 横腹に鈍い痛みと熱い痛みがこみ上げてくるのが分かったが、頭も強く打たのか意識が朦朧としているがなんとか声は聞こえる。
 ルリナ様はオールに魔術を使い、身動きが取れない状態にし、ガッチリと腕に抱きつかれていた。

『ユア様!!』

 皆様の声が同時だった。
 が、オールはルリナ様に拘束の魔術をかけられ身動きが出来なかった。そんな状態のオールを見たジンとジーナ様は、真っ先に私へと近づき、状態を確認したが頭部と腹部からの出血があり口からは吐血していた。

「これはっ!」
「やだっ! ユア様、いやあぁぁっ!!」
「ジーナ、少しの間こっちに来ていろ!」
「ジャック兄様……うぅぅっ……」

 ジーナ様は号泣している。レイン様もハーティー様も悲鳴に近い声で泣き、リー様とアル様は母親に抱かれて泣いている。
 早く起きて安心させてあげないと……痛みで力が入らないし、まぶたが持ち上がらない。
 バールナ公爵家の両親と学園にいる治癒魔法が使える講師に来て診てもらっていたが、何故かこの治癒魔法講師は教本を持っていた。

「ユア様を早く治して下さい!
 ……講師でありながら何故教本を見ているのですか!!
 貴方は本当に治癒魔法が使えるのですか?」

 ジンは焦っていた。
 私の腹部からの出血が止まらず、吐血も酷い有様だったからだ。
 私は意識が朦朧としているのに、ジンの手に触れまぶたは持ち上がらないが口で少し微笑んで見せた。
 そんな私を見たジンは毛を逆立てて叫び!

「オイッ!
 治癒師、何をもたついているんだっ!
  今すぐ出来ないのであれば速やかに代わりの者を連れて来いっっっ!!」

 周りがビリビリッ! と、身体中を稲妻が走るかのように強烈で制御されてない怒りが周りに伝わり、全員の動きが一瞬止まった。
 だが、激怒しているジンを見た治癒魔法講師は震え上がり、私の体の前に手をかざし魔法を唱えた。
 紫がかった妙な光が私の体を包んだあと、光が消えた瞬間元通りになったかのように見えたが出血は止まっていない。

「私達は一時ソフィーリアへ戻る!
  アーロンとグレン、後は頼みます!!
 ジーナ……」
「ユア様を早く!
 わたくしは後で行きます、ですからお早くユア様を……お願い……わたくしの友達を助けて……」

 ジンはジーナ様に頷き、オールとフェンに目で『急いで王宮に帰りますよ!』と合図した。


「クソっ!
 離せ! 魔法を解除しろ! お前のせいで俺のユアが、ユア!!」

 オールはツノを出し、自力で魔法をやっとの思いで解く事が出来た。
 が、オールは何故ユアを守れなかったんだ! と自分を責めていた。
 ルリナ様を責めて良いのに、優しいオールは自分を責め続けた。

「オパール様、ご自分を責めてはいけません!
 これは、この者達の責任です。
 お前達、我々を怒らせた事を後悔するんだな!
 両国との話し合いで何らかの刑罰が下るだろう!」

 ジンは威圧感ありすぎる怖い顔で激怒した。

「ぼ、僕のせいではない!」
「俺は何もしてないし、手も出してない!」
「僕だって何もしてない!」

 三人の男どもは、責任のなすりつけ合いをし出した。

 ただ一人だけは頭の上に花が咲いているのか、胸元がもろに見えている服で胸の谷間を強調させ、身体を『クネクネ』させながら『上目遣い』でアホな発言ばかりだ。

「ねぇ、私のオールにジン。
 この後、三人で私の部屋でお茶しながら話さない?
 今日もイケメンがこんなに、くふふっ。
 モテる女は罪よね」

『何考えとんじゃコイツは!』と意識が朦朧する中でルリナ様に私は突っ込んでいた。

「ルリナ、お前は何て事をしたんだ!
 オパール王太子殿下の番である大切な婚約者のユア様に、お前は地下牢へ入ってもらう!
 ルリナ、お前はバールナ公爵家から出てもらう……公爵剥奪だ!!
 他の者達も地下牢に入っていろっ!!」

 バールナ公爵家当主は温厚な方だったのに、今は大激怒だ。

 ぱあぁーーんっ!!
 乾いた音がした後。

「ルリナ、貴女って子は何をしたのか分かっているの?
 分かっていたらこんな事しないわよね、貴女は私の娘では無いわ!!
 地下牢で反省する事ね!」

 バールナ夫人はルリナ様に言い残し、グッタリしている私を見た。

「私は黒竜族の番なのよ!
 私がオールの最愛の番なのよ!!」

 金切り声で取り乱しながら暴れ出すルリナ様『パァーーン!』父親からも平手打ちをされた事に驚き、ルリナ様は地面へとへたり込んだ。

 ルリナ様は『私が黒竜族の番なのよ!』と心の中で、いまだに思い込んでいた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

処理中です...