【完結】番である私の旦那様

桜もふ

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桜さんの体調不良

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 お兄ちゃんは超過保護で相変わらずだけど、今日のお父さんはなんか雰囲気が違う。
 背後に般若が潜んでいるような、ドス黒い何かが出てる。

「お母さん、なんかお父さんが怖いんだけど」

 私は小声で母に尋ねると、母は笑顔で「大丈夫よ」の一言だった。

「怒らない親なんていないわ。
 お父さんは、どこの国の王様か分からないけど、その王族に怒ってるのよ」
「うん、ありがとう」

 お父さんをチラッと見ると目が合ったが、お父さんは私にいつもの笑顔で「おはよう」と言ってくれた。
 皆で朝食を食べた後、ディロールへ行く準備を始めた。
 お母さんは、おやつ用に袋いっぱいに詰め込んでいた。
 おやつ用の袋が何個あるのよ!
 持って来過ぎじゃないの?
 まぁ、皆で食べるとすぐに無くなるけどね。
 お兄ちゃんは、今日は絡んでないんだね、普通に皆と話してるし。
 桜さんは、あれれ?
 いないけど、どうしたんだろ?

「お兄ちゃん、桜さんは?」
「桜はまだ寝てる。
 昨日いろいろとあってな、お昼くらいまでは動けないと思うぞ」
「動けなくなるまで頑張ったんだ!
 私にはうるさいのに、自分は嬉しそうに頑張るってどうなのよ!
 今日からはオールに何か言ったら許さないから!!」

 お兄ちゃんってば『しまった!』って顔をしてるけど、私からすれば『ありがとう』だよ。
 これで、オールはお兄ちゃんから責められないから安心だよ。
 ディロールへ行く準備が出来たのは、お昼頃だった。
 桜さんだ、少し顔色が悪いけど大丈夫かな?

「桜さん、顔色悪いけど大丈夫?
 ちょっとオデコ触るね……なんか微熱っぽいよね?
 何か食べる?」
「今食べたら吐いちゃうかも。
 昨日はいろいろあって疲れたし、毎月のものもまだ来てなくて」

 毎月のが遅れる、微熱、吐き気って妊娠じゃないの?
 それ以外ないでしょ!

「オール、妊婦さんを診てくれるお医者さんっている?
 いるなら、すぐに来てもらいたいの!」
「王宮にいるが、俺達はまだキスしかしてないぞ?」
「私じゃなくて、桜さんだよ。
 きっと妊娠してる」
「分かった。
 ジン、ローミン先生を至急呼んでくれ!」
「分かりました」

 5分もしない内に来てくれた。

「患者さんはどこかしら?」

 私は手を上げて合図をした。

「こっちです!
 月のものの遅れ、微熱、吐き気があります。
 妊娠ですか?
 これって悪阻じゃないですか?」

 ローミン先生はお腹に手をかざして診ている。
 その横で、私と母は心配で桜さんの手を握っていた。
 男衆は食堂でディロールの事を話合い中だ。

「分かりましたわ。
 ユア様がおっしゃる通り、妊娠ですわ。
 おめでとうございます!」
「桜さん、おめでとう!
 赤ちゃんが産まれるの楽しみだね」

 お兄ちゃんは笑顔で走り寄って来て「風邪か?」なんて言ってるし。

「お兄ちゃんは桜さんの話を、もっと聞くべきよ!
 ねぇ、お母さん」
「そうね、夫婦になるんだから桜さんの話を聞いてあげなさい!」

 お兄ちゃんは桜さんと話をし、妊娠の事を告げられ泣いて喜んでいた。
 私と母は、皆がいる食堂へと向かった。
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