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第76話「第一ポイント」
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乱戦に突入した旗艦群を抜き去って、一路ダーナー号を追いかけるホワイトラビット号。先頭は相変わらずダーナー号がキープしており、追いかけている二隻はアスマン造船所とバシュ造船所の旗艦だった。
ホワイトラビット号の後方は六隻に減って、バシュ所属船二隻とアスマン所属船四隻が追いかけてきている。他の船は、おそらく自分のチームの旗艦を守るために、先程の乱戦に加勢したのだろう。
そして前方のダーナー号の進行方向に、第一ポイントである島が見えてきている。遠くからは大きな岩に見える小さな島で、人が住むには適していないように見えるが、座礁除けなのか灯台が建てられている。レースの通過ポイントとしては、丁度良い目印である。
ダーナー号が最も島に近い内側を進み、他の二隻がそれを追いながら外側を進むつもりのようだ。その様子を望遠鏡で覗き込んでいたシャルルは眉を寄せて考え込む。
「さて……動くならあの島だけど、どうすると思う?」
「そうだな、ダーナー号が浮いたところを、内側に切り込むんじゃないか?」
最短距離を無理に曲がればスピードを殺すことになる。速度が落ちれば舵を利きにくくなり、風下に流されて座礁の可能性も高まる。
そのため内側から進入するダーナー号は、コーナーの終わりに必ず外に膨らむことになる。ハンサムは後続の二隻が、そこを突いて内側に切りこむと予想したのだ。
実に操舵士らしい意見だと、シャルルはクスッと笑う。
「それじゃ接近しすぎだよ、砲撃なしのレースならそれでもいいけど」
「じゃ、どうだって言うんだ?」
「そうだね、わたしがヴァル爺なら……」
◇◇◆◇◇
先行するダーナー号の甲板 ――
ダーナー号はヴァル爺を船長に据え、黒猫二匹がその補佐として付いている。またルーレア造船所のアレンも乗船しており、残りはレース用に雇われた船乗りたちだ。
シャルルと協力関係を結んだあと、何度もテスト航行しているため、ヴァル爺と船乗りたちとの連携も良好である。
船と島の距離を見据えながら、ヴァル爺はマスト上の見張りに問いかける。
「見張り役、後続の船はどうじゃ?」
「若干、東に流れて行ってます。僚船は本船に追随、他のチームもそれを追っています」
ダーナー号に対して後続二隻は、島から少し離れる軌道を取っている。島に近付きすぎれば浅瀬に座礁する可能性もある。ダーナー号に比べて大型なので、喫水の関係でマージンを取っているように見えなくもない。
「よし、これでリードを広げられるなっ!」
そう嬉しそうにはしゃいでいるのはアレンだった。しかしヴァル爺は少し考え込むと、船の左右を確認するように首を振る。
「ふむ……魔導防殻展開じゃ、右舷に集中せよ」
「なっ!? 爺さん、どういうことだ?」
「おそらく撃ってくるからのぉ」
ヴァル爺の返答にアレンは、目を丸くして右舷に駆け寄った。そして望遠鏡で覗きこむと、若干先行しているバシュ造船所の旗艦オムロン号が動き始めていた。
「爺さん、オムロン号が砲門を開き始めたぞ! さっさと離れよう」
「フォフォフォ、そうは言っても左舷は浅瀬じゃからなぁ」
ダーナー号は浅瀬ギリギリを攻めているため、島を通り抜けるまでは舵を左に切ることができない。そう考えればオムロン号が東に流れて行ったのは、砲撃のための射線を確保するためなのがわかってくる。
「操舵士、ワシの命令が出るまで舵は決して切るな」
「りょ、了解!」
ヴァル爺のドスの聞いた声に、操舵士も緊張した様子で握る手に力を込める。そうしている内に、オムロン号からの砲撃が開始された。
「う、撃ってきたぞぉー!?」
「慌てなさんな、当たりゃせんよ」
砲撃に動揺するアレンと対象的に、ヴァル爺は軽く笑いながら髭を擦っている。例えギリギリ射程内でもあっても、奔りながらの砲撃などまともに飛ぶわけがない。陸地の大砲とは違い、船は常に揺れているのだ。
それでもダーナー号の右舷付近に至近弾が落ち水柱が打ち上がると、アレンは身を屈めて悲鳴を上げた。海賊等と違って船大工の彼は、砲戦など慣れていないのだから仕方がない。
しばらく攻撃に晒されながら進んだダーナー号は、島を通り過ぎる位置まで来ていた。恐怖に限界を感じたアレンは大声で叫ぶ。
「よし、取舵だぁ!」
「そのままじゃ!」
アレンが出した指示を、ヴァル爺が即座に撤回するように怒鳴りつけた。船乗りたちも相反する指示に一瞬ビクッと固まるが、ヴァル爺は再度「変更なし」の指示を飛ばす。
「本船は、そのまま北に向かう」
「爺さん、どういうつもりだ! 次のポイントは西にあるんだぞ!? レースを捨てるつもりかっ!」
アレンが問い詰めるが、ヴァル爺は船乗りたちに三度厳命する。
「よいな、針路はそのままじゃ! やれやれ、お前さんはうるさいのぉ。説明してやるからチャートルームに来い。そう喚かれたら士気に関わるわい」
「あ……あぁ」
ヴァル爺の持つ凄みに気圧されたアレンは、黙って彼の後に付いていくしかなかった。
◇◇◆◇◇
ダーナー号が北に向かったことで、オムロン号からの攻撃も止まっていた。もう攻撃は無意味として、さらに東に流れて離されるのを嫌ったのだ。
「姫さんの言った通り、三隻とも北に逸れてったな……どういうことだ?」
三隻を追いかけるホワイトラビット号の船尾甲板では、ハンサムが不思議そうに首を傾げている。シャルルは自慢げに胸を張ると、その答えについて解説を始めた。
「それはあの船がダーナー号で、ホワイトラビット号じゃないからだよ」
「何を当たり前のことを……あぁなるほど、そういうことか」
ハンサムもようやく答えに思い当たったのか顔を顰めて見せた。
「あのまま西に向かったら岩礁地帯にぶつかっちゃうからね。それなら今のうちに北に上がれば上手回し一回で済む」
「それに北西の風か」
シャルルの言う通り、第一ポイントから西に直進すると岩礁地帯に当たってしまう。それを躱すには、岩礁の前で一度北に向かって切りあがり、さらに西に向かって切り返さなければならない。逆に一度北に向かって岩礁地帯を抜けれる位置まで行けば、西に向かって曲がるのは一回だけで済む。
さらに問題になってくるのが北西から吹く風だ。ホワイトラビット号なら切りあがることも可能かもしれないが、ダーナー号では魔導航行に切り替えるしかない。
しかし、その場所で切り替えてしまうと、後半で必要な時に魔力の蓄積が足りずに、使うことができないかもしれないのだ。
そんな話をしていると、ホワイトラビット号も第一ポイントの島に接近した。
「さてと姫さん、俺らはどうする? 爺さんを追いかけて北に進むか?」
「冗談、もちろん西に進むわ」
ハンサムが針路を尋ねると、シャルルはさも当然という感じに肩を竦めながら答える。しかしハンサムは傾きつつある陽を確認しながら、もう一度尋ねる。
「本当にいいんだな?」
「うん、ホワイトラビット号は西に向かう」
「了解だ、姫さんがそこまで言うなら覚悟を決めるぜ」
ハンサムは諦観が籠った笑みを浮かべて、舵を握る手に力を込める。そろそろ第一ポイントの島の東を通り抜ける辺りだ。
「上手回しだ! 速度を殺すなよっ!」
「ニャー!」
ホワイトラビット号が船首を西に回すと、並んでいた後続の船に乱れが出た。バシュ所属船、アスマン所属船共に一隻ずつがホワイトラビット号を追いかけ、残りの船は旗艦を追って北に向かう。
「追ってきたのは二隻か……まぁ仕掛けてくるとしたら岩礁地域の直前でしょ。ふわぁ……わたしは先に休むわ。ハンサムも適当なところで、あの子と変わって休んでね」
「あぁ、わかってる」
シャルルはそう言うと仮眠をとるために、自身の船室に向かって階段を下りて行くのであった。
ホワイトラビット号の後方は六隻に減って、バシュ所属船二隻とアスマン所属船四隻が追いかけてきている。他の船は、おそらく自分のチームの旗艦を守るために、先程の乱戦に加勢したのだろう。
そして前方のダーナー号の進行方向に、第一ポイントである島が見えてきている。遠くからは大きな岩に見える小さな島で、人が住むには適していないように見えるが、座礁除けなのか灯台が建てられている。レースの通過ポイントとしては、丁度良い目印である。
ダーナー号が最も島に近い内側を進み、他の二隻がそれを追いながら外側を進むつもりのようだ。その様子を望遠鏡で覗き込んでいたシャルルは眉を寄せて考え込む。
「さて……動くならあの島だけど、どうすると思う?」
「そうだな、ダーナー号が浮いたところを、内側に切り込むんじゃないか?」
最短距離を無理に曲がればスピードを殺すことになる。速度が落ちれば舵を利きにくくなり、風下に流されて座礁の可能性も高まる。
そのため内側から進入するダーナー号は、コーナーの終わりに必ず外に膨らむことになる。ハンサムは後続の二隻が、そこを突いて内側に切りこむと予想したのだ。
実に操舵士らしい意見だと、シャルルはクスッと笑う。
「それじゃ接近しすぎだよ、砲撃なしのレースならそれでもいいけど」
「じゃ、どうだって言うんだ?」
「そうだね、わたしがヴァル爺なら……」
◇◇◆◇◇
先行するダーナー号の甲板 ――
ダーナー号はヴァル爺を船長に据え、黒猫二匹がその補佐として付いている。またルーレア造船所のアレンも乗船しており、残りはレース用に雇われた船乗りたちだ。
シャルルと協力関係を結んだあと、何度もテスト航行しているため、ヴァル爺と船乗りたちとの連携も良好である。
船と島の距離を見据えながら、ヴァル爺はマスト上の見張りに問いかける。
「見張り役、後続の船はどうじゃ?」
「若干、東に流れて行ってます。僚船は本船に追随、他のチームもそれを追っています」
ダーナー号に対して後続二隻は、島から少し離れる軌道を取っている。島に近付きすぎれば浅瀬に座礁する可能性もある。ダーナー号に比べて大型なので、喫水の関係でマージンを取っているように見えなくもない。
「よし、これでリードを広げられるなっ!」
そう嬉しそうにはしゃいでいるのはアレンだった。しかしヴァル爺は少し考え込むと、船の左右を確認するように首を振る。
「ふむ……魔導防殻展開じゃ、右舷に集中せよ」
「なっ!? 爺さん、どういうことだ?」
「おそらく撃ってくるからのぉ」
ヴァル爺の返答にアレンは、目を丸くして右舷に駆け寄った。そして望遠鏡で覗きこむと、若干先行しているバシュ造船所の旗艦オムロン号が動き始めていた。
「爺さん、オムロン号が砲門を開き始めたぞ! さっさと離れよう」
「フォフォフォ、そうは言っても左舷は浅瀬じゃからなぁ」
ダーナー号は浅瀬ギリギリを攻めているため、島を通り抜けるまでは舵を左に切ることができない。そう考えればオムロン号が東に流れて行ったのは、砲撃のための射線を確保するためなのがわかってくる。
「操舵士、ワシの命令が出るまで舵は決して切るな」
「りょ、了解!」
ヴァル爺のドスの聞いた声に、操舵士も緊張した様子で握る手に力を込める。そうしている内に、オムロン号からの砲撃が開始された。
「う、撃ってきたぞぉー!?」
「慌てなさんな、当たりゃせんよ」
砲撃に動揺するアレンと対象的に、ヴァル爺は軽く笑いながら髭を擦っている。例えギリギリ射程内でもあっても、奔りながらの砲撃などまともに飛ぶわけがない。陸地の大砲とは違い、船は常に揺れているのだ。
それでもダーナー号の右舷付近に至近弾が落ち水柱が打ち上がると、アレンは身を屈めて悲鳴を上げた。海賊等と違って船大工の彼は、砲戦など慣れていないのだから仕方がない。
しばらく攻撃に晒されながら進んだダーナー号は、島を通り過ぎる位置まで来ていた。恐怖に限界を感じたアレンは大声で叫ぶ。
「よし、取舵だぁ!」
「そのままじゃ!」
アレンが出した指示を、ヴァル爺が即座に撤回するように怒鳴りつけた。船乗りたちも相反する指示に一瞬ビクッと固まるが、ヴァル爺は再度「変更なし」の指示を飛ばす。
「本船は、そのまま北に向かう」
「爺さん、どういうつもりだ! 次のポイントは西にあるんだぞ!? レースを捨てるつもりかっ!」
アレンが問い詰めるが、ヴァル爺は船乗りたちに三度厳命する。
「よいな、針路はそのままじゃ! やれやれ、お前さんはうるさいのぉ。説明してやるからチャートルームに来い。そう喚かれたら士気に関わるわい」
「あ……あぁ」
ヴァル爺の持つ凄みに気圧されたアレンは、黙って彼の後に付いていくしかなかった。
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ダーナー号が北に向かったことで、オムロン号からの攻撃も止まっていた。もう攻撃は無意味として、さらに東に流れて離されるのを嫌ったのだ。
「姫さんの言った通り、三隻とも北に逸れてったな……どういうことだ?」
三隻を追いかけるホワイトラビット号の船尾甲板では、ハンサムが不思議そうに首を傾げている。シャルルは自慢げに胸を張ると、その答えについて解説を始めた。
「それはあの船がダーナー号で、ホワイトラビット号じゃないからだよ」
「何を当たり前のことを……あぁなるほど、そういうことか」
ハンサムもようやく答えに思い当たったのか顔を顰めて見せた。
「あのまま西に向かったら岩礁地帯にぶつかっちゃうからね。それなら今のうちに北に上がれば上手回し一回で済む」
「それに北西の風か」
シャルルの言う通り、第一ポイントから西に直進すると岩礁地帯に当たってしまう。それを躱すには、岩礁の前で一度北に向かって切りあがり、さらに西に向かって切り返さなければならない。逆に一度北に向かって岩礁地帯を抜けれる位置まで行けば、西に向かって曲がるのは一回だけで済む。
さらに問題になってくるのが北西から吹く風だ。ホワイトラビット号なら切りあがることも可能かもしれないが、ダーナー号では魔導航行に切り替えるしかない。
しかし、その場所で切り替えてしまうと、後半で必要な時に魔力の蓄積が足りずに、使うことができないかもしれないのだ。
そんな話をしていると、ホワイトラビット号も第一ポイントの島に接近した。
「さてと姫さん、俺らはどうする? 爺さんを追いかけて北に進むか?」
「冗談、もちろん西に進むわ」
ハンサムが針路を尋ねると、シャルルはさも当然という感じに肩を竦めながら答える。しかしハンサムは傾きつつある陽を確認しながら、もう一度尋ねる。
「本当にいいんだな?」
「うん、ホワイトラビット号は西に向かう」
「了解だ、姫さんがそこまで言うなら覚悟を決めるぜ」
ハンサムは諦観が籠った笑みを浮かべて、舵を握る手に力を込める。そろそろ第一ポイントの島の東を通り抜ける辺りだ。
「上手回しだ! 速度を殺すなよっ!」
「ニャー!」
ホワイトラビット号が船首を西に回すと、並んでいた後続の船に乱れが出た。バシュ所属船、アスマン所属船共に一隻ずつがホワイトラビット号を追いかけ、残りの船は旗艦を追って北に向かう。
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