BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび

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BADEND

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※この話は読まなくても今後のストーリーに影響はありません。
 バッドエンドが苦手な方はご注意ください。




















ピピピピッ








「うん、熱高いね…学校は休もう」








昨日の元母親突撃事件にて号泣しながら暴れた結果、無事に熱を出しましたとさ。

俺の身体軟すぎない?
残念すぎる自分の身体に溜息を吐くと兄さんが苦笑しながら優しく俺の頭を撫でる。







「昨日の今日だからね、熱出て仕方ない事だよ。今日は家でゆっくりしてなさいね」

「…はぁい…」






体温計に表示された37.5℃の文字を見せられながらこのくらいならそれ程でもないのに…と顔の半分を掛け布団で埋める。







「僕はもう家出るけど、冷蔵庫の中にスポドリ作ったピッチャー入ってるから飲んでね。喉痛くなったらのど飴もリビングに置いてあるから好きなの舐めて。あ、あともし熱が上がって動けなくなったら絶対に連絡する事。それと…」

「に、兄さんわかった、大丈夫だから早く行きなよ…」

「うん…じゃあ、ゆっくり休むんだよ?」









前みたいに吐き気があるわけでもなく、熱も凄く高いわけでもないのに心配性の兄さんはなかなか離れようとしない。
部屋を出る時もちらちらとこちらを見ながら出て行った兄さんに自然とため息が出てしまう。

熱はあれど微熱のようなものだし、体調面としては少し頭が痛い程度。
それもさっき痛み止めを飲んだからすぐに治るだろう。
眠気もなく、やる事もない俺はスマホを開いてLINEから3人で作ったグループを開く。

するとそこには既に俺が休みだと知った2人からのLINEが飛んできていた。









大原[唯兎熱だって?大丈夫か?]

桜野[唯兎いないの寂しすぎんだけど!?熱早く治してさっさと学校来い!!]

唯兎[今は37.5℃だからそんな熱は高くないんだけど、兄さんは許してくれなくて]

桜野[照史先輩に許可もらおうって方が無理だろー!]

大原[良いから唯兎はしっかり休んでなるべく早く来い、桜野が煩い]

桜野[酷くね!?俺のピュアなハートに傷が付いたー!]

大原[(クマを蹴り跳ばすウサギのスタンプ)]

桜野[唯兎!蹴られてんぞ!!]

大原[お前だバカ]









2人のノリについクスクスと笑いが溢れてしまう。
そのまま画面に目を移せばそろそろ朝のHRとの事でまた後で連絡する、と2人ともスマホをしまってしまったらしい。

それに少し、ほんの少しだけ寂しさを覚えながらも俺も熱を下げるべくスマホを置き少し眠りにつくことにした。









-----ピンポーンピンポーン-----






-----ピンポーンピンポーン-----









ふいに鳴ったインターホンについビクッと身体が震える。
兄さんも言ってた、俺は体調が悪い。
誰かが来ても対応したらダメだ。

バクバク大きな音を鳴らす心臓を抱えるように布団に潜り込む。






-----ピンポーンピンポーン-----




-----ピンポーンピンポーン-----








それから数回インターホンが鳴った後、諦めたらしく家の中は静かになった。
無意識のうちに息を潜めていたのか息苦しさを覚えて布団から出て呼吸を整える。

誰だったんだろう…。

ほんの少しの好奇心。
布団からそっと出るとペタペタと素足を鳴らしながら階段へ向かう。
階段の上から覗いても何もわからない事はわかってはいても、ついそっと玄関の方を覗いてみてしまう。

ペタペタ

ペタペタ

階段をゆっくり降りてサンダルを履き、玄関の扉に手を掛ける。
ガチャ、と音を鳴らしながら外を見てみても…誰も、いない。

ホ、と息を吐き郵便受けを見てみるとそこには宅急便の不在通知。
…なんだ、宅急便だったのか…。

不在通知には先程の時間が書かれていて、荷物は一度持ち帰りますと黄色い紙で入っていた。







「…っはぁ」







再び大きく息を吐くとドッと疲れが出てきて、空腹感も湧いてきた。
そういえばそろそろお昼の時間だ。

開けっぱなしだった玄関に向かい、中に入ろうと手を伸ばした時








「…っんん!?」







口を何かで塞がれた。
変な匂いがする布を取ろうともがくも、目が霞んで力も入らない。
力を失いその場に倒れそうになった身体を誰かに抱き止められ、そのまま…-----














































「…んっ」







温かい布団に包まれた状態で目を覚ます。
つい寝過ぎたな、と伸びをしながら起き上がったその時。


----ジャラッ








「…えっ」






足から伸びる鎖に思わず身体が固まる。
温かい布団から伸びる冷たく硬い鎖に思考が停止してしまい、何も考えられないままソレを見つめる。

恐る恐る手でそれを触ってみると確かにそれはあり、それは俺の行動範囲を限定的なものにする為使用されているのもハッキリわかる。







「ぁ…スマホ…っ、だれか…連絡…っ!」






周りを見渡すも、連絡手段を室内に残すようなバカではないらしく俺のスマホは何処かに隠されてしまっているようだ。
次第に呼吸が荒くなっていくのを感じる。

怖い
怖い
怖い
こわい
こわい
こわい
こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい


頭を占めるのはその言葉だけ。
恐怖心から体が震え、頭は働かず、息は上がる。

自身を守るように身を抱き締めてみる。
すると


ガチャ


と部屋で唯一の扉が開く。
そこから見知った人物が入ってきた。







「くり…か、わ…さ…?」

「うん、唯兎くん」






綺麗に微笑みながら部屋に入ってきた栗河さんにゾッとする。
一瞬助けに来てくれたのか、なんて幻想を抱いたがそれも彼が手に持っているもので完全に砕かれる。







「はい、君のスマホ。ごめんね、GPSとか動いてたら厄介だから壊しちゃった」

「…な、…んで…?」






手渡されたのは上下2つに別れたスマホ。
わざわざ何かの工具を使用したのか、完全に機能しないようにスマホそのものを切り離したものだ。

桜野、大原と色違いの同じスマホケースが悲しく2つに別れている。







「あはは、全部唯兎くんの…唯兎のためだよ」

「おれの…」

「そう…このままだと君は自分の感情のままにお兄さんに嫌がらせをしてアイツらに施設送りにされるんだ。そうなったら君は自ら命を絶ってしまう…そんなの絶対許されない、君は俺が守らないと…俺が…俺が…っ!!!」






興奮しているのか、目を見開いて声を荒げながらも笑みを浮かべる彼に恐怖心が強くなる。
栗河さんが何を言ってるのかわからない、理解できない、何も聞きたくない。

耳を塞いで栗河さんの姿も見ないように硬く目を閉じる。







「前からね、本当に前から…唯兎が好きだったんだよ。ゲームで見た時から、この子は守らないといけないって思ってた。なのにアイツらは唯兎を蔑ろにして、挙げ句の果てには施設に…!?ふざけるな!!俺なら…俺なら…守ってあげられる…」







こわいこわいこわいこわいこわい

何も聞きたくない何も見たくない

こわい、帰りたい、こわい







「く、栗河さ…お、おれ…家に帰…」

「ダメだって、頭弱くなっちゃった?かぁわい…」





耳を塞いで栗河さんを仰ぎ見る。
すると上にあげた顔を掬い取られ両手で強制的に上を向かされる。

栗河さんの狂ったような目が俺を射抜く。
その目から逃れたくて抵抗するも、恐怖で力の入らない手ではどんなに頑張っても力強いその手から逃れることなど叶うはずもなくそのままジッと見つめられる。








「…唯兎は俺が守るから…ね、唯兎も俺を見て」

「…っゃ…、にい、さ…っ!」

「…………」








パンッ

ほんの、軽い音だった。
痛くない程度に、栗河さんが俺の頬を叩いた。

痛くはないはずなのに恐怖心の中からそれとはまた違う何かが溢れ出る。






「…君のためだって言ってるのに、まずそれをわかってもらわないとだね」

「…ぁ」






俺がボロボロ涙を流しながら呆然としてる中、ス…と音を立てずに立ち上がる栗河さんを目で追う。

そのままゆっくりと扉まで歩いていくと、扉を開けながら少しだけこちらを振り返る。







「ここでゆっくり、反省してね」








キィ…と音を立てて扉が閉まると同時に電気が消される。
部屋には窓がなく、あるのは扉とベッドと冷蔵庫。
あとトイレとしてポータブルトイレが置いてあった。
灯りといえば辛うじて蝋燭の形をしたライトが1つ置いてあるだけ。

ジャラ、と俺が少し動くたびに俺を縛り付ける鎖が音を鳴らす。
恐怖で泣いたせいで喉が痙攣し、ヒクヒクと身体が揺れる。

元々熱があったこの身体。
突然誘拐され、監禁され、この暗い中で放置される。
そんな状況に耐えきれずまた頭痛がし始めた気がした。

何もする気にもなれず、ベッドの上で丸くなる。
思い出すのは昨日俺を優しく包んでくれていた兄さんの温もり。
冷たく、寂しい布団の上で横になることしかできず俺は気怠い身体をそのままに意識を手放した。
































コンコンッ

「唯兎、ご飯だよ」








あれからどのくらい経ったのか。

仄暗い部屋の中では1日の時間経過がわからず、時間を確認できる物も無い為誘拐されてから何日が過ぎたのか分からない。

部屋の中は相変わらず暗い。
中にはベッドと冷蔵庫とポータブルトイレと…。
何も変わっていない。

…唯一変わったのは…








「凪、さん…!」








俺はあまり動かさなかった足をヨタヨタと一生懸命に動かして凪さん…。

栗河凪さんに歩み寄った。

そんな俺を笑顔で迎えた凪さんは伸ばした俺の手をぎゅっと握りソッと身体を抱き締めてくれる。
俺はご飯より何より、凪さんが部屋に来てくれたのが嬉しくて凪さんから離れようとしなかった。





…そう。
変わったのは俺だった。





暗い部屋でずっと1人。
外の音も聞こえない。
光も当たらない。
何もない。




そんな部屋で1人でいた俺に、唯一会いに来てくれたのは凪さんだけだった。
凪さんがいなかったら俺は狂ってたかもしれない。
壊れてたかもしれない。

凪さんがいたから、俺はまだ俺でいられる。





凪さんも短い時間しかいられないけど、俺は唯一会いに来てくれる凪さんが部屋に来てくれるのを心待ちにしてる。

誰よりも、凪さんを。






「凪さん、大好き…」



































「唯兎は俺が守るよ」

「誰にも渡さない」

「俺だけの唯兎」





















            【バッドエンド】

-----守るための束縛-----











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