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猫の日【2月22日】
しおりを挟む※本編とは関係ありません。
スランプのリハビリだと思ってお付き合いください。
とても短いです。
「……なにこれ」
兄さんが買い物に出掛けてる間に押し寄せてきたのは大原、桜野の仲良しコンビ。
急に来たと思ったら無理矢理家に押し入り俺を部屋まで連行した。
普段の2人なら絶対にやらないような事で驚き、抵抗も出来ないまま連れられた俺はベッドに座らされて頭の上に(???)を浮かべていた。
持ってきた袋をニヤニヤしながら俺の目の前に置くと、一つずつテーブルに並べていく。
中から出てきたものに更に頭の上に(???)を浮かべる俺をよそに並べ終えた物を2人で確認していた。
一体なんなんだ、と思っていた俺は今日という日を思い出した。
「…猫の日?」
「だいせいかーい!!」
ポツリと呟いた俺に桜野が盛大に反応した。
今日は2月22日、世間ではニャンニャンニャンとして猫の日と呼びコンビニでは猫をモチーフにしたパンやデザートを売り出したりもしていた。
猫の日だという事は思い出したが、目の前に広がる荷物は一体どういう事なのだろう。と不思議そうに2人を見上げるとニヤァ…と嫌な笑顔のまま俺に近寄ってきて嫌な夜間がする。
「……待って、凄く嫌な予感がする」
「気のせいだ!」
「…ごめんな、唯兎」
清々しい程にキッパリ嘘だと言い放つ桜野と申し訳なさそうにしながらも俺に近寄ってくる大原とで温度差が有りすぎて何が何だかわからないがとりあえず嫌な予感が増大した。
嫌だ嫌だと言いながら2人に良いようにされる俺は…無力だった…。
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買い物から帰ってきたら玄関の鍵が開いていて首を傾げる。
確かに鍵を閉めた筈だけど…と中に入れば玄関には唯兎の靴の他に2人分の靴が置いてあった。
なんだ、大原くんと桜野くんが来てるのか。
何かあったわけじゃなくて安心したけど、しっかり鍵を閉めるように言っておかないとな…。
買った物を冷蔵庫に仕舞いながら今日の献立を考えていると上からバタバタ、と騒がしい音や声が聞こえてくる。
あの3人がこれだけ騒がしくするのも珍しいな、何かあったのか?
上の様子が気になりながらも3人のためにお菓子と飲み物を用意する。
確か、お母さんが買ったクッキーがあったはず。と棚の中から缶に入ったクッキーをお皿に出すとお盆に乗せ唯兎の部屋を目指して階段を登り始めた。
部屋に近付くにつれ、3人の声や音が大きく聞こえてくる。
「…やっ、大原…!やめ…っ」
「可愛い…本当に、可愛い」
「やだ…、おねが…っ!」
明らかにいつもと違う。
僕の脳内を過ったのは正直…とてもいかがわしい想像だった。
「桜野、やめてよ…!はなし、て…っ」
「だぁーめだって、大人しくしてろ」
「やぁ…っ!」
僕は階段を一気に駆け上がると唯兎の部屋の扉を勢いよく開けた。
嫌がる唯兎を襲ってるのでは、と焦る気持ちを抑えきれず考えなしに突撃してしまったのだ。
「なにやってるんだ!!」
入ってきた僕に驚いた様子の大原君と桜野君…。
そして、目を見開いた…唯兎、…?
勢いよく入ったのにカチリ、と身体が固まってしまった。
僕の脳内ではいかがわしい事を唯兎に強いている2人が…なんて、健全とは言えない事を考えて突撃したのだが…目の前に広がってる光景は…。
チェシャ猫をモチーフに作られた衣装を身にまとい、ズボンには尻尾が付けられていて頭には猫耳がついていた。
唯兎は猫耳を外そうとしているのか頭についている耳のカチューシャを掴んでいるが、桜野君に阻止されているようだ。
それが更に唯兎の猫感を増している気がして目が離せず、持っているお盆を持つ手が少し緩みそうになった所を大原君が支える。
「…に、兄さん…?」
唯兎の声にハッと脳が活動し始める。
そうだ、こうしてはいられない。
僕はお盆を持っていたことも忘れてリビングに駆け降りた。
買い物の時に持っていた鞄の中からスマホを取り出すと慌てすぎて足がもつれそうになりながらも唯兎の部屋へ駆け上がる。
「唯兎…!目線こっち!!」
「兄さんまでなに!?」
桜野の君が大きな口を開けてゲラゲラ笑ってる声が部屋に響く。
可愛い唯兎の子猫姿をとにかく1枚でも多く残さなきゃ、という使命感から唯兎から目を離さずスマホを構えると諦めたのか恥ずかしそうにモジモジしてベッドに座っている唯兎の希少レベルはMAXだと思う。
パシャパシャとスマホのカメラでシャッターを切りまくっていると漸く落ち着いたらしい桜野君と大原君が座ってクッキーを食べていた。
どうやら先程落としたと思っていたお盆は大原君により無事に回収されていたらしい。
そういえば支えてくれていた気がする、なんて思いながらも唯兎を写真に撮る手が止まらない。
「それで、この素晴らしい唯兎はどうしたの?」
「今日は2月22日…ニャンニャンニャンの日じゃないですか。学生らしい遊びですよ」
「2人でやればいいじゃんかー!!俺は関係ないっ!!」
顔を真っ赤にして大原君の言葉に噛み付く唯兎は子猫が威嚇をしているようにとても可愛らしい。
その姿もパシャパシャと写真に残すと唯兎はついに限界点が突破したのか、勢いよく立ち上がり僕に向かって突撃してくる。
「しゃーっ!しゃーっ!」
「あぁ…唯兎可愛い…威嚇してるの?もうどうしてそんな可愛いの」
「もう兄さんうるさい!!本当うるさい!!きらいっ!!」
「ぁー…可愛い…」
「もおおおおっ!!」
僕にしがみつきながら涙目になり、ひたすらに威嚇をする唯兎をギュッと抱き締めると盛大な溜め息と共に力を抜く。
小さい声で「もーいいです…」なんていう唯兎も可愛いよ。
猫耳の唯兎と顔がだらしなく緩んだ僕が抱き合ってる写真が大原君から送られて来た時にはどうしようかと思った。
…2人には何かお礼をしないとな、何が良いかな。
そんな事を思いながらスマホの写真を整理して両親に送る。
後日、お母さんからテンション高い電話が掛かってきて唯兎が怒る…なんて事もあったけどそれはまた別のお話。
とても良い日でした。
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