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26.報告
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「マリーさんの姿を見せることが出来なくて残念でした。山田達・・・当の本人同士しか映さないのですね」
椿はガッカリしたように肩を窄めた。
「ええ・・・。マリーは元気ですか・・・?」
マリーが部屋から出て行ったと信じているオフィーリアも残念そうに肩を落とした。
「は、はい! マリーさんは元気ですよ!」
「そうですか・・・。マリーは椿様の世話をきちんとこなしていますか? 行き届いていないところはございませんか?」
「全然! まったくです! いつも良くしてくれて山田の境遇も理解してくれて本当に助かっています! 心強い味方です!」
「良かった。あの子のことだからきっと不可思議なことがあってもきっと分かってくれると信じていましたけど、それを聞いて安心しました」
「信頼しているんですね! マリーさんを」
「もちろんですわ。信頼していない者を連れてくるわけがないでしょう。身の回りの世話をすべて任せるのですから。それに比べて、こちらはすべて自分でしなければならなくて・・・。着替えも髪を整えるのもすべて自分。本当に疲れますわ・・・」
「す、すいません・・・。山田はマリーさんに手伝ってもらって毎日楽してます・・・」
「それ以外も、お食事は椿様のお母様が作って下さるけれど、片付けはわたくしがさせられていますのよ? 信じられませんわ、このわたくしが食器を洗うなんて!」
「す、す、すいません! 食器の後片付けは山田の仕事でして!」
「そのようですわね。椿様のお母様もわたくしが別人格だと理解した上で、今は椿様なのだからこなすように言われました。これくらい出来ないと元の世界に戻ってもお嫁に行けないそうですわよ?」
チラリと不機嫌な目線を椿に送る。
(お母さん~~~!? 何を言ってるの~~、侯爵令嬢に~~)
「慣れずに何枚もお皿を割ってしまいましたわ。洗剤で手が滑って」
ふぅ~とオフィーリアは溜息をついた。
「でも、お母様はお叱りにはならなかったわ。その度に怪我をしていないか心配して下さって。お優しい方ですのね、椿様のお母様」
「そ、そうですかね・・・?」
椿はハハハと笑いながら頭を掻いた。
「そんなことよりも、椿様!!」
「はひっ!」
オフィーリアの口調がガラリと変わり、椿は軽く飛び上がった。
「そちらの生活はどうなっておりますの? わたくしとしてどのように過ごされているのです? 近況をご報告くださいませ!」
そうだ、近況報告! 椿だって自分の世界の情報が欲しい! 一体全体、このお嬢様は山田椿として喪女を通せたのか? クラスで悪目立ちしなかったか?
でも、まずは!
「オフィーリア様! 今日、ちょっとした事件がありました! そのことでオフィーリア様に確認したいことがあります!」
「事件?」
オフィーリアは眉間に皺を寄せた。
「はい。今日ですね、山田は学院を遅刻しまして・・・」
「遅刻ですってぇ!?」
「え、えっと、まあ、ちょっと朝の支度に時間を要し・・・」
「こ、このわたくしが遅刻ですって? なんてこと! とんでもない事件だわ!」
「す、すいません、すいません! でも事件の本質はこれではなくて・・・、これはきっかけでして・・・」
「ありえませんわ! 椿様! あなたは今わたくしだという自覚はございまして!?」
「ご、ごめんなさい! あることはあるのですが・・・。それよりもお話を聞いてください!」
鏡に向かってアタフタする椿の姿を見て、部屋の隅で見守っているマリーはクスっと笑った。
「お嬢様・・・きっとお元気ね。よかった・・・」
☆彡
「・・・そんなことが・・・あったのですね・・・」
椿から一通り報告を受けたオフィーリアは俯いてしまった。
その顔は悲しくて辛いというよりも、悔しくて苦しそうだ。
「わたくしもダリア様と同じように、オリビア様が嫌がらせを受けていることは知っていました。でも、誰が犯人かは知りませんでしたし、探そうとも思いませんでした。何より、関わりたくなかったのです。それが裏目に出ましたわね・・・」
オフィーリアは下唇をギュッと噛んだ。
「いいえ、それだけではないわ・・・。日頃のわたくし達の態度はオリビア様に冷たいものでした。正しく柳様のおっしゃる通り・・・自分で自分の首を絞めていたのね・・・」
「オフィーリア様・・・」
「それでも、まさかわたくしが虐めの主犯とされていたなんて・・・。どうしてセオドア様の私に対する態度が異常なまでに冷たかったのか、やっと分かりました・・・」
オフィーリアは辛そうに俯いたまま顔を上げない。
椿はそんなオフィーリアが気の毒でならない。だがここははっきり聞かないといけない。
「あの・・・、やっぱりオフィーリアは白・・・って言うかその、虐めはしていないですよね?」
勇気を出して聞いてみた。
「そうですね・・・。教科書を破ったり捨てたり、制服を汚すなどという卑劣なことはしておりません。でも、柳様のおっしゃる通り、彼女の品のない素行を聞こえるように咎めることはありました。それを虐めだと言えばそうなのでしょう。実際にわたくしに意地の悪い思いが無かったと言ったら噓になります」
オフィーリアは自分の胸に両手を当てた。
「わたくしの中で常に嫉妬は渦巻いておりましたから・・・」
後半は声が掠れていた。
そして、ポタポタと椿の一重の瞳から涙が零れ落ちた。
椿はガッカリしたように肩を窄めた。
「ええ・・・。マリーは元気ですか・・・?」
マリーが部屋から出て行ったと信じているオフィーリアも残念そうに肩を落とした。
「は、はい! マリーさんは元気ですよ!」
「そうですか・・・。マリーは椿様の世話をきちんとこなしていますか? 行き届いていないところはございませんか?」
「全然! まったくです! いつも良くしてくれて山田の境遇も理解してくれて本当に助かっています! 心強い味方です!」
「良かった。あの子のことだからきっと不可思議なことがあってもきっと分かってくれると信じていましたけど、それを聞いて安心しました」
「信頼しているんですね! マリーさんを」
「もちろんですわ。信頼していない者を連れてくるわけがないでしょう。身の回りの世話をすべて任せるのですから。それに比べて、こちらはすべて自分でしなければならなくて・・・。着替えも髪を整えるのもすべて自分。本当に疲れますわ・・・」
「す、すいません・・・。山田はマリーさんに手伝ってもらって毎日楽してます・・・」
「それ以外も、お食事は椿様のお母様が作って下さるけれど、片付けはわたくしがさせられていますのよ? 信じられませんわ、このわたくしが食器を洗うなんて!」
「す、す、すいません! 食器の後片付けは山田の仕事でして!」
「そのようですわね。椿様のお母様もわたくしが別人格だと理解した上で、今は椿様なのだからこなすように言われました。これくらい出来ないと元の世界に戻ってもお嫁に行けないそうですわよ?」
チラリと不機嫌な目線を椿に送る。
(お母さん~~~!? 何を言ってるの~~、侯爵令嬢に~~)
「慣れずに何枚もお皿を割ってしまいましたわ。洗剤で手が滑って」
ふぅ~とオフィーリアは溜息をついた。
「でも、お母様はお叱りにはならなかったわ。その度に怪我をしていないか心配して下さって。お優しい方ですのね、椿様のお母様」
「そ、そうですかね・・・?」
椿はハハハと笑いながら頭を掻いた。
「そんなことよりも、椿様!!」
「はひっ!」
オフィーリアの口調がガラリと変わり、椿は軽く飛び上がった。
「そちらの生活はどうなっておりますの? わたくしとしてどのように過ごされているのです? 近況をご報告くださいませ!」
そうだ、近況報告! 椿だって自分の世界の情報が欲しい! 一体全体、このお嬢様は山田椿として喪女を通せたのか? クラスで悪目立ちしなかったか?
でも、まずは!
「オフィーリア様! 今日、ちょっとした事件がありました! そのことでオフィーリア様に確認したいことがあります!」
「事件?」
オフィーリアは眉間に皺を寄せた。
「はい。今日ですね、山田は学院を遅刻しまして・・・」
「遅刻ですってぇ!?」
「え、えっと、まあ、ちょっと朝の支度に時間を要し・・・」
「こ、このわたくしが遅刻ですって? なんてこと! とんでもない事件だわ!」
「す、すいません、すいません! でも事件の本質はこれではなくて・・・、これはきっかけでして・・・」
「ありえませんわ! 椿様! あなたは今わたくしだという自覚はございまして!?」
「ご、ごめんなさい! あることはあるのですが・・・。それよりもお話を聞いてください!」
鏡に向かってアタフタする椿の姿を見て、部屋の隅で見守っているマリーはクスっと笑った。
「お嬢様・・・きっとお元気ね。よかった・・・」
☆彡
「・・・そんなことが・・・あったのですね・・・」
椿から一通り報告を受けたオフィーリアは俯いてしまった。
その顔は悲しくて辛いというよりも、悔しくて苦しそうだ。
「わたくしもダリア様と同じように、オリビア様が嫌がらせを受けていることは知っていました。でも、誰が犯人かは知りませんでしたし、探そうとも思いませんでした。何より、関わりたくなかったのです。それが裏目に出ましたわね・・・」
オフィーリアは下唇をギュッと噛んだ。
「いいえ、それだけではないわ・・・。日頃のわたくし達の態度はオリビア様に冷たいものでした。正しく柳様のおっしゃる通り・・・自分で自分の首を絞めていたのね・・・」
「オフィーリア様・・・」
「それでも、まさかわたくしが虐めの主犯とされていたなんて・・・。どうしてセオドア様の私に対する態度が異常なまでに冷たかったのか、やっと分かりました・・・」
オフィーリアは辛そうに俯いたまま顔を上げない。
椿はそんなオフィーリアが気の毒でならない。だがここははっきり聞かないといけない。
「あの・・・、やっぱりオフィーリアは白・・・って言うかその、虐めはしていないですよね?」
勇気を出して聞いてみた。
「そうですね・・・。教科書を破ったり捨てたり、制服を汚すなどという卑劣なことはしておりません。でも、柳様のおっしゃる通り、彼女の品のない素行を聞こえるように咎めることはありました。それを虐めだと言えばそうなのでしょう。実際にわたくしに意地の悪い思いが無かったと言ったら噓になります」
オフィーリアは自分の胸に両手を当てた。
「わたくしの中で常に嫉妬は渦巻いておりましたから・・・」
後半は声が掠れていた。
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