目が覚めたら奇妙な同居生活が始まりました。気にしたら負けなのでこのまま生きます。

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呪夢の見る間ー導師と領主ー①

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 「‥…原因はわかっているのか?」

 眉間に皺を寄せた友が俺を射貫くような視線で詰問する。

 (友ではなく領主の顔だな)

 俺は自分の甘さから招いた結果と誹りを受けるのも厭わないのだが‥‥
 今回ばかりは恣意的な行いを改めるか。
 焦る気持ちを宥めつつ友に述べる言葉を選ぶ。 

 「‥‥実は俺も良く分からない。不完全な呪いだと油断したのは俺の責任だ。すまねぇ‥‥」
 「‥‥導師のお前でも判断ミスを起こすとは」


 俺は過去に編み出された呪術と違うと説明を行う。友は驚いた顔で

 「ではこれは新たに作られたモノだと言うのか?」

 自分で言って、頭を左右に振るのだ。信じ難いのだろう。俺も同じだ。

 「今の段階では何も答えられない。情報が無くてな。だがガキは眠り続けているのが証拠だ。延命装置もなく半月も昏睡状態だなんて。状態異常も甚だしい。術に陥ったと見るのが妥当だ」

 ――そう、あのガキは一度眠りから覚めた後、再び眠りに落ちた。彼是半月経過したのだが未だ目覚める気配はない。状態異常で延命措置もなく生き続けるなど呪術以外に思い浮かばん。



 溜息と共に苦悩が漏れ出る。

 「どうすれば良いのだ」
 「‥‥呪術具か術者を探し出すしか手はねえ。お前んとこの魔導士を捜索に回して貰いたいが、頼めるか?」
 「‥‥それは大丈夫だ。捜索に手を回そう。それでお前はどうするのだ」
 「俺も捜索に回るわ。後‥‥王族権限で禁書閲覧の許可を捥ぎ取って欲しいのだが頼めるか?」
 「何だと? 禁書とは、また穏やかでないな‥…わかった。王宮に共に参ろうか。私が頼めば許可は頂けるとは思うが、期待するなよ?」
 「わかってる。すまん」
 「よい。それで? お前の見立ては? 隠し事をせず全て話すのが閲覧の条件だ。申せ」
 「‥…仮説の域だがいいか?」
 「構わぬ」
 「‥…‥…」

 二人の間に思い沈黙が流れる。

 導師も領主も目の前の幼子が眠りついてしまったことで僅かに動揺していた。この呪術が完成してしまえば、間違いなく災厄を招くだろう。だが、呪術は不完全で発動していなかったと導師は述べたのだ。
 二人、無言でそれぞれ思案を巡らせ仮説と対応を考えているのだ。答えが出るまで二人は言葉を発しないだろう。

 領主はジッと導師の言葉を待つ。迂闊な物言いは良からぬ結果を招くと理解していても今は幼子の呪術が解呪可能かどうか。周囲に与える影響を正確につ掴みたいのだ。

 不満を吐き出すように領主は息を吐き口を開く。

 「‥‥どこでなら情報を得れるのだ。いや違うな。どうすれば情報を得ることが出来るのだ。申せ」
 「仲間の導師に聞いてみるわ。だが、出来れば最終手段にしたい。あいつらに関わられると後々面倒な事になるのは明らかだ。事例の無い呪術がこの地で発動したんだ、興味本位で導師達はやってくるぞ。此方の意向など全く意に介さない我儘な奴等だ。領主…領地ごと巻き込まれ禄でもねえ先しか見えねえわ」

 導師の存在を思い出したのか友の眉間の皺は一層刻まれた。

 「そ、それは最終手段だな‥‥。その判断はお前に任せるが良いか」
 「ああ構わねえ」







 友が「王宮に赴く前にこれを」と差し出したのは一冊の古い本。表装も題名もない。ただの本だ。領主が持つには不似合いなソレ。友の思惑が読めねえ。


 「これは‥‥個人の日記らしい。入手の経緯は不明だ。詮索するな。歴代領主の墓前に隠すようにあったのだ」
 「歴代‥‥墓前?」

 友は一体何を考えているのだ。領主の墓前は霊廟だろう。

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