目が覚めたら奇妙な同居生活が始まりました。気にしたら負けなのでこのまま生きます。

kei

文字の大きさ
44 / 71

呪夢の見る間ー導師と領主ー②

しおりを挟む

 「霊廟なんぞで見つけたとは‥‥何故そのような場所を捜したのだ。お前何か知っていたのか?」

 不可解な事は友が何故霊廟などと歴代領主の墓の中を捜したのか。何か思う事があっての事だとは思うが、突拍子の無い話ではないのか?
 友は俺の釈然としない顔を見て、「ああ誤解させたようだ」と弁明を始めた。

 
 「今回見つけたのではないのだ。3年前に我が妻と子を埋葬したであろう。その時に偶然見つけた物だ。何気なく手元に置いていただけだ。まさか今こうしてお前に見せる日がくるとは」
 「‥…ああ、そう‥‥そうだったな。すまねぇ」
 「気にするな。私も今まですっかり忘れていたのだ。調べるのであればお前が適任だろうと思って持ち寄ったのだ。どうだ、何か足しになりそうか?」


 ‥…失念していたが災厄の大災害で友は第一夫人と息子を亡くした。友は偶々王都にいたため災厄には巻き込まなかったが代わりといっちゃあなんだが妻子が犠牲となったのだ。喪失感を抱え未だ癒されていない友を見るのは俺も辛い。

 だがこればかりは‥…友の心が癒える日が早く来ることを願うばかりだ。


 「‥‥中身を見て見ないと何とも言えないがどうだろう? ん? 何だこれ、保存魔法が掛かっている?」

 手渡された日記の中を検めると意外な事に保存魔法が施されていた。何の変哲もないただの日記ではなかったのか。
 
 「‥‥日記に保存魔法? これはそこまで価値のある物か?」

 「ああ、お前もそれが気になったか。私も単なる日記に保存魔法を掛けてまで保管する持ち主の意図が読めず、もしかすると日記は偽装で秘密の手記かと思ってな。出来ればお前に調べて貰いたいのだ。実は、その‥‥書かれた言葉が古くて私では満足に読み解けなくて‥…はは、古い言葉は苦手でな」

 そう言えば学生時代から古語が苦手だったなと当時を思い出して納得した。
 だったら俺が引き受ければいいか。万が一、呪術が記載されていては問題になるから丁度いいか。


 「はは、それなら話は別だ。わかった暫く借り受けるとしよう。解読でき次第報告を入れる。それでいいか?」
 「ああそれでいい。すまぬが宜しく頼むぞ」
 
 俺は日記に手掛かりがないか検証を行うため友と別れた。








 「ふぅ‥…いくら読んでもただの日記だ。はぁ‥‥恋した男への恋慕しか書いていねえ。くそっ、読むだけ無駄だ!」

 保存魔法を掛けてまで残したい日記なのかと持ち主に文句を言いたい。筆者は頭の中身が随分とお目出度い女だった。惚れた男の気を惹くためにあれこれ奮闘したが努力は徒労に終わる。真心が通じない相手に嘆き至らぬ自分を哀れみ、どこかいけなかったのかと後悔が綴られている女の悲恋の内容だった。

 
 「ちっ、全く関係のない話だったな‥‥はぁ、また振り出しに戻るか」


 友の好意とは言え、何が楽しくて他人の傷心した心情が書かれた手記を読まなければならないのか。つい、愚痴りたくなる。
 
 ああ酒でも飲まにゃ…やってられねえ。

 何気なく手にした日記の最後のページを何となく眺めていると、薄らそこに何かを消した跡が見えた。

 
 「ん? 何か書いて消したのか‥‥ええ~と、ちっ、かなり古い文字だな、不鮮明で何を書いて‥…? えっと‥‥望む、世界…目覚め…ぬ夢? 魔力、捧げ? く…もつの‥‥魔力? 術、条件…‥くそ、読み難いが、何でこんな場所に書いてあるんだ?」

 只の悪戯書きにしては気になるワードでまとめられている。だが途切れ途切れで文章として読めない。暫く繰り返して読んでみたがこれ以上、この日記から読み解くのは難しいだろう。

 
 「さて、どうしたもんか‥…」

 
 淡い期待でしかなかった日記が最後のページの意味深なワード。
 暗中模索状態に僅かな、ホンの僅かな手掛かりになる可能性を見つけて俺は徒労が報われるかと期待が膨らんだ。





 トントン

 「導師様! 領主様がお呼びでございます」

 部屋をノックし入って来たのは領館の護衛騎士だ。領主の命で取り急ぎやって来たと言う。このまま村はずれの結界の森に同行を願われた。

 友は一足先に現場にいるのだと言う。そこで発見されたモノを一緒に検分して欲しいのだと。



 俺達は急いで現場に向かう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜
ファンタジー
 ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。  だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。  趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?  ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。 ※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!

町工場の専務が異世界に転生しました。辺境伯の嫡男として生きて行きます!

トリガー
ファンタジー
町工場の専務が女神の力で異世界に転生します。剣や魔法を使い成長していく異世界ファンタジー

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...