目が覚めたら奇妙な同居生活が始まりました。気にしたら負けなのでこのまま生きます。

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呪夢の見る間ー導師と領主ー③

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 俺は騎士達に案内され友の元に向かったのだが到着した場所は森の中にある結界の前だった。あの結界の先には未開拓の森があって魔物が跋扈していると言うのだが森を抜けた先は他国へと続く。この領地はこの森があるおかげで他国からの侵略は免れているのだ。

 人間の侵略はないが魔物の侵入はある。それを結界を張り巡らすことでこの地を守っている。

 今俺達はその守りの結界の前で一点を眺めていた。



 ――結界は国境沿いの領地に必ず設置が義務化されている守りの壁だ。

 他国からの侵略や魔物の襲来と言った災厄を寄せ付けないため古くからこの国に施されている守護防御。

 鉄壁の守りと言われた結界に異変があったのは3年前。

 理由は知らぬがこの領地に結界に綻びが生じ魔物たちが押し寄せたと言う。前領主一族。実は友の妻の実家がこの領地の領主だった。友の妻は領主一族の長女だったのだが友に見初められ結婚した。友は第三王子の身分でその妻は王子妃として子宝にも恵まれ幸せに暮らしていた。

 久し振りの里帰り。そう聞いた。友は兄王子の所用で里帰りに同行できず遅れて領地入りの予定だったらしく急報が届いた時は後手後手に回り事が終わった後だったと言う。

 友がどう決断したのか知らないが災厄が訪れた領地に後任の領主として赴任したと聞かされたのは2年前だ。妻子の眠る地を守りたいとそう言っていた。



 「すまぬな、実は捜索に出ていた魔導士が何かを発見したようでお前に見てもらいたいのだ」
 「それは構わないが、結界の外に出たのか?」
 「ああ、魔導士が魔力の流れに異変を感じたのだ。また結界に歪が出てはと思い調査させたのだが。お前も確認して欲しい」
 「わかった。行こう」
 「よし、では騎士隊10名を同行させる。他に10名を周辺の見回りを行うように。何か異常があれば緊急用の連絡を。よいな無茶はしないようにくれぐれも慎重にな」


 俺達は結界の外に出て先行調査に向かった魔導士たちを追いかけた。

 結界の外は木々が生い茂ってはいるが比較的開けているため歩きやすい。

 これも3年前の災害で木々が薙ぎ倒された名残で今は歩きやすいのだと教えてくれた。歩くこと数分、魔導士と騎士達の姿が見えた。何かを囲んでいるようだが一体何だ? 近付かないと判別できやしねえ。


 「領主様、此方です。ここで発見しました」
 「そうか…‥この者は?」
 「恐らく行方知れずだった孤児院長ではないかと」
 
 女が発見された場所は結界からそう離れてはいないが木々に遮られ見付かり難い場所だ。俺の正直な意見では良く見つけたなと感心してしまう。

 女は眠っているとしか思えない姿だった。墓標か何かわからないが石標の前で横たわっているのだ。

 (何だこれは? 奇妙だ‥…)

 魔物が多い筈の場所に無傷でいるのだ。異常ではなかろうか。

 周囲に魔物が居ないか騎士達に引き続き索敵をさせ魔導士と共に検証に入った。よく見ると女は魔法陣の上で横たわっている。多分、これが魔物除けとなったのだろう。

 
 「魔法陣だな。おい、お前達、魔法陣に触れないよう離れるんだ」
 「なんだこれは? 何故、魔法陣の上に?」
 「さてね、この女、間違いないな孤児院長だ」

 見間違うことは無い。あのクソガキの測定の時に側にいた女だ。

 検分を始めたが一見、外傷はない。本当に眠った状態に見えるが息はしていない。可哀想だが恐らく自死だろうな。これでクソガキに掛けた呪術が判明すれば良いが‥…

 
 「おい、魔導士さんよ、この魔法陣を書き写してもらえないか? それと女の遺体を領館に運んでくれや。そっちで検分しよう。ここは長居は無用だ」
 「わかった。では皆もそのように動いてくれ。ラウル魔導士、頼まれてくれるか」
 「はい、領主様」

 

 「あっ! ま、魔物です! こちらに向かって来る魔物が数体! 領主様お早くお逃げ下さい!」

 「な、何だと?! くそ、こんな時に!」

 「お前達、領主様をお守りするんだ! 早く陣形を!」

 「ちっ! しゃーねえ! おい魔導士! 領主連れて逃げろや!」

 「ラグサスー! お前も逃げろ!」

 「俺は大丈夫だ、早く撤退するんだ! いいから早くいけ! お前ら領主を守ってこの場から逃げろ!」

 魔導士が領主を引き摺る形でこの場を離れた。彼等の周囲は騎士達が。何とか逃げ延びれたか。俺は時間稼ぎで結界を張り巡らせた。魔物はこれで近寄ることは出来ないだろう。女の元へも無理だろうな。あの魔法陣が魔物除けとなっている筈だ。一先ずこの場を離れるしかないか。


 俺達は結界の場所まで引き戻り全員の無事を確かめた。
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