目が覚めたら奇妙な同居生活が始まりました。気にしたら負けなのでこのまま生きます。

kei

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呪夢ー目覚めの前ー①

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 やって来ました最大イベント。

 繰り返しの最終イベント。

 乙女の私にトラウマ級の恐怖を味わわせたイベント。

 そう、それは、結婚式である。

 フローレンスちゃんの場合、結婚式=命日だけどね。


 何度も味わったからストレス耐性は付いたね。くーちゃんにもメンタル強とお褒め頂いたぐらいだ。鋼な心臓かもね。

 とは言え、ウンザリ、鬱々だよ。

 「はぁぁぁぁぁ‥‥」

 
 バージンロードが黄泉への旅路とは‥‥あっそう言えば結婚は人生の墓場って誰かが呟いてたっけ。私の場合、比喩でも何でもないよね。はぁ。

 って、これ毎回ぼやくの。もう様式だよ。







 目の前に聳える大聖堂。

 ああ、この光景が人生の終わりであり始まりでもある‥‥他の人なら意味が違うね‥‥私の場合、まさに今生の終焉地なんだけど。
 
 でもね、今回のループは今までの結集の意味合いが濃いわけ。
 ひたすら王子様と一緒に過ごす時間を大切にした。もう全身全霊捧げたと言っても過言でない…は大袈裟だけど。
 王子の性格を知り尽くした後だもん、上手く立ち回れたよ私でも。

 二人の仲は良好で今日の日を迎えた。
 この後、また巻き戻るからと、おざなりにせず誠実に向き合った。
 
 私、アイナになってから、愛菜だった時も、これほど他人に真摯に向き合うことってあったかな‥‥

 相手の顔色を見て自分を押し殺すのでもなく、また、片意地張らず、頑なにならず、自分の気持ちに向き合って『どうしたいのか』『どうされたいのか』真剣に考えることが出来た。自分の人生じゃないのに。

 自分フローレンスの気持ちを大事に受け取めることで、喜怒哀楽の感情を冷静に見つめる事が出来たのは、まさしく福音だ。

 だから、王子様の感情の起伏にも冷静に応対できた。

 『冷たい』『無関心だ』『好きじゃないから』過去に王子様に詰られた言葉は今生は聞かない

 お互い‥‥かどうかは判んない。でも少なくとも私は寄り添えた、ううん、寄り添った! 頑張った! 私、めげずにやり切った!

 誰も褒めてくれないから、自分で褒める! だって自己肯定は大事だよ!

 自分を鼓舞して結婚式に挑む私は、まさに戦場に赴く女戦士、なんてね。
 そんな私にも、どうしても遣り遂げたい事がある。

 それは…

 「着きました」

  考え事に浸る私を、これからの出来事に意識を向けさせたのは、護衛の無情な言葉だ。抑揚のない声が私の緊張を否応なく高まらせた。

 ああ、これから。
 私の‥‥フローレンスの正念場がもう間もなく。

 馬車から降り立つ純白のドレスに身を包んだ私を迎えるのは赤いカーペット  まるでこれから起こる惨劇を彷彿させる、鮮血の色。

 ‥‥これ、選んだ人の趣味悪いわ~

 皮肉に、嫌味を言いたくなるのは仕方ないよね。


 
 ベール越しに見据える大聖堂の扉。
 今は開いてるの。

 ‥‥どうせなら開けっ放しにしててよね。


 顔を正面に向け、決意を漲らせた視線を逸らすことなく大聖堂を見据える。
  
 
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