転生先は小説の‥…。

kei

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第一章 攻略対象一人目 正しい第一王子の取り扱い方

クリスフォード王子 ③

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後任指導の元、公共事業が行われた。多額の金が動く。管轄地だけではなく王都からも補助金が降りた。何故だか俺の手元にも大金が入ってきた。これは嬉しいぞ! 後任の手腕はすばらしい! 俺の金だ。マリエラには最高品の物を用意させよう! 俺が贈るのだ。彼女の喜ぶ顔を想像して俺は堪らなくなった。





後任者が俺に密告してきた。彼は王宮仕えの文官だった。配属先で不正に気が付いたが告発する前に証拠を握り潰され不当に解雇された。彼は報復を恐れ推薦元の貴族に助けを求め逃げてきたのだと。聞けばレティエルの父親と兄が悪事に手を染めていた。勿論レティエルも。俺は怒りで己を見失いそうだ。その非道ぶりを俺は許せぬ! 俺が代わりに公爵家の悪事を暴いてやる! 憤りに駆られた俺はすぐにも飛び出す勢いだった。

彼は出来る男なのだろう。怒り心頭の俺を宥めるように何事にも準備が必要だと諭してくれた。彼の後ろ盾となっている貴族と手を組んで公爵家に正義の鉄槌を降してくださいませと懇願された。

俺は正義の鉄槌を降せる男だと言われ満更でもなかった。

ならば公爵家とレティエルを成敗すれば良いのだろう。俺がやってやる。







レティエルとのお茶会だ。月に一度とは言えどこのような悪女と一時でも過ごせねばならぬ我が身を呪ったぞ!

相変わらずの澄まし顔に反吐が出そうだ。俺はこいつの悪事を暴けるのかと思うと腹を抱えて笑いたい心境だ。ついつい顔に出たのだろうか。レティエルが何か嬉しいことでもあったのかと聞いてきた。おおそうだとも! これ程嬉しいことはないぞ! 

俺は不敵に笑ってやった! のうのうとしていられるのも今のうちだ!と。

俺は何時までもお前と公爵家の思い通りに行くと思うなよと告げてやった。

レティエルはおやっと目を微かに動かしただけだった。バレていないと思っているのか!甘いわ!

久ぶりに有意義なお茶会だったぞ! ぬははは!

俺は有頂天になっていた。

だから静かに見つめるレティエルが腹を括ったような表情をしたことに気が付かなかった。





レティエルから相談があると言ってきた。何だレティエル。赦しを得たいのか?

甘いぞ、まあ泣いて縋ってきたら考えぬこともないがな。



レティエルの話は身辺に不穏な動きがある。嫌がらせか命が狙われたのかわからないが身の危険を感じている。それは予想外な話だった。

レティエルの話は俄には信じられない。俺に疑われたと思っての芝居かも知れぬ。俺は騙されんぞ!

レティエルは俺を騙す気か。見縊られたものだな!

俺は即座にお前の魂胆はお見通しだと告げた。アレは驚いた顔をした。

ふん! 見破られるとは思わんだか。



俺は正義の使者の気分でいた。

アレと公爵家の悪事を暴いて婚約破棄をして愛するマリエラとこの国を治めるのだと。俺に相応しい未来があると心は歓喜していた。







あの祝賀会の日。

全てが変わった。‥‥‥どうしてこうなったのだ!





あれから幾日も過ぎた。今日は父上から俺に沙汰が下される日だ。

何故だ!皆は騙されているのだぞ! 何故、レティエルと公爵は捌かれぬのだ!

俺はあの日からずっと混乱の中だ。誰か助けてくれ‥‥。





父上が厳しい目で俺を見る。俺は泣きたくなった。父上も騙されている!俺はそう思った。

父上が俺に何か言うことはないのかと尋ねてくれた。

俺は全て話した。そして父上も皆も公爵達に騙されているのだと言い切った。

どうかどうか俺を信じてくれ!! 俺は祈る気持ちで父上を見つめた。





『お前以外の者が騙されておると? この儂までもが? よもやここまで愚かだとは思わなんだわ。もうよい。連れて行け二度とその顔見たくわないわ』

俺は父上に見捨てられた‥…。



『やはり我が子ではなかったか。‥‥愚劣さは父親譲りか』



連行される直前、父上の零した声が耳に残る‥…。

父上、父上‥…いまなんと‥‥‥。







俺は‥‥おれは



おれはいったいだれのこなんだ‥…。

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