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第九章 王国の異変

ランバードの呟きー①

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レティエルが義兄の部屋を訪れる少し前の話です。
丁度、待機していたガザの面通りがなされる頃です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お初にお目に掛かります。オルレアン様の『猟犬』であるガザでございます。今回はカレンシア様より若君の動向を伺いハイデに接触いたしましたが、こうやってお目通りが叶い嬉しく存じます」


お義祖父様の『猟犬』と呼称される密偵が姿を現しました。
彼等は対象者をどこまでも追跡し追い詰めます。どんな教育を受ければ対象の足跡を上手く嗅ぎ分け必要な証拠を揃えれるのか。彼等の技術は驚異的です。

そしてお義祖父様には別に『狂犬』と呼称される汚れ仕事専門の部下も存在します。
今回は猟犬でしたので血生臭い事にはなりませんが、クレアにとっては狂犬を差し向けた方が良かったのではと思います。これから先、彼女は陽の当たる明るい世界で生きることは許されないでしょう。
と言っても彼女がどうなろうとも私には関係ないのでどうでもいいです。

レティもクレアに対し関心が薄いのか、見ていても報復を考えていないのがわかります。であれば、お義祖父様のお好きになされば良いでしょう。

私はレティの憂いを除き、あの子の笑顔が見れればそれでいいのです。



「ああ、ご苦労。ランバード・ファル・ファーレンだ。今はファーレン家の身分を使っている。お義祖父様には私兵の使用許可を頂いているので君もそのつもりで。ああ、無体な命令はしないから、安心するように」
「はっ、畏まりました」
「では、クレアの報告を」


ガザから齎された情報に、信憑性を疑いました。
お義祖父様の部下を面と向かって疑わしいとは言えません。
それに、嘘を言っているようにも見えません。

‥‥これは、困りましたね。

はぁ、レティが気にも留めていない女の近況など無視したいのですが、義母上がガザを寄越したとあれば、何か思惑があるのでしょう。
一刻も早く帝国に着かねばならない筈では? 義母上。
ここで寄り道をする時間はないと思うのですが、違うのでしょうか。


それにしても、レティと旅行が出来ると喜びもひとしおでしたが、義母上は私に面倒極まりない仕事をさせたいのでしょうか。養子の身としては逆らえません。ここは意を汲み望まれる結果を出さねばお仕置きされてしまうのは私です。

前回のお仕置きは、途轍もなく酷いものでしたね。義父上は血も涙もない非道な‥‥あ、いえいえ、滅相もない、そんなことは思いませんよ。

レティへの接近禁止を言い渡され、収監され、隣国へ出張工作を命じられたのは記憶に新しいですね。お仕置きと課題が多忙過ぎてレティに会えず辛い時間を過ごしました。

まあ、功績に対しての処遇でレティの護衛を許されたのは私にとってはご褒美で大変喜ばしいことでしたので相殺ですね。
ですが義父上は本当に飴と鞭の使い分けが絶妙です。
護衛に条件を付与、などと鬼畜かと思える沙汰には驚きよりも嘆きが勝りました。内緒ですが。

自ら正体をバラしてはいけない、声を出してはいけない、姿を見せてはいけないと。なんと辛い処遇でしたか。レティに気付かれず過ごせとは本当に義父上は酷いお方です。そうです護衛は護衛でも影からの護衛でした。


実はクレアのおかげでレティの側での護衛の許可が下りました。


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