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第十章 クリスフォード・ラックスファル侯爵領

七つ野郎は七つじゃなくなった(期間限定)ー①

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不安を拭うかのように義兄は言う。

「レティ、この魔法陣は正式な契約魔法の類で禁術じゃないから安心して」
「禁術じゃなかったのね! 良かった」

俺達は顔を見合わせホッとした。義兄も自衛のためだと割り切っていてもレティエルに禁術を触れさすのは抵抗があったのだろう。暫しの安堵だ。

だが禁術でなくとも七つの魔法陣は尋常じゃない。効力の強い魔法陣一つで事足りる話なのだ。考えられるのは、余程機密性の高い情報か。契約者が偏執者、もしくは強迫観念の強さからか。義兄も判断に困っている。


「この魔法陣は‥‥守秘契約の類だけど、よくもまぁこれだけ施したものだ。呆れたね。流石は高位貴族の一門だけあって金に糸目は付けないのか」

義兄はやれやれといった表情で「これは面倒事を押し付けられたね」と苦言を零した。どういうことか尋ねると苦笑交じりに「本人に聞いてみようか?」と誤魔化す。まぁ確かにその方が確実だ。





最初の抵抗が嘘のようにスルッと障壁は撤去できた。あの抵抗は微量な魔力が原因だったのか。魔力の多いレティエルは難なくその抵抗を抑え吸い取った。

魔法陣が禁術ではなくて、一門専用の契約魔法だと判明したのも大きい。精神的負荷が軽減したのだ。扱う魔力に躊躇いはなくなった。

術に抵抗できるほどの魔力量の差があれば、その差が抗う力となり術を跳ね除けると教わった。知らなかった。普通は相手の魔力量を比較できないから無抵抗で終わるらしい。『かかった振りも出来ますよ?』軽いノリで言わないでよね。あくどい顔が隠しきれてないよ?




吸引した魔力は全て魔石に移し義兄に押し付けたら今日の業務は終了である。
魔石片手にニヤリと笑う義兄‥‥あっ、企みの顔!
『レティの協力が不可欠』と口角を上げ切った義兄の笑みは悪魔だった。怖っ!
これは、アレだ、意趣返しを狙ってるな、間違いない。





漸く、七つ野郎はただの野郎に格下げされた。
彼は帝国貴族の一門出身者らしい。契約魔法の様式がとある貴族家のものだと判明。普通は家門の契約魔法術って秘匿内容の筈だけど‥‥何故義兄が知っているのかは、聞いちゃいけないやつだね、うん聞かないよ俺は良い子だからね! 




今夜はここまで。


一旦、契約魔法を解術したのは義兄が情報を抜き取る為。必要情報を得れば再現するのは決定事項なのだ。でなければ勝手に解いたレティエルが犯罪者になっちゃうからね。


交渉材料にするには不適切な代物魔法陣、使い処に旨味がないとジェフリーがほざいていたわ。

名門の契約魔法で禁術ではないとわかった以上、深追いは不要。隷属の契約を結ばされた事情は聞けないだろうが、何か掴めるかも知れない。事情聴取の目的は隷属の使い手の情報を得るため。レティエルのためなのだ。


寝台に横たわり気持ち良さげな寝息を立てるこの男に憐憫の情を抱く。良い夢見てそうな顔だけど‥‥そのうち悪夢に代わるから。
これから行われる義兄達の職質‥‥もとい、尋問を想像して身の毛がよだった。

‥‥一つでも義兄が喜びそうなネタ持ってるといいね。

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