249 / 365
第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲
お祖父ちゃんの部下ー②
しおりを挟むそれでお祖父ちゃんを激オコにしたタレコミ情報って、何なの?
さっきはガザの雰囲気に飲まれかけたけど、もう持ち直したから大丈夫。俺はさっさと吐けよとガザを急かす。
俺の変化を嗅ぎ取った義兄とガザ‥‥お前ら似てね?
「グスターファルバ―グ王国のとある高位貴族令嬢の救済をダシにヴォグルフを誘致したと。最初に寄せられたのは偽情報と判断されたのですが、その後、再び寄せられた情報には物証がございました。ですので愚かな捜査員が鵜呑みにしました。それがオルレアン様が軍部を間抜けだと罵った理由でございます」
「えっ?」
「‥‥‥‥‥ちっ」
今の舌打ち、義兄だからね? 俺じゃないよ?
どうやら義兄の緊張も解れたようだ。良かった。
「提出された物証は、ヴォグルフと同じ研究員の残した手記でして‥‥」
俺をちろっと見たガザの一瞬の躊躇い。気のせいではない…と思いたい。
レティエルを気遣ってくれてんだよね? 俺は信じてるよ? お前の事。
いいか、男は優しさがないとモテないぞ?
「のち…‥遺書と遺体が発見されたのですが、その手記と遺書にはヴォグルフが篭絡された由とヴォグルフをみすみす死なせた自責の念が綴られておりました。記された内容にオルレアン様は激昂なさり、その場で諫めなければならなかった護衛達は地獄を見たと泣き言を申しておりまして。何とも嘆かわしいことでございます」
おおおおお‥‥おぉ? 最後の情報は要らなくね?
自分の感情をさり気なく込めるガザの容赦ない報告は続く。
ねえ、一先ずお茶飲んで喉潤せば? 俺も情報整理したいよ。
取り敢えず、適当にお茶を進める。まぁ一杯、どうぞ。
その間に聞いた話を反芻だ。情報量が多いと忘れそう。適度に整理する時間が欲しい。義兄は大抵一度聞けば理解&記憶するらしいので羨まし過ぎる。ちょっと俺にも分けて欲しいよ。
「グスターファルバ―グ王国の高位貴族。遺書には関わった貴族の身元も記されておりました故、該当貴族の親戚であるオルレアン様とファーレン家ご当主様に不遜に事情聴取などといった無礼を働きまして。結局はオルレアン様のお怒りを軍部は受け、ファーレン家ご当主様は名誉棄損と賠償請求額の釣り上げと好条件の取引をご提示なさったご様子です。お二方には優位になる取引材料をご用意するようご指示が出されていらっしゃいます」
うわぁぁぁぁ、やっぱ、聞きたくないーーー!!
義兄なんて、内臓出しそうな深い深い、めちゃくちゃ深い溜息、吐いてるし。
ヒシヒシと感じるヤッカイゴト。親戚の理不尽さに、涙するわ。
‥‥はぁ、追加情報のえげつなさに、脱力するわ。
聞けば聞く程、タッカーソン侯爵家に恨みが‥‥あっ、いや、違う。
偽情報は、『ザックバイヤーグラヤス公爵家当主が生死を彷徨う愛娘を救うためにヴォグルフに依頼した。そして彼は亡命と高額報酬に希少薬草の譲与を条件に公爵の願いを聞き入れたが、肝心の娘を死なせたため公爵の怒りを買い処分された』そう記された遺書が一門の研究員の遺体と共に発見され、そして極秘捜査であるにも関わらず、同門の筆頭研究員が声高々に騒ぎ出したため、軍部もお祖父ちゃん達に事情聴取せざる負えなくなったらしい。
これ、まるっきし冤罪だからね。お祖父ちゃんの激オコ、わかるよ。
伯父さんの賠償請求額の釣り上げ…‥上限マックスまでお願いします。
俺達、巻き込んだんだから、きっちり報酬貰うからね?! 伯父さん、しっかり巻き上げてね!!
多分、帝国側の高位貴族二家分と王国の高位貴族並び王国への迷惑料込みで賠償額が鰻上り? な気がする。慎重に捜査をしなかった方が悪いよね? まぁ政治的手腕で乗り越えて下さい、タッカーソンさん。
代わりと言っちゃあなんだけど、お子さんの隷属契約、解術しておくんで!
恩を多大に感じてね? よろしく!
俺の意識が明後日に向いていた間、義兄も義兄で長考してたっぽい。
無意識だろう、何やら悪辣案がポロッポロッ、である。
「ふむ、ファーレン家への賠償の中に販売許可の条約でも入れるおつもりでしょうか。今回の騒動を利用して『妨害工作を謀ったタッカーソン侯爵家』に謂れのない誹謗中傷をされたと、タッカーソンを引き摺り落とす所存でしょうか? ふむ、宣伝に丁度良いのでしょうね」
俺の耳に聞こえた独り言に、慄くわ! 怖いって!
そ、それよりも、俺の引っ掛かりを聞いてーーーって。お願い、気になるの。
「コホン、ねぇ、教えてくれないかしら? どうして生死を彷徨う娘を助けるためにヴォグルフが呼ばれたの? 彼は回復薬の調合をする人でしょう? 回復薬に病気や怪我を治す効力は無いわよね? ね、お義兄様?」
そう、これが理由に上がるのがおかしい。
だって、光系統でなければ治癒は出来ないって聞いたよ? なのに‥‥え?
もしかして…‥、いや違う、あの男は水系統の魔力しかなかった。光系統なわけがない。
…‥これってどういうこと?
0
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜
naturalsoft
ファンタジー
アヴァロン王国は現国王が病に倒れて、第一王子が摂政に就いてから変わってしまった。度重なる重税と徴収に国民は我慢の限界にきていた。国を守るはずの騎士達が民衆から略奪するような徴収に、とある街の若者が立ち上がった。さらに森で捨てられた悪役令嬢を拾ったことで物語は進展する。
※一部有料のイラスト素材を利用しています。【無断転載禁止】です。
素材利用
・森の奥の隠里様
・みにくる様
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる