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第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲
来たぞー
しおりを挟む「ティやーー、じいじが来たぞおー!!」
「ヒィッ?! えっ?? お、お祖父さま?!」
バーン!! と勢いよく開け放たれた扉から現れたのは、どこぞの世紀末覇者を彷彿させた帝国のお祖父ちゃん。驚きで飛び上がりかけた俺、耐えたよ腹筋使って。
‥‥じじい、討ち入りかよ!
ズカズカと大股で踏み込む姿は、とても六十を過ぎているとは思えない矍鑠とした筋肉じいちゃん。颯爽と現れた感だしてるけど、どう見たって違和感しかない。傭兵ぽい恰好で、しかもギルガを引き摺ってる。もういろいろツッコミたい。
一瞬、集団幻覚を疑ったが、紛れもない生ものだった。
‥‥いやいやいや、どうしてここにお祖父ちゃんがいるの?!
理解が追い付かないが、先ずは挨拶。この身に染み付いた貴族のマナーが恨めしい。礼節を重んじるのは大切だけど、すっ飛ばして話が出来ない貴族ってまどろっこしい。
堅苦しさを嫌うお祖父ちゃん。挨拶もそこそこに砕けた会話で良いと了承を得れて俺達は控えめにホッとした。だって、年長者って順序礼節を重んじ気難しくて疲れちゃう。下の者は細心の注意を払いながら常にお伺い的な発言で上の者を立てなきゃならない。まー、身分社会ってそんな感じだよね。上の者のご機嫌を伺いながら私見を通す。聡明で利発でなきゃね、生き馬の目を抜く感じでないとねー。
マナーに煩い貴族社会。でもこれはアウトだよ? お祖父ちゃん。先触れの意味知ってるよね? そう問質したい衝動をグッと抑えてお祖父ちゃんの歓待だ。急なことで侍女さんもいい迷惑だよね、心の中で謝っとくわ。
お祖父ちゃんはお偉いさん用の一人掛けの椅子に腰掛け、三人が掛けても余裕のあるソファーに俺、義兄、ジェフリーが。対面には、お祖父ちゃんの秘書、ダル、ギルガが同席している。他の護衛達は各々の守備ポジを陣取ってた。見事に帝国関係者しかいない。
それにしても、数日振りにギルガの顔を見たけど、あちこち怪我してない? 何やってたの? おまけにお祖父ちゃんに引き摺られるとか。胡乱げな奴と視線を向けられても文句は言えないよね。
‥‥義兄の私用で外出してなかった? それってお祖父ちゃんのお迎えで? あ、それは違うんだ。
義兄も予想外だと肩を竦めてみせた。成程そうか。お祖父ちゃんの訪問はガチの突撃お宅訪問なわけね。
「…‥どうして先触れとご一緒にお越しになるのでしょうか‥‥お義祖父様?」
目頭を揉み疲れた溜息を零す義兄の何と冷静沈着なことか。もう清々しいほどの冷え切った目。何となく留学中はお祖父ちゃんに振り回されてきたんだろうなーと生温い視線を向ける。どんまい。
「ガハハハッ、気にするでない。ラムよー」
いやそうじゃないでしょ? 突っ込もうかと思ったけど上機嫌な老人に水を差すのもメンドクサイなと思い直した。話が進まない気がしたのだ。俺の勘は冴えわたる。なあんてね。
「お祖父様、どうしてここに? お忙しいとお聞きしてましたが」
確かヴォルグやグレインの件に皇室の穏やかならぬ動きで忙しいんじゃなった?
「おう、ティや久し振りにおうたというのに、寂しいことを申すでないぞ? なかなか会えん儂のことを、じいじと呼んでいいぞ?」
わー、久し振りのお祖父ちゃん、見事にじじいぶりが上がってた。これってひ孫ちゃん誕生が影響してる?! 甘えて欲しそうに情けなく縋る感じで見られると、ウグゥと折れるしかなくない?!
「‥‥‥‥‥‥じいじ、何しに来たの?」
ニッコリ。だが睥睨してやる。俺の機嫌が駄々下がったのを肌で感じたお祖父ちゃんはバツの悪い顔で項垂れる。うむ、反省したまえ。
「おおう、す、すまんかったな。ティの好きな帝国のお菓子を買うてきたぞ? これで機嫌を直してくれぬかの?」
「!!! 皇室御用達店季節限定スイーツ!! じいじ大好き―!」
貢物は限定スイーツ一択で。
ふふ、良き良き。
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