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第十一章 帝国(お祖父ちゃん)の逆襲
それぞれの目的
しおりを挟む「ザクワン秘書官、質問を宜しいでしょうか」
嘘臭い笑みの義兄がザクワン爺ちゃんに?
爺ちゃんは好々爺の顔でどんとどんどんどうぞと頷いた。
「名目上の護衛であっても王国人の手前、両殿下と別行動なさるその理由をお教えください。ただ私達に会いに来たわけではないでしょう。この邸へと誘導の指示を出されたのはお義祖父様ですね? 事前にタッカーソンのクソ…ご子息の状態を掴んでおきながら私達に任せたのは? 先方の当主に恩を売るにしてもこのやり方はお義祖父様らしくないかと。やんごとなきお方の助言がございましたか? ああ、私としたことがお義祖父様とレティの久方ぶりの対面を無粋な質問で時間を無駄にしてしまうところでしたね。ふふ、時間を別枠で設けて下されば家族の団欒の一時を提供致すのも吝かではございません」
おお、義兄も話長いよね。
ジェフリーがその間、しきりに周囲の様子を伺ってたとは知らず、俺は質問の内容を繰り返していた。
そうだそうだよ。俺達は‥‥ん? え? クリスフォードの領地に来るよう誘導されてたの?! 俺の冴えわたる勘と英断の結果じゃなくて? 意表を突く発言に俺は手にしていたフォークをカチャンと落した。(※忌憚なくお菓子を堪能中のレティエル)その瞬間、八つの眼が俺を空間に縫い止めた…‥え、めっちゃ凝視してる! こ、怖っ!
『お嬢様~ショックを受けるのって、それですか?』呆れたリー坊の心の声が聴こえた気がした。
「ああ、それと、隠密行動に傭兵を装いましたのはお義祖父様のご趣味でしょうか。良くお似合いです。ですが、敷地内に陣取っていた傭兵や私兵を粛清致しましたので、そのお姿は反って目立ちます。せめて騎士服でお過ごし下さい。衣装はこちらでご用意いたします」
「あうち!」
ザクワン爺ちゃん、左手で自分のちょっと広めのオデコをぺちっと叩いた。愛嬌あるねー。
含みのある言い方は、暗に内緒話は後でってことだった。へー。
室内のメンツに聞かせていい話とダメな話があるわけね。ラジャ―!
俺にも聞かせてくれるのならお好きにどうぞ。
クリスフォードの領地に誘導云々は半分正解で半分不正解。ジオルド邸から拉致られたのは予期せぬ事件だった。あの時、連行されていった騎士団のメンバーはレティエルは知らなくていいと濁されたので想像に任せたい。捕縛され情報を抜くため帝国に送られた人は、良い感じに協力していることと思う。あのルートに軍部の駐屯地を設けていたのは皇子一行団の先行部隊。キナ臭い情報を掴んだ軍部が非公式に動いていたそうだ。勿論、王国側の許可は得て? お祖父ちゃん達の顔つきが変、本当に許可得てたの?
じいーと視線を送っていると「あうち!」とお祖父ちゃんが左手でオデコをベタンと。痛そうだけど。それで誤魔化せたとでも?
この場の話は、第四皇子が次期皇帝へリーチが掛かったこと。そして、外交で最後の実力を見せよと皇帝の命で実績作りのためやって来たそうだ。
因みに、国賓として招待されたのは皇室。まぁね側妃腹の王女と伯爵家子息との婚約だからね、将来臣下となるのがわかった婚約だもの。逆によく皇室に招待状を送ったね、ってツッコミたいわ。
これについては、ライムフォード殿下の影響が大きいのと今の王家で唯一魔力を持つ第三王子が国外に、帝国に留学&将来の婿入りが皇帝陛下の機嫌を頗る良くした。それの好意の表れらしい。
国力差の大きい帝国の皇子皇女が小国のしかも将来臣下落ちの姫に対して祝いに。これって破格な行為だって。それだけ皇帝が喜んでるってこと?
「今やどの国も魔力持ちの獲得は必死なんじゃ。国力に影響を与えるからのう。そう思えば王国の政策は世の動きと真逆じゃな。それに異常なまでの忌避感。他国では魔力無しの人口が多いと言うのに。排他的過ぎんか?」
この場の皆はお祖父ちゃんの言葉に大いに頷いた。やっぱ王国って彼等には住み難い国なんだよね。
招待状を勝ち取った第四皇子はライムフォード殿下と関係強化を狙う。妹姫は面識があってもライムフォード殿下との関係は悪く期待を持てないそうだ。義兄曰く皇女の自業自得だって。後は政治的なお話だと、これ以上の情報は与えられなかった。
皇子の目的は了解。じゃあ皇女は?
皇子の補佐役と社交(女の世界ね)に尽力される。これは王妃が亡くなったことで内政に及ぼす影響の調査が目的。王妃位を空席の状態は宜しくないそうだ。時期王妃を探りたいのは自分の婚約者候補が第三王子だからか。彼の母親が王妃に押し上げられれば第四皇子も王女も後ろ盾に厚みがでる。俺にはよくわからない世界だが、彼等は…皇女は何か企んでいるとみていいかも。
皇女の目的も了解。じゃあお祖父ちゃんは?
「おう、儂か? 儂はのう、可愛い娘と孫たちに会いに来たんじゃ」
いやそんな理由が通じるとでも?! 誤魔化すにしてももっとましな言い訳ないの?
えっ? 代役を用意したから王国人にはバレないって? いいのかそれで。
思わず半目になっちゃった。
「今のお館様設定は、娘と孫に激アマなジジイでございます。実際もそうでございますが、此度は敢えて強調致した所存です。そう、メロメロでメロメロメロウですな。それ以外ですとタッカーソンご子息の救援と王国に対し責任の所在を追求‥‥でございましょうか」
‥‥メロメロメロウの次がヴォルグフ事件って。重要度が違うでしょー。
「おおそうじゃ、タッカーソンのガキを見つけたのは儂の部下じゃがな、お主らもアレを知ったじゃろう? あのままでは帝国に連れ帰ることは無理じゃからな。ガキの保護先を確保せねばのう。責任追及に関しては皇子殿下に丸投げじゃ。儂では荷が勝ちすぎるわい」
「タッカーソン家とザックバイヤーグラヤス家、両家に生じた問題も無事解決の運びとなりました故、ご安心下され。坊ちゃん…ぬほほ、ファーレンご当主様がビビビビっとな、ご解決なさりましたぞい」
あ…ビビビビっとな、なのね。
「おう、タッカーソンはファーレンの傘下に入りよったわい。あちらは侯爵位。妥当な線で幕引きしたぞ。ガキ‥‥名を何といったかのう「ヴォルグフです。お義祖父様」おおそうじゃったそうじゃった。そのヴォルグチャグチャの後見人は儂になってのう、おお、権利を持っとるで扱いは儂の胸先一寸…まあ悪いようにはせんで安心せいギルガよ」
うわー、グチャグチャになってるーー、お祖父ちゃん、ザクワン爺ちゃんになってるよー。
でもさーお祖父ちゃん、部下が見つけたのは素晴らしいと思うけどね、どうして俺達を連れて来たの?
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