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第十三章
三日後に向けてー②
しおりを挟む「王都には丁度良いタイミングで戻れましたわ」
ナイスタイミングと大喜びしたよ、脳内で。
陛下の重大な発表を三日後に控えた今、王都に戻れたのは運が良かった。
「第一王女殿下のご婚約発表かしら? お祖父様はお披露目がどうとか仰ってましたね‥‥お義兄様?」
小難しい顔で思案してたか、俺の声は聞こえてないみたい。
「あ、‥‥確かに義祖父様は滞在中にお披露目があると仰ってたね。だが、本来今は王妃の喪に服す期間だよ? だから祝事の発表は考え難い‥‥とは言えないか。このタイミングで側妃胎の第一王女の婚約発表、これも変だね。国中の当主や後継を呼びつけなければならない内容ではないよ。それこそ陛下‥‥」
確かに今、喪中! でも王妃の死は公表されてなかったっけ?
王国の喪に服す期間は王家は半年。他は一年。王妃が亡くなったのは二か月ほど前のはず。
それよりどうした?
「お義兄様?」
「ああ、‥‥圧力を掛けられた可能性に行き着いてね。第二皇女の存在が第二王子の立太子への道を揺るがすと思われ焦ったのだろうね。ほら、王妃と王太子は空位でしょ? そんな時に第三王子の婚約候補である第二皇女が使節団として来訪。これだけ聞けば頭が空回る愚者が帝国の横槍を想像していそうだと思ってね。ふふ、付け入る隙を与えないよう急遽、王妃を決めた」
「え? 確かにそっちの方が重大発表っぽいわ。王女の婚約よりもよほど関心を得ますもの」
その可能性に考えが至らなかった。
イメージ的に王妃はあの王妃しかいないって思い込んでたなー。
「前王妃は人払いをして離宮に籠っていたために死期を誤魔化し易い。恐らく危機感を募らせた第一側妃側が陛下に働きかけたと思われる。前王妃と第一王子の愚行は王家に対して負の感情を増長させたからね、それを払拭したいのだろう」
前王妃とクリスフォードの失態は陛下の、ううん、王家の汚点だ。
「王妃は命を落しましたが国を荒らした元第一王子は、侯爵領を拝領され領主に治まりました。ふふ、領地に行ってみるものですね」
ゾワッとするその笑みで笑いかけないで!
クリスフォードに纏わる噂話が王都や他領で囁かれてて。めちゃめちゃ不穏な情報をくれました。
それ、義兄が仕向けたんじゃないの?
―――犯罪に手を染めた第一王子はその事実を明るみにした元婚約者。帝国皇族の血筋である元婚約者が不慮の死を遂げた。相次ぐように次期当主の兄も命を落した。第一王子は王籍を除籍されたものの侯爵領を拝領。今や領主である。
噂を教えてもらったら、クリスフォードが手をかけたっぽく聞こえる。怖っ。あ、続きがあるの?
―――領地経営は上手くいかず、重税で苦しむ領民を借金のカタに売りさばき、再び人身売買に手を染めた
「え、もしかしてその噂に、タッカーソン様も含まれます?」
「ふふ、事実を語らせただけだからね」
―――悪事に加担した領主は犯罪組織と共謀して帝国貴族を誘拐。高値で売る為に領邸に監禁。
ちょっと端折っただけで首謀者みたくなってない?!
―――犯罪組織の者を追跡していた帝国貴族が領邸に監禁されていた貴族を発見。被害者は高位貴族の優秀な薬剤調合師。
ひゅっ!!
これあかんやつ! バレたらあかんやつ!
「この噂、もしかして…‥」
「ふふ、既に噂好きな旅人が王都に滞在しているだろうね。ああ、心配しなくても他領にも向かっているよ」
うわー、拡散かよ!
義兄の執拗な嫌がらせに心底恐怖する。絶対、義兄の敵に回らないでおこう!
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