331 / 365
第十四章 王が住まう場所
レティエルの魔力。義兄の魔力。
しおりを挟む俺達は協力者の手引きで城内に上手く潜り込み、身を潜める。
晩餐会に招待された貴族が続々と登城している中、隠密に親父達の居場所を探索。といっても魔道具がね。
希望の偵察機は諸事情…主に軍絡みだけど…制作は時期尚早と判断して代替案で手を打った。なあんてね。実は魔力と素材の不足が理由なんだけど。
出来上がった魔道具の性能は探知?になるのかな。
『与えられた魔力を辿る』『魔力の痕跡を表示する』これで対象に辿り着くって。
今回、母さんの魔石で居場所を掴む予定だけど、多分、親父も一緒だと思う。ううん、一緒であって欲しい。親父では辿り着けないからね。頼むよ~。
GPSもない世界で居場所の特定できる魔道具を作っちゃった。といっても対象者の魔力頼りの探知機だけど。性能は発信機っぽい。
この魔道具、二つで一つ。対なの。
親機と子機といえばいいか。子機を飛ばして親機が足跡を表示する。レトロなレーダー探知機っぽくね?
まあ、それはいいけど。ところで、これ、手動操作できないのだ。何とも残念。作動させたら対象に向かって進むだけ。でも充分役立つから満足してる。ふふん。
親機を手にした義兄が皆に指示を出しているのが目に映った。その姿に嘗ての憧れ、ネズミに耳を齧られた青い猫型が重なった見える。おおう。そういえば四次げ…んんん空間収容の財布持ってたっけ。
何か気が抜けるね~。
手持無沙汰な俺は、いい感じに働いている魔道具の完成が間に合って良かったなとしみじみ思う。昨日はバタバタと慌ただしく落ち着かなかった。下手すれば未完で終わったぞ? はぁ~と思い出す。
いや~ホント、忙しかったよ。義兄が。
護衛が代わる代わる出入りするわ。巷で起こっている諍い事の経過報告だとか、ダルからの連絡とか。まぁその間、俺は試運転と託けて遊んだけど。他にも作ってもらったモノも試しに飛んで楽しんだ。
ふふ、思いつきで作ったわりに素敵魔道具に出来上がったのは自慢したい。
うひひ、作っちゃった『踏み台』・・・あ、人生の、じゃないよ? 物理に踏み台だから。ただし、踏めば(人が)飛ぶ。ホップ・ステップ・ジャンプーってな。あくまでも飛行系魔道具だからね、身体強化すればかなり高めのジャンプができるはず。
要望とは違ったけど、これはこれで素晴らしい。もう大満足!
ただし、レティエルはお嬢様なので激しい動きは禁止。ちぇ。
手伝うことで調合の奥深さに触れ、俺には向いてないとはっきりわかった。
そう、細かすぎるしメンドクサイ。ぐるぐる素材と魔力を溶かす作業も、魔法陣に術式を組み込むのも大変だと思う。教えてもらった義兄の調合手法が特殊なこともあって、到底真似できない。
魔力を流して形を作るぐらいならいつでもやりたいけどねー。
義兄の用いる手法は『古い時代の形成魔法術』だって。
ーー人々が自由に魔力をぶっ放してブイブイいわせてた時代の手法に、ちょいアレンジを加えたもの。
作り方はいたって乱暴。魔力をガンガンぶっ込んで捏ねまくり呪文をねじ込む。
隠し味・・・もといカクシ配合に光魔力に闇ちょろちょろ。これで反発しあってた魔力が中和されいい感じになる。一手間も二手間も終始魔力のごり押し。やっと出来上がった物体が、魔力で形状変化できる魔合石と呼ばれるもの。
魔合石に適した素材は高魔力の魔物や植物。魔力系統が一つよりも複数の複合型であれば尚良し。そう属性が混じりっ気の多いと良いものができるとされている。所謂、高級素材。
そしてあろうことか火、水、風、土の四系統魔力で素材をマゼマゼ、魔法陣(機能・起動などの術式)を加え、仕上げに光と闇をご所望と。非常に贅沢でお高い調合である。
高魔力の魔物っておしなべてツワモノな凶暴もの。退治するにも討伐隊を組んで準備万端で挑まないと返り討ちにされちゃう。それと基本、人海戦術だからね、必要経費が嵩張るのだ。
で、こっからが本番。
魔合石に特殊魔力を注ぎ込むと、あ~ら不思議。金緑色から金紫色に色調が変わり楕円形だったのがグニョンと形状の変化を誘う。
特殊魔力のさじ加減がモノ言う形成加工。そう色調変化がキモ。
魔合石に光と闇を加算し、四系統の余分な魔力を差っ引いたら、ピッカーンっで、色が変わる。配合が良い感じになると色を変えて合図してくれる親切設計。で、好きな形にイメージして形成しちゃう。
ちなみに金緑から金紫色の色調変化は飛行を現す。
義兄オリジナルは製図にあるって。
自分の血を使うことで他ではない変化を齎すとか。
うぇ、サイコパスかよ。
よくわかんないけど、用いることで魔力の消費を抑え魔道具の耐久性が上がり複数の効果を付与できるって。
は? もしかして、これって固有の能力?!
血を混ぜて作り上げるのは二つの意味があると、個人情報を晒してくれた。隠さなくていいのかと思わなくもないが、レティエルの情報を知っているのでお相子だよとクスッと笑った。くぅぅ、いちいちイケメンめ。
義兄は光魔力を有している。・・・知りたがりの義兄は自分で鑑定魔道具作って調べたそうだ。凝り性?
折角、特殊魔力をも有してても、魔力量が少ない魔力のないので自由に使えない。
だが、帝国では魔力のない人でも魔道具や魔石を使うことで魔力を持つ人と同じような働きができる。お陰で義兄は不自由なく魔道具を作れてるわけだけど。
にしても、光って。全く義兄のイメージにそぐわん。どう見たって闇だよ、闇に支配され・・・支配してる人だよね? もう摩訶不思議。これを聞いた時、世の不条理さを嘆いたわ。
俺の心情を知ってか知らないでか。魔力系統の特性を理解していれば可能性は広がると言葉を紡いでくれた。義兄曰く光魔力は治癒系だがそれが全てではない。その特性は亢進だという。ちなみに闇は抑制。
「得た知識の検証を望んでも光魔力の入手は難しい・・・普通ならね。とはいえ私も魔量不足で調合しきれない。それを補ったのがレティの魔力、光も闇も含まれた魔石でね。とても重宝したよ。ふふ、驚いた? レティは火、水、風、土に光と闇も有する全系統持ちだよ。それに吸引と再現の能力まで。これほど調合に向いている人はいないよ?」
「え?!」
「レティも微量だけれど光魔力はあるよ? でなければ摂取した毒や精神干渉を無効化できないでしょ?」
「・・・ですよね」
うわお、ありました光。持ってた光。何かどっかの回線みたいだけど。流れてたか光。レア度が更に上がりましたか。ははは。掠れた笑いがこぼれるわ。
暗黙の了解で皆からタブー視されていたレティエルの魔力。義兄も個人情報だから胸に秘めてたとかふざけたこと言ってるけど、それ本人の前で言う?
とはいえスパイの存在で打ち明けなかったわけだけど、ちょっと呆れた俺がいる
「私には自由に操れる魔力がない。でも血筋が特殊でね。偶々その利を享受できただけだよ。・・・光を有したといえど治癒の力が発揮されなくて助かった。ふふ、体に流れる光魔力を使えばこうも調合が上手くいくとはね。一度は呪われた血だと怨恨の念に苛まれたものの、今では甘んじて・・・ふふ、恩恵に浴していると言い直すね」
突っ込んでいい? 聞いていい?
多分、出生のことを皮肉っての発言だよね。
義兄が養子になった経緯は聞かされてないし、前世の記憶にもない。ちょっと闇が深そうだったんでノータッチでした。いつかそのうち教えてくれたらって思う・・・よ?
義兄が養子になったのレティエル6歳、義兄が8歳だったか。どこか諦念した眼差しを能面のような無表情さで向けてきたときは、マジで闇堕ちを案じた。
多分、俺では想像できない苦労を舐めてたんだろう。傷口えぐりそうだから身の上は聞かなかったけど。
これは一つ赦せたのかな?
今回は俺もお手伝いした。
最終工程を任されました。ふふふ。好きな形に作っていいって!
すごーい! 十六年生きてて一番のファンタジー、いただきました! ひょー!
でもドローンは、凶悪な魔物(昆虫系・毒持ち)と間違われ即座に却下された。何故だ解せぬ。
特殊な調合方法へと考えに至った義兄は天才だと正直尊敬した。
ほら、義兄って製作品によっては自分の血を垂らすでしょ? 何でかなってキモ…サイコパ…じゃなくて不思議に思ってた。だから聞いたの。昨日は、話が途中で終わったからね、気になる。
次いつ聞けるかわかんないなぁ。
0
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
婚約破棄されて森に捨てられた悪役令嬢を救ったら〜〜名もなき平民の世直し戦記〜〜
naturalsoft
ファンタジー
アヴァロン王国は現国王が病に倒れて、第一王子が摂政に就いてから変わってしまった。度重なる重税と徴収に国民は我慢の限界にきていた。国を守るはずの騎士達が民衆から略奪するような徴収に、とある街の若者が立ち上がった。さらに森で捨てられた悪役令嬢を拾ったことで物語は進展する。
※一部有料のイラスト素材を利用しています。【無断転載禁止】です。
素材利用
・森の奥の隠里様
・みにくる様
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる