8 / 14
第8話 関所
しおりを挟む
草原の道を抜け、シュンは街の入り口に辿り着いた。
道幅は馬車も通れるほど広く、街が近づくにつれ石畳が小綺麗に整えられている。木製の簡素なアーチには蔦が絡まり、小さな花が彩りを添えていた。
人の流れはポツポツ。遠くを見渡してもせいぜい一人二人程度だった。
アーチ脇には白髪まじりの50代ほどの優しそうなおじさんが座っており、
通り掛かる人は皆、そのおじさんに軽く会釈をしているようであった。
シュンもゆっくりとアーチにさしかかる。
おじさんが優しく口を開いた。
「やあ、こんにちは」
「あ、こんにちは」
「……どうもあんたの服装は奇妙じゃな」
おじさんの声に、シュンは思わず肩をすくめる。
「え、ええと……他の街から来ました」
声が少し震える。慣れない状況に、心臓が早鐘のように打つ。
おじさんはじっと見つめる。
「うむ、紹介状はあるのかいの?」
シュンは思わずをポケットに手をやり、探すふりをした。
「い、いや……えーと、さっきまでここに…」
おじさんの眉が少し下がる。
「うむ……悪い人には見えんが、しかしその若さで一人旅というのもどうもおかしいぞ」
シュンの額に汗がにじむ。心臓の音が耳に響き、指先がわずかに震えた。
「そもそもよそから来とるのにおぬし手ぶらじゃないか、追い剥ぎにでもあったか?」
「あ、待ってください
怪しい者ではありません」
(我ながら怪しすぎる…ユウナ…この状況はないだろ、普通にやばいよ)
アーチの奥では、道沿いに腰を下ろした老婆が杖をゆっくりとんとんと突きながらじっとこちらを見つめている。
目の奥には穏やかさと、どこか好奇心混じりの光が宿っていた。
シュンが息を整え、またポケットをゴソゴソやると、ころりと魔石が転がり、光を放った。
「ん、ありゃ、あんた律動師さんか!」
おじさんの声に、驚きと軽い尊敬が混じる。
「どうりで一人で大丈夫なわけじゃな」
さらにおじさんは、目を細めて追求する。
「……しかし、それにしても……この若さで、誰も連れずに街まで来るとはな。律動師としての訓練は十分に積んでおるのか?」
シュンは小さく頷き、ほっと息を吐く。
肩の力が少し抜けるも、心臓はまだ早鐘を打ち続けた。
背後の老婆はにっこり笑い、杖を軽く叩くと、静かにその場を離れていった。
道幅は馬車も通れるほど広く、街が近づくにつれ石畳が小綺麗に整えられている。木製の簡素なアーチには蔦が絡まり、小さな花が彩りを添えていた。
人の流れはポツポツ。遠くを見渡してもせいぜい一人二人程度だった。
アーチ脇には白髪まじりの50代ほどの優しそうなおじさんが座っており、
通り掛かる人は皆、そのおじさんに軽く会釈をしているようであった。
シュンもゆっくりとアーチにさしかかる。
おじさんが優しく口を開いた。
「やあ、こんにちは」
「あ、こんにちは」
「……どうもあんたの服装は奇妙じゃな」
おじさんの声に、シュンは思わず肩をすくめる。
「え、ええと……他の街から来ました」
声が少し震える。慣れない状況に、心臓が早鐘のように打つ。
おじさんはじっと見つめる。
「うむ、紹介状はあるのかいの?」
シュンは思わずをポケットに手をやり、探すふりをした。
「い、いや……えーと、さっきまでここに…」
おじさんの眉が少し下がる。
「うむ……悪い人には見えんが、しかしその若さで一人旅というのもどうもおかしいぞ」
シュンの額に汗がにじむ。心臓の音が耳に響き、指先がわずかに震えた。
「そもそもよそから来とるのにおぬし手ぶらじゃないか、追い剥ぎにでもあったか?」
「あ、待ってください
怪しい者ではありません」
(我ながら怪しすぎる…ユウナ…この状況はないだろ、普通にやばいよ)
アーチの奥では、道沿いに腰を下ろした老婆が杖をゆっくりとんとんと突きながらじっとこちらを見つめている。
目の奥には穏やかさと、どこか好奇心混じりの光が宿っていた。
シュンが息を整え、またポケットをゴソゴソやると、ころりと魔石が転がり、光を放った。
「ん、ありゃ、あんた律動師さんか!」
おじさんの声に、驚きと軽い尊敬が混じる。
「どうりで一人で大丈夫なわけじゃな」
さらにおじさんは、目を細めて追求する。
「……しかし、それにしても……この若さで、誰も連れずに街まで来るとはな。律動師としての訓練は十分に積んでおるのか?」
シュンは小さく頷き、ほっと息を吐く。
肩の力が少し抜けるも、心臓はまだ早鐘を打ち続けた。
背後の老婆はにっこり笑い、杖を軽く叩くと、静かにその場を離れていった。
0
あなたにおすすめの小説
極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――
銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」
世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。
魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。
彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。
一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。
構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。
彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。
「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」
暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。
管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。
これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。
※アルファポリスで先行で公開されます。
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
出向先は、剣と魔法と人事部でした 〜評価されなかった社会人の異世界改革〜
怪獣姫
ファンタジー
現実の会社で評価されず、
それでも真面目に働き続けていた三十歳の会社員・伊勢海人。
彼に下された辞令は――
異世界への「出向」だった。
魔法はあるが、文明は未成熟。
回復草は潰れ、道具は使いづらい。
評価されなかった男は、
異世界で“人事向き”の仕事を始める。
これは、剣と魔法の世界で
裏方から信頼を積み上げていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる