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第10話 テンポスの街 《挿し絵あり》
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シュンは親切なおじさんに丁寧にお礼をした後、街へと入った。
見渡すかぎり、街は2~3メートルほどの石の城壁に囲まれていた。
道は踏み固められた土が基本で、荷の往来が多い場所だけに、不揃いな石畳が敷かれている。
通りの両脇には、木の骨組みを露わにした家々が肩を寄せ合うように並んでいた。
どの景色も新鮮で、シュンはついつい魅入られて足早に進んでいく。
その瞬間…シュンのお腹が小さく鳴った。
歩くうちに、ライブの後に飲んだジュースだけでは全然足りなかったことを思い出した。
「…うぅ、お腹空いたな…」
シュンは自然と目線を周囲に走らせた。
(とりあえず聖拍院というめちゃめちゃ厨二病な名前は気になるけど、、それよりなんか食べたいな)
道沿いには、所々に女神の像が置かれていて、光に照らされて神々しく輝く。人々はそのそばを行き交いながら、軽く頭を下げる者もいる。
中央の広場へ向かう道を進むと、屋台のにぎわいと香ばしい匂いが風にのって漂ってきた。
シュンは立ち止まり、深く息を吸った。
「…あっ、串焼きだ…!異世界名物…!」
目の前の屋台では、スキンヘッドの兄ちゃんが炭火の前で串を手際よく返している。
ジュウジュウと肉の焼ける音が耳に届き、午後の柔らかい日差しの中で煙が淡く揺れる。串からは甘くも香ばしい香りが漂い、シュンの胃袋は騒ぎ出した。
我慢できずに一歩踏み出す。
「1本ください!」
兄ちゃんはシュンにジロリと視線を巡らせた。
「おう…ずいぶんけったいな格好してるな」
少し間を置いたあと、
「いいよ、1本300クランだよ~」
……
シュンはポケットをまさぐる。心臓が高鳴る。
「あっ、えっと…クラン…無い…」
(そりゃ、そうだ お金がいるに決まってる)
兄ちゃんは肩をすくめ、軽く笑った。
「お金ないの?300クランも持ってないのか?
大丈夫か?」
ジュウジュウと焼ける串の音が、ただ無力感を際立たせる。シュンは唸る。どうする…どうやって、この串を手に入れるか…。
兄ちゃんは続けた。
「お母さんはいないのか?もらってきたらどうだ?」
(むぐぐ~、馬鹿にしとるぞ)
しばらく逡巡した末、シュンは決断した。
ポケットからそっと取り出したのは、輝く魔石だった。
(ええい、またモンスターに出会えばすぐゲットできる!)
「…これで…」
兄ちゃんの目が一瞬、驚きで見開かれた。
「えっ…あんた…律動師様か!」
日差しに照らされて、炭火の煙と混ざった空気の中、緊張と尊敬が入り混じった表情が浮かぶ。
「…それ一個じゃ、お釣りが来ちゃうし、俺は換金できないんだ。まず自分でやってきてくれよ」
シュンは眉をひそめ、素直に聞いた。
「あの~…どうしたらその、換金できるのでしょうか…?」
「まじか、お前ほんとに律動師様か?
まあ、嘘は言ってないようだしなあ~」
頭を掻く串焼き兄ちゃん。
「聖拍院にいけば換金してくれる場所があるぞ。そこでクランに変えて、戻ってきてくれればいいんだ」
シュンは小さく頷く。
(しかしこの人たちなんでこんなに簡単に信用してくれるんだろう?おれの顔に律動師とわかる何かでも書いてあるのかな?)
見渡すかぎり、街は2~3メートルほどの石の城壁に囲まれていた。
道は踏み固められた土が基本で、荷の往来が多い場所だけに、不揃いな石畳が敷かれている。
通りの両脇には、木の骨組みを露わにした家々が肩を寄せ合うように並んでいた。
どの景色も新鮮で、シュンはついつい魅入られて足早に進んでいく。
その瞬間…シュンのお腹が小さく鳴った。
歩くうちに、ライブの後に飲んだジュースだけでは全然足りなかったことを思い出した。
「…うぅ、お腹空いたな…」
シュンは自然と目線を周囲に走らせた。
(とりあえず聖拍院というめちゃめちゃ厨二病な名前は気になるけど、、それよりなんか食べたいな)
道沿いには、所々に女神の像が置かれていて、光に照らされて神々しく輝く。人々はそのそばを行き交いながら、軽く頭を下げる者もいる。
中央の広場へ向かう道を進むと、屋台のにぎわいと香ばしい匂いが風にのって漂ってきた。
シュンは立ち止まり、深く息を吸った。
「…あっ、串焼きだ…!異世界名物…!」
目の前の屋台では、スキンヘッドの兄ちゃんが炭火の前で串を手際よく返している。
ジュウジュウと肉の焼ける音が耳に届き、午後の柔らかい日差しの中で煙が淡く揺れる。串からは甘くも香ばしい香りが漂い、シュンの胃袋は騒ぎ出した。
我慢できずに一歩踏み出す。
「1本ください!」
兄ちゃんはシュンにジロリと視線を巡らせた。
「おう…ずいぶんけったいな格好してるな」
少し間を置いたあと、
「いいよ、1本300クランだよ~」
……
シュンはポケットをまさぐる。心臓が高鳴る。
「あっ、えっと…クラン…無い…」
(そりゃ、そうだ お金がいるに決まってる)
兄ちゃんは肩をすくめ、軽く笑った。
「お金ないの?300クランも持ってないのか?
大丈夫か?」
ジュウジュウと焼ける串の音が、ただ無力感を際立たせる。シュンは唸る。どうする…どうやって、この串を手に入れるか…。
兄ちゃんは続けた。
「お母さんはいないのか?もらってきたらどうだ?」
(むぐぐ~、馬鹿にしとるぞ)
しばらく逡巡した末、シュンは決断した。
ポケットからそっと取り出したのは、輝く魔石だった。
(ええい、またモンスターに出会えばすぐゲットできる!)
「…これで…」
兄ちゃんの目が一瞬、驚きで見開かれた。
「えっ…あんた…律動師様か!」
日差しに照らされて、炭火の煙と混ざった空気の中、緊張と尊敬が入り混じった表情が浮かぶ。
「…それ一個じゃ、お釣りが来ちゃうし、俺は換金できないんだ。まず自分でやってきてくれよ」
シュンは眉をひそめ、素直に聞いた。
「あの~…どうしたらその、換金できるのでしょうか…?」
「まじか、お前ほんとに律動師様か?
まあ、嘘は言ってないようだしなあ~」
頭を掻く串焼き兄ちゃん。
「聖拍院にいけば換金してくれる場所があるぞ。そこでクランに変えて、戻ってきてくれればいいんだ」
シュンは小さく頷く。
(しかしこの人たちなんでこんなに簡単に信用してくれるんだろう?おれの顔に律動師とわかる何かでも書いてあるのかな?)
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