390 / 678
Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (5)
しおりを挟む
う~ん、聞こえてくる話題は何時だって代わり映えが無い。主に聞こえてくる声の殆どが、大浴場に対してのお言葉。思っていた以上に、好評みたいで嬉しい限りではあるんだけど、それ以外の声もさ~もっと聴きたいんだけどなぁ、私が居るからって変に気を使って畏まったりしているのかな?
まぁ、そりゃ、感無量となるのはわかるよ?王都だと、この規模の大浴場ってさ、貴族でしか入れないからね~。
平民の人達からすればタダで利用できること自体がありえないんだよね。他にも、この街にある設備の豊富さ、食事の美味さ、住むところは全部綺麗ってね!驚きの連続って感じかな?こうやって周囲の人と一緒に感想がダダ洩れになるくらい感情のままにさ、声に出すってことは最近、この街に来た人なんだろうね。
この大陸以外で生きてきた人達もさ、自国から徴兵されて、無理やり連れてこられてこの街に住んで働いてもらっている。
宰相には、大国を通していろんな国に交渉を持ちかけてもらっている、当然、向こうの条件を私達が飲む代わりに此方が要求しているのはマンパワー!
この街を支えるために必要なんだよ…人が欲しい。
国益に関する取引によって、金銭でのやり取りではなく、自国の領民を売ったってのは、売られた人達からすれば自分達は、自国を支える為の生贄として選定されたのだとしか、思えれないよね。自分達はいらない存在だって鬱になってやってきた人も数多くいたもんなぁ…
死の大地で非業な死を遂げてこいと生贄を捧げる様に連れてこられた人達ってのは、私達からすれば当然っというか、そういう人達でこの街は支えられてきたんだよなぁ。
なのでまぁ、扱い方も慣れたもんだよね、困ったことと言えば、最初は、言葉の壁があったくらいかな?
でもね、そういう人達と打ち解けてきて支えあってきた人達が豊富にいるこの街だからこそ、お互いの境遇を理解しあうことが直ぐにできるってわけ。
思いやる心に言語の壁なんて無いし、そもそも、この街の設備ってのはオーバーテクノロジーもいいところなんだよなぁ~、連れてこられた人達全員、想像していた場所とは違ったって声しか、幹部会に届いてこないんだもんなぁ。
最初こそ、戸惑ってたりしたけれど、一週間もすればなれるし、言葉も徐々に覚えてくれるから、自分の出来ることを一生懸命、頑張って働いてくれている。
畑仕事や、掃除、料理の下ごしらえなどなど、雑用を頑張ってくれている。お陰様で戦士達をそういった雑用に回さなくてもいいから、研鑽する時間も作れるし、連携を磨くこともできる!それらを取りまとめる戦士長は大変じゃないかなぁって不安を感じてたりしたけれど、流石って感じだよね、彼なら何人でも任せれる。
でもね、そんな彼でも、ううん、幾ら私達でもさ、他国からやってきた人達の中で全英を務めれる戦闘要員はいないんだけどね。
いや、志願者は、居たんだよ…彼らだってプライドがある!すぐ圧し折れたけどね!!
自国で誰よりも戦闘経験を積んできた、その辺の素人と一緒にするなっていう自称強者もいたよ?いたんだけど…私達の基準からすれば、前衛を任せれるほどの力量を持った人がいない、正直、彼らは弱すぎた。身体能力も魔力も…全てにおいて、前に出たら最後1秒も耐えられないんじゃないかな?
死の大地では、使い物にならない。魔力も微々たるものだし、膂力なんて荷物運びですら、限界寸前、歩くことしかできないくらいに、余裕がなくいっぱいいっぱいって感じ。
っでね、さっき言った自称強者ってやつは毎度毎度、出てくるんだよね。
昔の女将みたいにさ、この街にやってきて早々に、村一番の力自慢とか、村一番の実力者だの、自国の闘技大会で上位入選だのやらが鼻息を荒くして息巻くんだよなぁ。
全員第一声が同じだったもんなぁ、思考回路がショート寸前じゃないの?ってくらい、頭に熱がこもってんだよなぁ。
第一声がね、”この街にいる一番の強者と戦わせろ”っていうんだよね、面倒なことに自国の言葉でしか話さない人もいるけれど、何を話しているのか雰囲気で、ああ、こいつもかってわかるくらいにね、慣れすぎちゃったよ。もはや風物詩じゃね?ってくらいにね~。
今では、通りがかった戦乙女志願の新兵にちょいともんでやれって軽くあしらわれてんだよね、しかもだよ?相手が一番得意とする勝負を選んでもらったりするんだよね、力が自慢だったら、おんなじ物を持ち上げたり投げたり色々と勝負させてあげてる、相手が満足する迄ね。
当然、結果は見えている。私達が鍛えても居ない戦乙女志願の新兵に勝てなかったほどに…
死の大地が無い、私達が住む大陸の以外で、生きる人達は弱い。
これも偏に始祖様の血があるかないかだとおもう。私達は自分自身で全てを解決するための力を与えてもらったっていうのにね。
人の業は深い。
色々と、見てきたけれど、総じての評価は漏れなく、あの程度じゃ、死の大地にいる、兎…いや、鼠一匹ですら、手も足も出ずに負けかねないってね。無駄に死を晒すだけだって感じ。
ってことで、この街に来てもらった力自慢たちは、雑用を主に頼んでいるよ、適材適所、何事も効率的にね。
それでも戦う為に来たのだからってことで、根性のある人は、訓練にしがみつく様に参加している人もいるよ。
死の大地の恐怖に何度も何度も挑んで、多少は動けるようになった人もいるけれど、身の丈は弁えている、無駄に死を求める様に勇猛果敢に敵に飛び込むような無謀なことはしていない、そういう人は絶対に前に出さないように教育してからじゃないと、ね?ここまで育てて面倒見てやったんだから、勝手に死ぬなってのってね。
そう、他国からこの街に人が流れてくるようになり、来る最終決戦に向けての準備を全力で動いて動き続けて、もう、何年経ったのか、わからない。
全力で走り続けてきた影響もあって、今までの私達が歩んできた道とは大きく異なりすぎている。
こうなってくると、ある程度の未来予測なんて出来ようが無い、何が起こるかなんてわからない、だけど、油断はしない、相手の一手先を読むために私達は常に議論しあっている、この先に何が起きるのか、この先をどうすればいいのか…
今代の私で全てを終わらせるために…永劫の地獄から私はもう…
抜け出たいから
噛み殺された痛み、
大切な人達が幾度となく目の前で殺されていく痛み、
この世の地獄を再現したかのような世界が生まれ、積み上げてきた世界が崩れる痛み、
好きな人が、愛している人が敵の手に落ちて苦しむ姿を見せられた痛み、
ありとあらゆる苦難苦痛…それはまるで、燃え滾る様な…煮え湯を飲まされるなんて生ぬるい、燃え滾る様な油を耳の穴に流されるのもぬるい…
焼けた鉄を押し付けられるのもぬるい!…腕を捥がれ、足を捥がれ、臓物を食いちぎら得る事すらぬるい!!!
それ以上の痛みを味わい続けてきた…表現が出来ぬほど!言葉で言い表せぬほどの、痛み、悲しみ、苦しみ、絶望…
もう、終わりにしよう。流石の私も心が軋んできているのが分かる、甘い死を、破滅を望もうとしている…
私の夢何て、所詮は夢、叶わぬ夢…もういい、もういいよ…あいたいけど、もういい。こんな私をお母様が見たら、どんな顔をするのか、想像したくない。だから、もういい。
…もういいけれど、全てを諦めたわけじゃない、まだ、折れるわけにはいかない、甘き死を飲み干すにはまだ、私の心は、心の力は尽きていない!!
注がれ続けるこの苦しみを、敵にぶつけない限り、私の溜飲が下がることはない!私の心に満たされ続けている苦しみを力に変え、私は進む。お前たちを駆逐する迄とまるものか…とまれるものか!!!
腸が、臓物が、煮えたぎってしまう程に湧き上がる熱を飼いならそうとしていたら
「ひめ、さま…」
声が聞こえたので、意識を日常へと切り替える。
震えるような音がした方向へと視線を向けると、私の為に水を汲んでくれたであろう手が震えている。わざわざ汲んできてくれたコップから水が零れている。
ゆっくりと上半身を起こし、震える手を包み込む様にしコップを受け取り
「どうしたの?」
優しく微笑むと、震えが止まる、殺意に敏感はメイドちゃんを怯えさせてしまったいけないいけない、この程度で表に出していたら気取られるよね。
「ぁ、ぅ、ぃ、いえ、何も…ない、です」
「そ?お水、ありがとうね」
怯えた表情がすぐに何時もの作り笑顔に切り替わる、表面だけでも、落ち着きを取り戻したみたい。まったく、殺意や殺気に弱いうえに敏感なんだから。
こんな弱い子に、背負えれない程の何かを背負わされようとしているって考えると、メイドちゃんの小さな背中に圧し掛かる前に、向こうが何かアクションを起こす前に釘を刺しておくべきかな~?…うん、するべきだよね。されてからじゃ遅い、私は何時だって一手遅いからね。
さて、どうやって釘を刺してやるべきか、大まかにかんげると直ぐに策が思い浮かぶ、問題は、どのタイミングでやるべきかな?まぁ、早めって考えるとこの後すぐが一番かな?っとなると、思い浮かんだ策を気取られないようにしないとね。
ゴクゴクと冷たい水と一緒に考えた作戦を胃の中に流し込み、メイドちゃんに悟られない様に腹の中にしまう。
色々と、鋭すぎるのも問題ってこ~と、メイドちゃんが気がついちゃうと、メイドちゃんを監視している人も異変に気がついちゃうからね。
今代のメイドちゃんは祖国との関りが濃いせいで、芯が脆そうだからね、ポーカーフェイスとか出来なさそうだもん。
んふぅっと、鼻から息を漏らし、いつだって眉間に小さな皺を作ってしまっている弱い子を見つめてしまう。
飲み干したコップをメイドちゃんに渡し、手をメイドちゃんの前に出すと、腕を取って優しく椅子から立ち上がらせてくれる。
うん、鋭すぎるのも問題だけど、メイドとしては、意図を汲むのが上手いから重宝せざるを得ないんだよなぁ~。彼女を切り捨てるっていう選択肢は選べない、彼女のサポートが無くなるのは効率的じゃないよね?うんうん。感情的にも守ってあげたいし、合理性の部分でも守るべきって判断だね。満場一致。メイドちゃんを守ることに対して異論は誰からもなし!さぁ、人肌、お姉ちゃんが脱いであげますかっと。
立ち上がったさいに、此方に向けられた視線の数を密かに数え、誰が見ていたのか、眼球を一瞬だけ動かして把握する。
うん。浴槽に向かって歩いている、あの人は単純に私達を眺めていただけだろうから、違う。
湯船につかりながら私達をぼんやりと眺めているあの人は昔っからこの街にいる人だから違う、医療班の人だから、何か面白い事があればお母さんとの話のネタにしようとしているだけ、それよりも、眼球を動かした瞬間に視線を外した人が一名、あれだな。
手を引かれ、脱衣所で何時もの様に体を拭いてもらい、髪を乾かしてもらう。
まぁ、そりゃ、感無量となるのはわかるよ?王都だと、この規模の大浴場ってさ、貴族でしか入れないからね~。
平民の人達からすればタダで利用できること自体がありえないんだよね。他にも、この街にある設備の豊富さ、食事の美味さ、住むところは全部綺麗ってね!驚きの連続って感じかな?こうやって周囲の人と一緒に感想がダダ洩れになるくらい感情のままにさ、声に出すってことは最近、この街に来た人なんだろうね。
この大陸以外で生きてきた人達もさ、自国から徴兵されて、無理やり連れてこられてこの街に住んで働いてもらっている。
宰相には、大国を通していろんな国に交渉を持ちかけてもらっている、当然、向こうの条件を私達が飲む代わりに此方が要求しているのはマンパワー!
この街を支えるために必要なんだよ…人が欲しい。
国益に関する取引によって、金銭でのやり取りではなく、自国の領民を売ったってのは、売られた人達からすれば自分達は、自国を支える為の生贄として選定されたのだとしか、思えれないよね。自分達はいらない存在だって鬱になってやってきた人も数多くいたもんなぁ…
死の大地で非業な死を遂げてこいと生贄を捧げる様に連れてこられた人達ってのは、私達からすれば当然っというか、そういう人達でこの街は支えられてきたんだよなぁ。
なのでまぁ、扱い方も慣れたもんだよね、困ったことと言えば、最初は、言葉の壁があったくらいかな?
でもね、そういう人達と打ち解けてきて支えあってきた人達が豊富にいるこの街だからこそ、お互いの境遇を理解しあうことが直ぐにできるってわけ。
思いやる心に言語の壁なんて無いし、そもそも、この街の設備ってのはオーバーテクノロジーもいいところなんだよなぁ~、連れてこられた人達全員、想像していた場所とは違ったって声しか、幹部会に届いてこないんだもんなぁ。
最初こそ、戸惑ってたりしたけれど、一週間もすればなれるし、言葉も徐々に覚えてくれるから、自分の出来ることを一生懸命、頑張って働いてくれている。
畑仕事や、掃除、料理の下ごしらえなどなど、雑用を頑張ってくれている。お陰様で戦士達をそういった雑用に回さなくてもいいから、研鑽する時間も作れるし、連携を磨くこともできる!それらを取りまとめる戦士長は大変じゃないかなぁって不安を感じてたりしたけれど、流石って感じだよね、彼なら何人でも任せれる。
でもね、そんな彼でも、ううん、幾ら私達でもさ、他国からやってきた人達の中で全英を務めれる戦闘要員はいないんだけどね。
いや、志願者は、居たんだよ…彼らだってプライドがある!すぐ圧し折れたけどね!!
自国で誰よりも戦闘経験を積んできた、その辺の素人と一緒にするなっていう自称強者もいたよ?いたんだけど…私達の基準からすれば、前衛を任せれるほどの力量を持った人がいない、正直、彼らは弱すぎた。身体能力も魔力も…全てにおいて、前に出たら最後1秒も耐えられないんじゃないかな?
死の大地では、使い物にならない。魔力も微々たるものだし、膂力なんて荷物運びですら、限界寸前、歩くことしかできないくらいに、余裕がなくいっぱいいっぱいって感じ。
っでね、さっき言った自称強者ってやつは毎度毎度、出てくるんだよね。
昔の女将みたいにさ、この街にやってきて早々に、村一番の力自慢とか、村一番の実力者だの、自国の闘技大会で上位入選だのやらが鼻息を荒くして息巻くんだよなぁ。
全員第一声が同じだったもんなぁ、思考回路がショート寸前じゃないの?ってくらい、頭に熱がこもってんだよなぁ。
第一声がね、”この街にいる一番の強者と戦わせろ”っていうんだよね、面倒なことに自国の言葉でしか話さない人もいるけれど、何を話しているのか雰囲気で、ああ、こいつもかってわかるくらいにね、慣れすぎちゃったよ。もはや風物詩じゃね?ってくらいにね~。
今では、通りがかった戦乙女志願の新兵にちょいともんでやれって軽くあしらわれてんだよね、しかもだよ?相手が一番得意とする勝負を選んでもらったりするんだよね、力が自慢だったら、おんなじ物を持ち上げたり投げたり色々と勝負させてあげてる、相手が満足する迄ね。
当然、結果は見えている。私達が鍛えても居ない戦乙女志願の新兵に勝てなかったほどに…
死の大地が無い、私達が住む大陸の以外で、生きる人達は弱い。
これも偏に始祖様の血があるかないかだとおもう。私達は自分自身で全てを解決するための力を与えてもらったっていうのにね。
人の業は深い。
色々と、見てきたけれど、総じての評価は漏れなく、あの程度じゃ、死の大地にいる、兎…いや、鼠一匹ですら、手も足も出ずに負けかねないってね。無駄に死を晒すだけだって感じ。
ってことで、この街に来てもらった力自慢たちは、雑用を主に頼んでいるよ、適材適所、何事も効率的にね。
それでも戦う為に来たのだからってことで、根性のある人は、訓練にしがみつく様に参加している人もいるよ。
死の大地の恐怖に何度も何度も挑んで、多少は動けるようになった人もいるけれど、身の丈は弁えている、無駄に死を求める様に勇猛果敢に敵に飛び込むような無謀なことはしていない、そういう人は絶対に前に出さないように教育してからじゃないと、ね?ここまで育てて面倒見てやったんだから、勝手に死ぬなってのってね。
そう、他国からこの街に人が流れてくるようになり、来る最終決戦に向けての準備を全力で動いて動き続けて、もう、何年経ったのか、わからない。
全力で走り続けてきた影響もあって、今までの私達が歩んできた道とは大きく異なりすぎている。
こうなってくると、ある程度の未来予測なんて出来ようが無い、何が起こるかなんてわからない、だけど、油断はしない、相手の一手先を読むために私達は常に議論しあっている、この先に何が起きるのか、この先をどうすればいいのか…
今代の私で全てを終わらせるために…永劫の地獄から私はもう…
抜け出たいから
噛み殺された痛み、
大切な人達が幾度となく目の前で殺されていく痛み、
この世の地獄を再現したかのような世界が生まれ、積み上げてきた世界が崩れる痛み、
好きな人が、愛している人が敵の手に落ちて苦しむ姿を見せられた痛み、
ありとあらゆる苦難苦痛…それはまるで、燃え滾る様な…煮え湯を飲まされるなんて生ぬるい、燃え滾る様な油を耳の穴に流されるのもぬるい…
焼けた鉄を押し付けられるのもぬるい!…腕を捥がれ、足を捥がれ、臓物を食いちぎら得る事すらぬるい!!!
それ以上の痛みを味わい続けてきた…表現が出来ぬほど!言葉で言い表せぬほどの、痛み、悲しみ、苦しみ、絶望…
もう、終わりにしよう。流石の私も心が軋んできているのが分かる、甘い死を、破滅を望もうとしている…
私の夢何て、所詮は夢、叶わぬ夢…もういい、もういいよ…あいたいけど、もういい。こんな私をお母様が見たら、どんな顔をするのか、想像したくない。だから、もういい。
…もういいけれど、全てを諦めたわけじゃない、まだ、折れるわけにはいかない、甘き死を飲み干すにはまだ、私の心は、心の力は尽きていない!!
注がれ続けるこの苦しみを、敵にぶつけない限り、私の溜飲が下がることはない!私の心に満たされ続けている苦しみを力に変え、私は進む。お前たちを駆逐する迄とまるものか…とまれるものか!!!
腸が、臓物が、煮えたぎってしまう程に湧き上がる熱を飼いならそうとしていたら
「ひめ、さま…」
声が聞こえたので、意識を日常へと切り替える。
震えるような音がした方向へと視線を向けると、私の為に水を汲んでくれたであろう手が震えている。わざわざ汲んできてくれたコップから水が零れている。
ゆっくりと上半身を起こし、震える手を包み込む様にしコップを受け取り
「どうしたの?」
優しく微笑むと、震えが止まる、殺意に敏感はメイドちゃんを怯えさせてしまったいけないいけない、この程度で表に出していたら気取られるよね。
「ぁ、ぅ、ぃ、いえ、何も…ない、です」
「そ?お水、ありがとうね」
怯えた表情がすぐに何時もの作り笑顔に切り替わる、表面だけでも、落ち着きを取り戻したみたい。まったく、殺意や殺気に弱いうえに敏感なんだから。
こんな弱い子に、背負えれない程の何かを背負わされようとしているって考えると、メイドちゃんの小さな背中に圧し掛かる前に、向こうが何かアクションを起こす前に釘を刺しておくべきかな~?…うん、するべきだよね。されてからじゃ遅い、私は何時だって一手遅いからね。
さて、どうやって釘を刺してやるべきか、大まかにかんげると直ぐに策が思い浮かぶ、問題は、どのタイミングでやるべきかな?まぁ、早めって考えるとこの後すぐが一番かな?っとなると、思い浮かんだ策を気取られないようにしないとね。
ゴクゴクと冷たい水と一緒に考えた作戦を胃の中に流し込み、メイドちゃんに悟られない様に腹の中にしまう。
色々と、鋭すぎるのも問題ってこ~と、メイドちゃんが気がついちゃうと、メイドちゃんを監視している人も異変に気がついちゃうからね。
今代のメイドちゃんは祖国との関りが濃いせいで、芯が脆そうだからね、ポーカーフェイスとか出来なさそうだもん。
んふぅっと、鼻から息を漏らし、いつだって眉間に小さな皺を作ってしまっている弱い子を見つめてしまう。
飲み干したコップをメイドちゃんに渡し、手をメイドちゃんの前に出すと、腕を取って優しく椅子から立ち上がらせてくれる。
うん、鋭すぎるのも問題だけど、メイドとしては、意図を汲むのが上手いから重宝せざるを得ないんだよなぁ~。彼女を切り捨てるっていう選択肢は選べない、彼女のサポートが無くなるのは効率的じゃないよね?うんうん。感情的にも守ってあげたいし、合理性の部分でも守るべきって判断だね。満場一致。メイドちゃんを守ることに対して異論は誰からもなし!さぁ、人肌、お姉ちゃんが脱いであげますかっと。
立ち上がったさいに、此方に向けられた視線の数を密かに数え、誰が見ていたのか、眼球を一瞬だけ動かして把握する。
うん。浴槽に向かって歩いている、あの人は単純に私達を眺めていただけだろうから、違う。
湯船につかりながら私達をぼんやりと眺めているあの人は昔っからこの街にいる人だから違う、医療班の人だから、何か面白い事があればお母さんとの話のネタにしようとしているだけ、それよりも、眼球を動かした瞬間に視線を外した人が一名、あれだな。
手を引かれ、脱衣所で何時もの様に体を拭いてもらい、髪を乾かしてもらう。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
異世界異話 天使降臨
yahimoti
ファンタジー
空から天使が降って来た。
落ちたんだよ。転生かと思ったらいきなりゲームの世界「ロストヒストリーワールド」の設定をもとにしたような剣と魔法の世界にね。
それも面白がってちょっとだけ設定してみたキャラメイクのせいで天使族って。こんなのどうすんの?なんの目的もなければ何をしていいかわからないまま、巻き込まれるままにストーリーは進んでいく。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
我が家と異世界がつながり、獣耳幼女たちのお世話をすることになった件【書籍化決定!】
木ノ花
ファンタジー
【第13回ネット小説大賞、小説部門・入賞!】
マッグガーデン様より、書籍化決定です!
異世界との貿易で資金を稼ぎつつ、孤児の獣耳幼女たちをお世話して幸せに! 非日常ほのぼのライフの開幕!
パワハラに耐えかねて会社を辞め、独り身の気楽な無職生活を満喫していた伊海朔太郎。
だが、凪のような日常は驚きとともに終わりを告げた。
ある日、買い物から帰宅すると――頭に猫耳を生やした幼女が、リビングにぽつんと佇んでいた。
その後、猫耳幼女の小さな手に引かれるまま、朔太郎は自宅に現れた謎の地下通路へと足を踏み入れる。そして通路を抜けた先に待ち受けていたのは、古い時代の西洋を彷彿させる『異世界』の光景だった。
さらに、たどり着いた場所にも獣耳を生やした別の二人の幼女がいて、誰かの助けを必要としていた。朔太郎は迷わず、大人としての責任を果たすと決意する――それをキッカケに、日本と異世界を行き来する不思議な生活がスタートする。
最初に出会った三人の獣耳幼女たちとのお世話生活を中心に、異世界貿易を足掛かりに富を築く。様々な出会いと経験を重ねた朔太郎たちは、いつしか両世界で一目置かれる存在へと成り上がっていくのだった。
※まったり進行です。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる