【完結】政略結婚はお断り致します!

かまり

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17話 アクアの記憶3 第二王子マクロス

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コンコン——

 部屋の扉がノックされたが、あまりの急展開にカイルはすぐに返事ができなかった。

「兄上?いらっしゃらないのですか?」

 久しぶりに聞いた声。2歳下の弟の声だ。しかし4年の間に少し声が大人びていた。カイルは本当に弟かを確かめたくて、急いで扉を開ける。

「…マクロス!」

 扉の前に立っていたのは、最後に見た時よりかなり背は伸びてはいるが、間違いなく弟である第二王子マクロスだった。

 カイルは嬉しくて、思わずマクロスを抱きしめた。

「マクロス!しばらく見ないうちに大きくなったな⁉︎…会いたかった…元気だったか⁉︎」

 カイルは感極まったようにそう言ったが、マクロスは怪訝な顔をする。

「…どうしたんですか?兄上?…この前戦争から戻られた時に同じことを言ってたじゃないですか…?」

 不思議そうに首を傾げるマクロスの言ったことにカイルは驚いた。

「兄上…戦争が本当にお辛かったんですね。…兄上ばかりに任せきりにしてしまって申し訳ありませんでした…」

マクロスは戦争の悲惨さが兄を狂わせてしまったのかと心配した。

「あっ、いや、そうじゃない。大丈夫だ。マクロスは戦争が始まった時はまだ15歳になったところだったし、2人揃って何かあっても王家を継ぐものがいなくなるから、年上の僕が行くのが当然だったんだ。気にしないでくれ。

それにしても、戦争は…?どうなったんだ?」

「兄上…それも知っておられるはずなのに…やはりお疲れなのですよ。しばらくゆっくりなさってください!」

 そう言って、マクロスはカイルの背中を押し執務室から出すと、寝室へ連れて行こうとした。

「い、いや、そうか、疲れてるのかもな。すまないマクロス、だけど戦争がどうなったかだけ教えて欲しい」

「…はぁ…わかりました…

敵国の国内でクーデターが起こったんですよ。

こちらに無理な戦争を仕掛けて長引かせたあっちの国王は、次から次へと国民を兵に駆り出し、荒れる自国の事情を顧みなかったために、我慢ならなくなった国民が暴動を起こして国王が処刑されたんです。

今はまだ誰が王になるのか揉めているようですが、ひとまず戦争どころではなくなり撤退しました。

もともと仕掛けられた戦争でしたから、こちらは防戦でしたし、相手が引いたので戦争はひとまず終結したのです」

「そう…なのか…それは、いつ?」

「兄上…まさか記憶を無くされたのでは⁉︎医師に診て貰いましょう!」

「あ、ああ、そうだな。戦争が終わってほっとしたら、その辺りのことが記憶から飛んでしまったのかもしれないな、ハ、ハハハハ」

 空笑いをして誤魔化すカイルを見てマクロスは心配そうな顔をするが、話せば思い出すかと思って、色々話してみることにした。
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