断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜

白雲八鈴

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14 人の身とは難儀だな

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 死した後に残ったモノに意思があるとすれば?それはこの世界にどの様な影響を及ぼす?この乙女ゲームらしき世界にだ。

 聖女に敵対するモノ。彼女と攻略対象の仲を深める要素の一つ。若しくは、裏キャラ設定もあり得る。

 ヤバい。早く放り出したほうがいいような気がしてきた。


 最近になってよく思う。学園の時には思わなかったことだ。

『なぜ、私はこの世界の話を知らないのだ』ということを。

 学園に居たときは婚約破棄されれば解放されると思っていた。しかし、彼が現れてからどうも違うような気がしてならない。
 紫煙を空に向かって放つ。
 避けずにヒロインらしき人物と話しをすべきだったのだろうか。いや、今更全てが遅い。

 彼を追い出したあとは、この国を離れよう。何処がいいかなぁ。食べ物が美味しいところがいいなぁ。
 星を見ていると眠気が降りてきた。風邪を引く季節でもないから、たまには外で眠るのもいいかもしれないと、目をとじる。



 ふかふかおふとん。やっぱりおふとんはふかふかの方がいいよね。
 ふかふか?あ?
 パチリと目を開けた先には黒く濁った目が·····。なぜ私はここで寝ている。畑のベンチで寝ていたはずだ。

 飛び起きて右手を見る。持っていた煙管キセルが無い。辺りを見渡しても見当たらない。

「私のき····」

 煙管キセルを知らないか?と問いたかったが、苦しく息が詰まってしまった。

「ゴホッゴホッ」

 と咳き込みながらベッドを降りようとする。畑で落としてしまったのだろう。

「大丈夫か?」

 と言われ腕を掴まれ、引き止められてしまった。離してくれ。手を振り払おうとしても、離してくれない。
 首を横に振り、口を開こうとすれば、目に途轍もない痛みが走った。慌てて右目に手を当てればヌルリと生暖かい液体が手の平を伝っていく。


 ヤバい。今回の嵐はいつもより長かったから、引きこもり過ぎた。早く魔力を発散しなければいけない。


 身体強化をして驚いた顔をしている目の前の人物を突き放つ。そして、そのまま窓から外に飛び出し駆け抜ける。結界を通り抜け、木々の林からドラゴンたちのいる土と岩場に出る。そして、目的のモノを探し出す。視界の一部が赤く染まっており見つけにくい。あ!見つけた!

 直ぐ様そのモノの背後に詰めより高く飛び上がる。そして、亜空間から自分の背丈程の剣を取り出した。大物を狩るための大太刀だ。
 それを思いっきり振り下ろす。

『なんだ。朝から元気だなぁ』

「長老。ちょっと遊んで欲しい」

 そう、背後から一発ぶちかましたのに、軽く爪で往なし、大太刀を跳ね返したのは赤黒い鱗を纏うドラゴンであり、この地のまとめ役のドラゴンだ。

『ははは。魔力に侵されておるのか。いつもながら人の身とは難儀だな』

「そう、難儀だね」

 そう言って左手を突き出し氷の槍を地面から生やす。長老は翼を広げ、空に飛び立ちそれを避ける。高く飛び上がる赤黒いドラゴンを追いかけるように、空間に足を掛け、そのまま空間を駆け上がって行く。
 空間を固定化し、地面と同じようにするのだ。ただし、これは魔力の消費が激しく普通はしない。けれど、今の私は魔力を消費し続けなければならないのだ。

 左手に魔力を集め、翼を広げている赤黒いドラゴンに向かって爆炎の魔術を移動しながら連続して放つ。火と闇の属性をもつ赤黒いドラゴンには効かない事は承知で派手な魔術を連発する。

 爆炎にまみれながら姿を現すドラゴンは楽しそうに“クククッ”と喉を鳴らしていた。下から宙を駆け上がり、大太刀を下から上に振り上げる。
 別に私は剣が得意なわけではない。ただ振り回しているだけ、だから簡単に避けられてしまう。

 なのに何故大太刀を振り回しているかって?一撃で仕留めた方がお肉が美味しかったのだ。あと、やっぱ夢だよねー。大物の狩り。

 赤黒いドラゴンの周りに魔力が渦巻き始めた。距離を取るために足場を崩し落下する。ドラゴンの背後には高温の火の塊が複数出現し、地面に落下する私に向かって飛んでくる。
 それを避けるように再び空間に足場を作った。私に向かって飛んでくる火の塊は爆炎で相殺し、ドラゴンに向かって再び駆け上がる。

 ドラゴンの足元まで戻って来た私は一気に詰めより、大太刀を構えドラゴンの首を狙って一振り·······。

「ぐっ」

 視界いっぱいに赤黒い鱗が占領してきた。大太刀を横にし、ドラゴンの尾を受け止めるが、力の差など歴然だ。攻撃を受けきれず、地面の方に思いっきり投げ飛ばされた。このまま地面に激突するのは流石にヤバいと体勢を変え、踏みとどまろうとするが、空間を滑るように落ちていく。

 土と岩の地面が視界を占めるようになり、地面との衝撃を覚悟した私が感じた感触は『ふわり』という感覚だった。
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