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16章 英雄の国
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シェリーは翌朝、転移をしてギラン共和国の首都ミレーテの地を踏みしめていた。正確には首都ミレーテにある冒険者ギルドにある転移の間というところだ。
これは各地の主要都市にある冒険者ギルドにある部屋の一室だが、別にこの部屋自体に魔術が施されているわけではなく、高位冒険者が安全に転移魔術を行える場である。転移は出現する支点を自分自身で登録しなければならないのだが、そこが必ずしも転移時に安全な場所であるとは限らないのだ。
転移の間から出ると、朝早くから依頼の受注をしようと多くの冒険者がごった返していたのだが、その冒険者達の視線が一斉に転移の間から出てきた者たちに向けられた。
先程までざわめいていた空間が静まり返ってしまった。シェリーはいつも通り転移の間から出口に向かって、その異様に静まり返っている空間を歩いている。シェリーの横にはいつも通りカイルがおり、その後ろからグレイとスーウェン、オルクスがついてきている。
冒険者たちはその5人の姿を見て
「Sランクの銀爪だ。確かシーランで活動していたんじゃないのか?」
「オルクス団長がなぜここに?そういえば最近見かけなかったな。」
「あれってガレーネか?見たことないよな。」
「なぜエルフがこの国にいるんだ?」
とかコソコソと話をしている。その異様な空間を裂くように響き渡る声でシェリーは足を止められてしまった。
「おい。ラースの。転移の間だけ使って出ていこうとするな。」
「ちっ!」
「舌打ち聞こえてるぞ。こっちに来て依頼を受けて行け。」
シェリーは引き止めた人物を睨みつける。その人物は吹き向けになった二階から下を覗き込むように手すりに持たれかかり、シェリーをニヤニヤと見ていた。その姿は白い髪から丸みを帯びた耳がでておりに黄色の目の長身の男性だった。その男性の後ろからは長い白い尻尾がゆらゆらと揺れている。どう見てもオルクスと同じ豹獣人だった。
「ギルドマスター。私は用事があってこの国に来ているので、その用事が済めば直ぐに帰ります。」
そう、シェリーを引き止めた白い豹獣人は首都ミレーテのギルドマスターだった。
「ラースの。オルクスが世話になっているそうじゃないか。仕事が溜まってんだよ。」
どうやら、オルクスがいなくなったことで、オルクスがしていた仕事が溜まっているようだ。
「では、置いて行きますので本人にさせてください。」
「え。それは絶対に嫌だ。」
オルクスはシェリーの言葉に直ぐに否定する。
「くくく。あのオルクスがなぁ。おもしろいなぁ。まぁ、仕事はラースのが適任の依頼だ。ユールクス殿からだ。」
ユールクス・・・。
「はぁ。それは断りようがないではないですか。急ぎですか?急ぎではないのなら、先にシド総帥閣下のところに行きたいのですが?」
「ああシドのところか。それぐらいなら大丈夫だろう。そっちからの方が近いからシドに開けてもらえ。じゃ、頼んだぞ。」
そう言ってギルドマスターは奥に消えて行った。ギルドマスターが居なくなったことでざわめきが大きくなる。ギルドマスターが直接声をかけた人物が何者か気になっているようだ。
シェリーは止まった足を再び動かし始める。他の依頼を頼まれないようにさっさとここから離れるためだ。
冒険者ギルドを出たシェリーは西に向かって歩き出す。
ここ首都ミレーテはとても美しい街並みである。石畳の道路が首都全域に敷かれてあり、建物の規格があるかのように石造りの建物がその道沿いに立ち並んでいる。
何処かで見たような錯覚さえ覚えてしまう光景だった。まるでヨーロッパのパリの街並みを模したかのように、しかしミレーテにはあの有名な凱旋門もエッフェル塔もない。
シェリーが冒険ギルドから首都の外れに向かって歩いている横でいるカイルの機嫌はなぜか悪いようで、いつもより幾分低い声でシェリーに尋ねる。
「シェリー。ユールクスって誰?」
カイルはシェリーが断れないと言った人物が気になったようだ。一国の国王でさえ殴るシェリーがその人物の名前を出すだけで断れないと言ったのだ。
「オルクスさんならご存知ではないのですか?」
シェリーのその言葉にカイルは振り返り、オルクスを見るがオルクスは肩をすくめ、その名前には聞き覚えがないと言う。
「シェリー、オルクスも知らないようだが?」
「そうですか。オルクスさんがフェクトス総統閣下からシド総帥閣下から教えてもらっていないことを私が話していいのか判断できません。」
「ということはこの国の中枢に関わっている人物からの依頼ということ?」
「中枢?この国そのものですかね。」
シェリーが時々おかしな表現を使うことはわかっていたが、今回は流石におかしすぎる。ユールクスという人物は国そのものだと言っているのだ。
「ごめん。シェリー、流石にその言葉の意味がわからない。」
後ろの三人も縦に首を振っている。
「意味がわからないのですか。まぁ、シド総帥閣下に会った後に会うことになりますから、必然的にわかりますよ。」
これは各地の主要都市にある冒険者ギルドにある部屋の一室だが、別にこの部屋自体に魔術が施されているわけではなく、高位冒険者が安全に転移魔術を行える場である。転移は出現する支点を自分自身で登録しなければならないのだが、そこが必ずしも転移時に安全な場所であるとは限らないのだ。
転移の間から出ると、朝早くから依頼の受注をしようと多くの冒険者がごった返していたのだが、その冒険者達の視線が一斉に転移の間から出てきた者たちに向けられた。
先程までざわめいていた空間が静まり返ってしまった。シェリーはいつも通り転移の間から出口に向かって、その異様に静まり返っている空間を歩いている。シェリーの横にはいつも通りカイルがおり、その後ろからグレイとスーウェン、オルクスがついてきている。
冒険者たちはその5人の姿を見て
「Sランクの銀爪だ。確かシーランで活動していたんじゃないのか?」
「オルクス団長がなぜここに?そういえば最近見かけなかったな。」
「あれってガレーネか?見たことないよな。」
「なぜエルフがこの国にいるんだ?」
とかコソコソと話をしている。その異様な空間を裂くように響き渡る声でシェリーは足を止められてしまった。
「おい。ラースの。転移の間だけ使って出ていこうとするな。」
「ちっ!」
「舌打ち聞こえてるぞ。こっちに来て依頼を受けて行け。」
シェリーは引き止めた人物を睨みつける。その人物は吹き向けになった二階から下を覗き込むように手すりに持たれかかり、シェリーをニヤニヤと見ていた。その姿は白い髪から丸みを帯びた耳がでておりに黄色の目の長身の男性だった。その男性の後ろからは長い白い尻尾がゆらゆらと揺れている。どう見てもオルクスと同じ豹獣人だった。
「ギルドマスター。私は用事があってこの国に来ているので、その用事が済めば直ぐに帰ります。」
そう、シェリーを引き止めた白い豹獣人は首都ミレーテのギルドマスターだった。
「ラースの。オルクスが世話になっているそうじゃないか。仕事が溜まってんだよ。」
どうやら、オルクスがいなくなったことで、オルクスがしていた仕事が溜まっているようだ。
「では、置いて行きますので本人にさせてください。」
「え。それは絶対に嫌だ。」
オルクスはシェリーの言葉に直ぐに否定する。
「くくく。あのオルクスがなぁ。おもしろいなぁ。まぁ、仕事はラースのが適任の依頼だ。ユールクス殿からだ。」
ユールクス・・・。
「はぁ。それは断りようがないではないですか。急ぎですか?急ぎではないのなら、先にシド総帥閣下のところに行きたいのですが?」
「ああシドのところか。それぐらいなら大丈夫だろう。そっちからの方が近いからシドに開けてもらえ。じゃ、頼んだぞ。」
そう言ってギルドマスターは奥に消えて行った。ギルドマスターが居なくなったことでざわめきが大きくなる。ギルドマスターが直接声をかけた人物が何者か気になっているようだ。
シェリーは止まった足を再び動かし始める。他の依頼を頼まれないようにさっさとここから離れるためだ。
冒険者ギルドを出たシェリーは西に向かって歩き出す。
ここ首都ミレーテはとても美しい街並みである。石畳の道路が首都全域に敷かれてあり、建物の規格があるかのように石造りの建物がその道沿いに立ち並んでいる。
何処かで見たような錯覚さえ覚えてしまう光景だった。まるでヨーロッパのパリの街並みを模したかのように、しかしミレーテにはあの有名な凱旋門もエッフェル塔もない。
シェリーが冒険ギルドから首都の外れに向かって歩いている横でいるカイルの機嫌はなぜか悪いようで、いつもより幾分低い声でシェリーに尋ねる。
「シェリー。ユールクスって誰?」
カイルはシェリーが断れないと言った人物が気になったようだ。一国の国王でさえ殴るシェリーがその人物の名前を出すだけで断れないと言ったのだ。
「オルクスさんならご存知ではないのですか?」
シェリーのその言葉にカイルは振り返り、オルクスを見るがオルクスは肩をすくめ、その名前には聞き覚えがないと言う。
「シェリー、オルクスも知らないようだが?」
「そうですか。オルクスさんがフェクトス総統閣下からシド総帥閣下から教えてもらっていないことを私が話していいのか判断できません。」
「ということはこの国の中枢に関わっている人物からの依頼ということ?」
「中枢?この国そのものですかね。」
シェリーが時々おかしな表現を使うことはわかっていたが、今回は流石におかしすぎる。ユールクスという人物は国そのものだと言っているのだ。
「ごめん。シェリー、流石にその言葉の意味がわからない。」
後ろの三人も縦に首を振っている。
「意味がわからないのですか。まぁ、シド総帥閣下に会った後に会うことになりますから、必然的にわかりますよ。」
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