番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―

白雲八鈴

文字の大きさ
214 / 894
17章 不確定な未来と不穏な未来の予兆

203

しおりを挟む
「あー。本当に美味しいわ。こんなに美味しいものを食べたのはギラン行ったときぐらい?ギランの商人にラースまで来てって交渉しようかしら。」

 オーウィルディアはそんな事を喋りながら、シェリーの作った食事を食べている。

「確かにギランは変わった食材が多かった。何に使うか分からない物もあったが、ここまで美味しいことは無かったぞ。」

 ディスタはオーウィルディアと話しながらも食べるスピードが衰えず、食事を口に運んでいる。

「一般のお店じゃ、確かにこの辺りと変わらないけど、あの国、毎年冬に祝賀パーティーがあるじゃない?そこで出された食事よ。あ、でも炎王様がいたから炎国の物が出されていたのかしら?」

「あの国、入国制限が厳しすぎて、入れないよな。」

「入国制限が厳しい?」

 二人の話しを聞きながら黙々とシェリーの口に食べ物を運んでいたカイルが二人の会話に疑問を投げかけた。
 この前、炎国に行ったが、厳しいと言うほどのことは無かった。シェリーが名前と理由を言っただけで、記録担当者はいなくなってしまったが、いつもそんな感じであろうという対応だった。

「殿下。ご存じではないのですか?あの国で転移は使用禁止されていますし、行くには船で行くしかないのですが、商船と交渉するのも一苦労と聞きます。」

 ディスタにそう言われ、カイルはシェリーを見る。いつもどおりの無表情で口をモゴモゴしている。
 シェリーは転移を使って炎国に入っていた。その炎国が転移の使用を禁止している?見たことと言われたことが矛盾をしていた。
 しかし、シェリーと炎王の親しい感じからいくとありえることかもしれないが、カイルからすれば面白くない。

「そう言えばシェリーちゃん。フィーディス商会と取り引きしていたわね。」

「していますが?」

「ラースと取り引きしてもらうようにできないかしら?」

「ラースの何と取り引きするつもりですか?」

 その言葉にオーウィルディアは巨体を丸め、胸を押さえる。

「う。痛いところを突いてくるわね。何もないわよ。国土の約半分が使い物にならないのよぅ。ビアンカに浄化を頼んでもナオフミが邪魔をするのよ。」

「そもそも、黒の魔物退治に母さんがなぜついて行っているのですか?引き離した隙に浄化を頼めばよかったのではないのですか?」

「違うわよ。ナオフミがビアンカと別行動を取ることに、ごねたのよ。」

「ちっ。クソ勇者が!」

「母さん?もしかして、聖女と勇者の子供か!勇者が『俺とビアンカの子供だから、めっちゃ可愛いはずだ。しかし、嫁には出さん。』と産まれる前からバカ親丸出しだったときの子供か!全然似てないじゃないか!」

 ディスタがフォークでシェリーを指しながら言っているが、そのフォークをカイルがナイフを飛ばして弾く。

「ディスタ。他の子供たち見たでしょ?普通では、シェリーちゃんもあの子たちも生きにくいのよ。」

「ああ、黒の魔眼持ちか。確かにこの大陸じゃ生きにくいよな。って、なんで一人だけ別の国にいるんだよ。あ、もうひとりいるのか?」

 ラースを管理する部屋に入ったことのあるディスタはシーラン王国にラースが一人存在していることを知っている。
 その言葉にシェリーは立ち上がって黒刀を取り出し、テーブル越しにディスタに刃を向ける。

「クソ勇者にそれは絶対に言ってはいけません。」

「う。何をだ?別の国にいることか?」

「私がいる国も、もうひとりのラースのこともです。今すぐ忘れるか、ココで命を落とすかどちらがいいですか?」

 ディスタは青い顔をして、身を引く。

「なんで、命と引き換えになっているんだ。流石にそれは大きすぎるだろ。」

「あら?そうでもないかもしれないわよ。」

 オーウィルディアはシェリーの意見に同意する。

「悪災を再び招くぐらいなら、事故に見せかけて、消すかしら?」

 しれっと恐ろしいことを言っている。仮にもディスタはセイルーン竜王国の第一王子の命で動いている人物だ。それをオーウィルディアは殺すと言っているのだ。

「殿下。」

 ディスタはカイルに助けを求めるが

「ディスタ。忘れた方が身のためだね。」

 味方は誰もいなかった。

「くっ。わかった。忘れるが、理由を教えてくれ、あれでも戦友だ。」

「戦友ですか。ツガイの為といい、共に戦った魔導師を殺したのに?」

「オリバーのことか。それは仕方がないことじゃないのか?番は己の全てだ。」

 その言葉にシェリーは冷たい視線をディスタに向ける。その視線を受け、ディスタは身をすくめた。

「ツガイが全て。バカバカしい。」

 シェリーがディスタに向けた視線は全てを否定した視線だった。

しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーレムです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

魔王の娘に転生した私は、恐れられるどころか世界一の美貌で恋愛ルート確定でした

月影みるく
恋愛
目を覚ましたら、私は異世界で―― 恐怖と絶望の象徴・魔王の娘として生まれていた。 この世界で魔王の血を引く者は、恐れられ、忌み嫌われる存在。 孤独な運命を覚悟していたはずなのに、なぜか周囲の反応がおかしい。 父である魔王は超美形で娘に激甘。 魔族たちは命がけで守ってくる。 さらに人間側の勇者や王子、騎士までもが、次々と私に惹かれていき――。 どうやら私は、世界一の美貌を持って生まれてしまったらしい。 恐れられるはずだった魔王の娘・セラフィナ・ノワールの人生は、 気づけば溺愛と恋愛フラグだらけ。 これは、 魔王の血と世界一の美貌を持つ少女が、 数多の想いの中から“運命の恋”を選ぶ、 甘くて危険な異世界恋愛ファンタジー。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】

かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。 名前も年齢も住んでた町も覚えてません。 ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。 プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。 小説家になろう様にも公開してます。

処理中です...