282 / 894
22章 獣人たちの騒がしい大祭
271
しおりを挟む
フェクトス総統閣下 Side
「ブヒブヒ鳴くブタ?コートドランの事じゃねぇだろな」
シドが閉じられたの扉を見ながら言っている。しかし、冷や汗が酷い。普通に話してはいたが、彼女の周りにいた者達の圧倒的な力に内心慄いていた。
あのオルクスでさえ俺の知っているオルクスではなくなっていた。この国を離れて2月程しか経っていないと言うのに。
それに、どう見てもエルフの王の血筋であるシュエーレン。そして、何度か顔を合わせたことがある炎王の血を引くグラシアール。
一番恐ろしいと感じたのは銀爪だ。噂で聞いていたが、格が違うと肌がざわめく程感じられた。
それらが、ラースであるシェリー・カークスの側にいるとなると、心胆を寒からしめられる思いだ。
「フェクトスどうした?」
俺が何も話さないことがおかしいと思ったのかシドがテーブルに肘を付きながら俺の顔を伺い見ていた。
「何でもありませんよ」
「フェクトス。俺しか居ないのだから、そんな言葉遣いをするな。気持ち悪い」
俺の立場では素のまま話すと色々問題になるから普段から丁寧な言葉遣いで話すように気をつけているというのに。
「はぁ。で、ラースの内情は聞けたのか?」
今回、シェリー・カークスをこの国に呼んだ理由だ。あの国はラースの国であり、今は問題の勇者がいる国だ。動向を注視しておかなければならない。
「ああ、はっきりと言わなかったが、ミゲルロディアは魔人化したとみていい」
「あの、ミゲルが……ラースで大きな騒動が起きたと聞かなから、すでに魔の大陸に送られたと見ていいだろうが、次の大公はオーウィルディアということか」
「それはどうだろうな、ラースの嬢ちゃんはウィルの事を大公代理と言っていた」
それはどういう事だ?オーウィルディアは大公として立つ気はないということなのか?
「ここに来て色々不安定要素が出ていたな。フェクトス」
「モルテ国か。これは無視できない事だ」
本当に頭が痛い。モルテ国が国として機能しなくなって約千年。千年前のギラン共和国は国として成り立ったばかりだった。それほどの年月だ。どう対応を取るべきか手探りで行かなければならない。
「それもだが、大陸の南側もきな臭い。サヴァン王国がそろそろヤバいらしい」
「それは、シュトラールのガキが裏で糸を引いている事だ。あの虐殺王は切れ者だ。良いように事を収めるだろう。下手を打てばクラナードとヴィーリスの姫に消されるのもわかっているだろう」
「それは恐ろしいなヴィーリスは関わりたくないなぁ。モルテの次に」
恐ろしいと言いながらもシドはニヤニヤと笑っている。きっとヴィーリスの奴らと殺りあったときの事でも思い出しているのだろう。
『楽しそうに話しているところ邪魔するが』
突然、聞き覚えのある低い声が部屋に響いた。辺りを見渡すと、先程シェリー・カークスが座っていた位置に緑の髪に金の目を持った人物が座っていた。いや、人ではなく、この国の護りの要であるユールクス様だ。
俺とシドは立ち上がり、頭を下げる。
「これはユールクス様。如何されましたか?」
『楽にしてくれ、先程の話に追加をしておこうと思ってな』
席に着きユールクス様の言葉の意味を考える。先程の話?どこの話だろうか。
『不安定要素の話だ。2週間ほど前だったか。ラースがこの国に来たであろう?』
確かにリュエルからの報告で上がっていた。ダンジョンの掃除を頼んだと。
『その時に我のダンジョンで外部と連絡を取っていてな、その時に面白い話しをしていた。悪魔が3体出現したと、その内1体は魔眼持ちだと』
「「なっ!」」
俺とシドの驚きの声が重なった。悪魔だと!最近は確かに魔物の出現が頻繁になり、冒険者ギルドにも依頼を出しているが、傭兵団にもそのことで対処をしてもらっている。その上、悪魔だと!
『ラースは黒龍を引っ張って対処に向かったようだ。その2日後だ。北の国境付近に1体の悪魔が顕れた』
衝撃的な言葉だった。30年前の再来とでも言うのだろうか。悪魔がこの国に出現しただと!
俺もシドも言葉が紡げず、固まってしまっていた。
『ああ、それは我の方で対処をしておいたから心配することはない』
「あ、ありがとうございます」
その言葉を言うことが精一杯だった。頭の中では30年前の事が次々と思い出されていく。あの時と比べて戦力はどうだ?
あの時は賢者がこの国にいた。それにより賄われていたことが多々あった。魔力をあまり保たない獣人である我々にも使える魔武器の提供。ダンジョンから生み出される神水を模倣した天水の提供。
賢者がいたから、対処できたと言っていいだろう。
人としてはどうだ?10年に渡る戦いで多くの者達を失った。友であったクロードもあの戦いで失ってしまった。
絶対的に戦力が足りない。まさか、20年で再び災禍が世界を襲うというのか。
『ラースの国のことで思うことはあるかも知れんが、まずは国事を成してほしいものだ』
「はい」
『水龍がお前達のために造った国だ。こんな事で壊すなよ』
そう言葉を残して、ユールクス様は消えていった。これは後でシェリー・カークスに聞かなければならない。
_______________
訂正します。
千年前はギラン共和国は存在していなかった。→
すみません。ギラン共和国は存在しています。『俺にとって~』とこの辺は関わってくるのですが、完璧に頭から抜けてました。
「ブヒブヒ鳴くブタ?コートドランの事じゃねぇだろな」
シドが閉じられたの扉を見ながら言っている。しかし、冷や汗が酷い。普通に話してはいたが、彼女の周りにいた者達の圧倒的な力に内心慄いていた。
あのオルクスでさえ俺の知っているオルクスではなくなっていた。この国を離れて2月程しか経っていないと言うのに。
それに、どう見てもエルフの王の血筋であるシュエーレン。そして、何度か顔を合わせたことがある炎王の血を引くグラシアール。
一番恐ろしいと感じたのは銀爪だ。噂で聞いていたが、格が違うと肌がざわめく程感じられた。
それらが、ラースであるシェリー・カークスの側にいるとなると、心胆を寒からしめられる思いだ。
「フェクトスどうした?」
俺が何も話さないことがおかしいと思ったのかシドがテーブルに肘を付きながら俺の顔を伺い見ていた。
「何でもありませんよ」
「フェクトス。俺しか居ないのだから、そんな言葉遣いをするな。気持ち悪い」
俺の立場では素のまま話すと色々問題になるから普段から丁寧な言葉遣いで話すように気をつけているというのに。
「はぁ。で、ラースの内情は聞けたのか?」
今回、シェリー・カークスをこの国に呼んだ理由だ。あの国はラースの国であり、今は問題の勇者がいる国だ。動向を注視しておかなければならない。
「ああ、はっきりと言わなかったが、ミゲルロディアは魔人化したとみていい」
「あの、ミゲルが……ラースで大きな騒動が起きたと聞かなから、すでに魔の大陸に送られたと見ていいだろうが、次の大公はオーウィルディアということか」
「それはどうだろうな、ラースの嬢ちゃんはウィルの事を大公代理と言っていた」
それはどういう事だ?オーウィルディアは大公として立つ気はないということなのか?
「ここに来て色々不安定要素が出ていたな。フェクトス」
「モルテ国か。これは無視できない事だ」
本当に頭が痛い。モルテ国が国として機能しなくなって約千年。千年前のギラン共和国は国として成り立ったばかりだった。それほどの年月だ。どう対応を取るべきか手探りで行かなければならない。
「それもだが、大陸の南側もきな臭い。サヴァン王国がそろそろヤバいらしい」
「それは、シュトラールのガキが裏で糸を引いている事だ。あの虐殺王は切れ者だ。良いように事を収めるだろう。下手を打てばクラナードとヴィーリスの姫に消されるのもわかっているだろう」
「それは恐ろしいなヴィーリスは関わりたくないなぁ。モルテの次に」
恐ろしいと言いながらもシドはニヤニヤと笑っている。きっとヴィーリスの奴らと殺りあったときの事でも思い出しているのだろう。
『楽しそうに話しているところ邪魔するが』
突然、聞き覚えのある低い声が部屋に響いた。辺りを見渡すと、先程シェリー・カークスが座っていた位置に緑の髪に金の目を持った人物が座っていた。いや、人ではなく、この国の護りの要であるユールクス様だ。
俺とシドは立ち上がり、頭を下げる。
「これはユールクス様。如何されましたか?」
『楽にしてくれ、先程の話に追加をしておこうと思ってな』
席に着きユールクス様の言葉の意味を考える。先程の話?どこの話だろうか。
『不安定要素の話だ。2週間ほど前だったか。ラースがこの国に来たであろう?』
確かにリュエルからの報告で上がっていた。ダンジョンの掃除を頼んだと。
『その時に我のダンジョンで外部と連絡を取っていてな、その時に面白い話しをしていた。悪魔が3体出現したと、その内1体は魔眼持ちだと』
「「なっ!」」
俺とシドの驚きの声が重なった。悪魔だと!最近は確かに魔物の出現が頻繁になり、冒険者ギルドにも依頼を出しているが、傭兵団にもそのことで対処をしてもらっている。その上、悪魔だと!
『ラースは黒龍を引っ張って対処に向かったようだ。その2日後だ。北の国境付近に1体の悪魔が顕れた』
衝撃的な言葉だった。30年前の再来とでも言うのだろうか。悪魔がこの国に出現しただと!
俺もシドも言葉が紡げず、固まってしまっていた。
『ああ、それは我の方で対処をしておいたから心配することはない』
「あ、ありがとうございます」
その言葉を言うことが精一杯だった。頭の中では30年前の事が次々と思い出されていく。あの時と比べて戦力はどうだ?
あの時は賢者がこの国にいた。それにより賄われていたことが多々あった。魔力をあまり保たない獣人である我々にも使える魔武器の提供。ダンジョンから生み出される神水を模倣した天水の提供。
賢者がいたから、対処できたと言っていいだろう。
人としてはどうだ?10年に渡る戦いで多くの者達を失った。友であったクロードもあの戦いで失ってしまった。
絶対的に戦力が足りない。まさか、20年で再び災禍が世界を襲うというのか。
『ラースの国のことで思うことはあるかも知れんが、まずは国事を成してほしいものだ』
「はい」
『水龍がお前達のために造った国だ。こんな事で壊すなよ』
そう言葉を残して、ユールクス様は消えていった。これは後でシェリー・カークスに聞かなければならない。
_______________
訂正します。
千年前はギラン共和国は存在していなかった。→
すみません。ギラン共和国は存在しています。『俺にとって~』とこの辺は関わってくるのですが、完璧に頭から抜けてました。
2
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
魔王の娘に転生した私は、恐れられるどころか世界一の美貌で恋愛ルート確定でした
月影みるく
恋愛
目を覚ましたら、私は異世界で――
恐怖と絶望の象徴・魔王の娘として生まれていた。
この世界で魔王の血を引く者は、恐れられ、忌み嫌われる存在。
孤独な運命を覚悟していたはずなのに、なぜか周囲の反応がおかしい。
父である魔王は超美形で娘に激甘。
魔族たちは命がけで守ってくる。
さらに人間側の勇者や王子、騎士までもが、次々と私に惹かれていき――。
どうやら私は、世界一の美貌を持って生まれてしまったらしい。
恐れられるはずだった魔王の娘・セラフィナ・ノワールの人生は、
気づけば溺愛と恋愛フラグだらけ。
これは、
魔王の血と世界一の美貌を持つ少女が、
数多の想いの中から“運命の恋”を選ぶ、
甘くて危険な異世界恋愛ファンタジー。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる