番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―

白雲八鈴

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25章-4 冬期休暇-悪魔という存在

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 結局、アレ以外の異常は見られなかった。ダンジョンの奥にある泉にも足を運んだが、いつもどおりの姿であったために、恐らく黒い球体が原因だったと思われた。

 そして、シェリーとカイルは冒険者ギルドに戻ってきており、ニールと会議室のような個室で向かい合って座っていた。
 勿論、シェリーは定位置であるようにカイルの膝の上に鎮座していながら、ジェフが作ったパフェを食べている。

「で、わざわざここで話すことってなんだ?」

 ニールは煙草を咥え、この忙しいのにわざわざ場所を変える必要があったのかという雰囲気を隠すこと無く言った。
 シェリーは溶けてしまうアイスを食べ終わってから話しだす。

「実は新事実がわかったので報告します」

「新事実だぁ?」

 今更、新事実と言われてもという感じなのだろう。仕事が全然捌けていないのに、更に面倒な事を言うつもりなのかと。

「以前『狂いし陽の森』でスタンピードを疑った調査依頼がありましたよね」

「ああ、魔物が増えていたが何もなかったと言って、よくわからない石を軍経由で渡してきたふざけたヤツだな」

 ニールの口から嫌味がこぼれ出ている。よくわからない浄化された石の事だろう。

「ええ、それです」

 嫌味を言われてもシェリーはそれをスルーして、肯定する。

「実は今回の依頼と殆ど同じ状況でした。一つは浅瀬にいる魔物しか出て来なかったこと。これはスタンピードとは違います」

「そうだな」

 そのことにはニールも同意する。

「実はそこに黒い球体があったのです」

「聞いていないぞ」

「言っていませんから」

「おい!報告義務というものがあることを知らないのか!」

 調査依頼であれば尚の事、状況報告が必要なものだ。

「知っていますが、理解不能の物体だったので、早々に燃やしました」

「そこを普通は調査すべきことだっただろう!」

 正論だ。ニールが言っていることに間違いはない。原因の追求は調査依頼に必要不可欠なことだ。

「いいえ、それが正解だったと今回わかりました。それは悪魔の揺り籠と言えばいいのですかね?」

「悪魔?」

「完全体の悪魔です」

 シェリーの言葉にニールは頭を抱える。これほどの物とは思っていなかったのだろう。

「その正体はアーク族でした」

「アーク?何だ?その種族の名は?」

 ニールはアーク族のことは知らないようだ。普通に暮らしているのであれば、アーク族のことなんて耳には入らない。シェリー自身もモルテ国のレガートスから話を聞かなければ知ることの無かった種族だ。

 だからシェリーはニールに確認する。

「ニールさんは空島の存在をご存知ですか?」

 そう、目に見れる人と見れない人がいる空島の存在。

「そらじま?」

 やはりニールは知らないようだ。前提条件としてアーク族が何か知らなければ話にならないことだ。

「ニールさん。この空には浮いた島があるのです。それは見える人と見えない人に分かれます。島に名前があるそうですが、その辺りはエルフ族に聞いた方がいいですね」

 一度スーウェンが島の名前をシェリーに教えていた。だが、シェリーは興味がないと言わんばかりに島の名前までは覚えてはいない。

「そこには白き神の姿によく似た白い翼を持った種族が住んでいるそうです」

「白い翼?」

 きっとニールの中には第2師団長のアンディウム・グレッソの姿が浮かんでいることだろう。

「それがアーク族です。モルテ王に狂うように呪いを掛けたのもアーク族です」

「その情報は今いるのか?」

「さぁ?どうでしょう?」

 そう言いながらシェリーは腰の鞄から、あるものを取り出す、木の棒の先に飴細工の翼を広げた鳥が刺さっているが、翼が片方折れて無くなっている鳥の飴細工だ。

「これは、とある神からもらったのですよ」
「あれ?それお祭りのときの……」

 カイルはその鳥に見覚えがあると口にする。
 シェリーはその飴細工を掲げ、口を開く。

「そのうちわかると言われて渡されたのですが、黒い球体の中には片翼の黒と白の斑の存在が入っていました。片翼の鳥。飛べなくなった鳥。地に落ちた鳥。相変わらず神の啓示というものはわかりにくい」

「それは俺に文句を言っているのか?」

 グチのように言い出したシェリーをニールはジト目で見る。自分に八つ当たりするなと。
 そのジト目を受けてもシェリーは淡々と語り続ける。

「白い部分は恐らく元のアーク族の姿だと思われましたが、黒く侵食されたところは完全体の悪魔の様相でした。一つ考えたことが、人が魔人に成るように、アーク族は完全体の悪魔に成るのではないのでしょうか?」

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