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26章 建国祭
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「シェリー。このまま二人でどこかに消えてしまおうか」
シェリーの充てがわれた客室の中、カイルの心の声が響いていた。
しかし、そのカイルの声に答えるシェリーの声は聞こえない。
「セイルーン竜王国が嫌なら、明日行く魔の大陸はどうかな?魔人だけの大陸だけど、魔人ラフテリアに許可を取れば住めそうな感じだったよね」
ベッドの中、カイルはそう言いながら、己の腕の中で寝たふりをしているシェリーを覗き見る。寝たふり。聞こえてはいるが、シェリーに答えるつもりが無いのだ。
「そうだ。南方に一つだけ小さな空島が残っているんだ。そこは大陸の上を通らないし、下は海だから、竜人以外は近づけない」
これは己の番を軟禁しようとしている言葉にしか聞こえない。その竜人の本能丸出しの言葉にシェリーは舌打ちをする。シェリーにとって大切な者は弟のルークであって、ツガイではないと。
「はぁ。分かってるよ。分かっているけど、ここ数日が本当に辛かった」
カイルが分かっていると言っているのは、勿論シェリーが聖女の役目から逃げることはないということだ。
「約一月ほどの幸せを粉砕された気分だった」
それはカイルが他の四人のツガイ達を不甲斐ないと陽子のダンジョンに叩き落としたのが始まりだが、カイル的には番であるシェリーを独占し、番の儀まで行ったのだから、幸せな時間が多かったのだろう。それが、年末から今日まで番であるシェリーの周りに自分ではないツガイがいることにイライラしていたのだろう。
何故、お前たちが俺の番の側にいるのだと。
「オリバーの行動も理解できる。他のツガイがいることが、とても目障りだ」
「はぁ。カイルさんうるさいです。寝れないので黙ってください」
とうとうシェリーはカイルの愚痴がうるさいと口に出した。ここ数日、シェリーの前ではニコニコと笑顔でいたものの、カイルは相当ストレスが溜まっていたらしい。
「シェリーが俺を『好き』って言ってくれたら、まだ我慢できる」
「ちっ!」
カイルは己に同じ想いを返さないにしても、シェリーから好意を言葉にしてもらえれば、己以外のツガイがいる状況も我慢できると言う。しかし、言われたシェリーはクソ虫でも見るような視線をカイルに向けて舌打ちをした。
「もう二度と同じ過ちは繰り返さない。その為に力を得る努力をする。シェリーは無理をして戦わなくていい。俺がシェリーの剣になる。これを我らが守護神である竜神シエロ様に誓う」
カイルが言葉にした瞬間。世界を視ることができるシェリーの目に一本の金色の糸が風になびくように顕れた。室内は間接照明以外落とされ、薄暗い室内には似つかわしくない金色の糸が、突然顕れたのだ。
その糸はカイルとシェリーを繋ぐように落ちてきて、闇の中に消えていった。いや、シェリーとカイルの中に溶け込んでいったと言い換えたほうが正確か。
「はぁ、カイルさん。簡単に神なんかに誓ったら駄目ですよ。言葉だけの簡易誓約だったとしても、私とカイルさんの間で、誓約がされてしまいましたよ」
「別に構わないよ。誓約を破るつもりは無いからね」
しかし、神という存在は気まぐれであり、神の考えと人の考えは必ずしも一致しないと、シェリーは理解している。それに、シェリーの側にいれば神という存在がどういうものか目に見えてわかるだろうに、簡単に神に誓いの言葉を口にしたカイルに非難的な視線を向けつつ、シェリーは口を開いた。
「神との契約は恐ろしいものです。後で後悔しても遅いです。それに……カイルさんのことは好きですよ……つっ~!!」
シェリーは契約を反故することはできないと言おうとしていたのだが、シェリーの口からはカイルに対しての好意の言葉が出てきた。
思わずシェリーは両手で口を覆い、辺りに視線を巡らすも、ベッドの上でカイルに抱きしめながら横になっている状態では、視界に捉える範囲は限られてくる。
そしてカイルはというと、まさか本当に好きと言ってもらえるとは思っていなかったため、口を覆っているシェリーを驚いた表情で見ているも、瞬時に蕩けるような笑みを浮かべた。そして、シェリーの口を塞ぐように覆っている両手をベッドに縫い付けるように、握った。
ということは、仰向けのシェリーに覆い被さるような形でカイルはシェリーを見下ろしているのだ。
「カイルさん。さっきの言葉は言わされたのです!私はそんなことを言おうとは思っていませんでした!」
流石のシェリーもこの状況に慌てて、否定をする。そして、言わされたというのはどういうことかと言えば。
「シエロ様!こんな時にイタズラをしないでください!」
そうこれは女神ナディアがグレイを使って、神威を言葉にすることと同じであった。しかし、グレイのようにシェリーは天空神シエロの愛し子というものではない。では何故か。
『えー?僕の可愛い小竜にご褒美をあげただけだよー』
天空神シエロの気まぐれで、シェリーは言わされたのだった。
「竜神シエロ様。感謝致します。シェリー。俺の愛しい番。愛してる」
そう言ってカイルは天空神シエロに文句を言っているシェリーに口づけをしたのだった。
シェリーの充てがわれた客室の中、カイルの心の声が響いていた。
しかし、そのカイルの声に答えるシェリーの声は聞こえない。
「セイルーン竜王国が嫌なら、明日行く魔の大陸はどうかな?魔人だけの大陸だけど、魔人ラフテリアに許可を取れば住めそうな感じだったよね」
ベッドの中、カイルはそう言いながら、己の腕の中で寝たふりをしているシェリーを覗き見る。寝たふり。聞こえてはいるが、シェリーに答えるつもりが無いのだ。
「そうだ。南方に一つだけ小さな空島が残っているんだ。そこは大陸の上を通らないし、下は海だから、竜人以外は近づけない」
これは己の番を軟禁しようとしている言葉にしか聞こえない。その竜人の本能丸出しの言葉にシェリーは舌打ちをする。シェリーにとって大切な者は弟のルークであって、ツガイではないと。
「はぁ。分かってるよ。分かっているけど、ここ数日が本当に辛かった」
カイルが分かっていると言っているのは、勿論シェリーが聖女の役目から逃げることはないということだ。
「約一月ほどの幸せを粉砕された気分だった」
それはカイルが他の四人のツガイ達を不甲斐ないと陽子のダンジョンに叩き落としたのが始まりだが、カイル的には番であるシェリーを独占し、番の儀まで行ったのだから、幸せな時間が多かったのだろう。それが、年末から今日まで番であるシェリーの周りに自分ではないツガイがいることにイライラしていたのだろう。
何故、お前たちが俺の番の側にいるのだと。
「オリバーの行動も理解できる。他のツガイがいることが、とても目障りだ」
「はぁ。カイルさんうるさいです。寝れないので黙ってください」
とうとうシェリーはカイルの愚痴がうるさいと口に出した。ここ数日、シェリーの前ではニコニコと笑顔でいたものの、カイルは相当ストレスが溜まっていたらしい。
「シェリーが俺を『好き』って言ってくれたら、まだ我慢できる」
「ちっ!」
カイルは己に同じ想いを返さないにしても、シェリーから好意を言葉にしてもらえれば、己以外のツガイがいる状況も我慢できると言う。しかし、言われたシェリーはクソ虫でも見るような視線をカイルに向けて舌打ちをした。
「もう二度と同じ過ちは繰り返さない。その為に力を得る努力をする。シェリーは無理をして戦わなくていい。俺がシェリーの剣になる。これを我らが守護神である竜神シエロ様に誓う」
カイルが言葉にした瞬間。世界を視ることができるシェリーの目に一本の金色の糸が風になびくように顕れた。室内は間接照明以外落とされ、薄暗い室内には似つかわしくない金色の糸が、突然顕れたのだ。
その糸はカイルとシェリーを繋ぐように落ちてきて、闇の中に消えていった。いや、シェリーとカイルの中に溶け込んでいったと言い換えたほうが正確か。
「はぁ、カイルさん。簡単に神なんかに誓ったら駄目ですよ。言葉だけの簡易誓約だったとしても、私とカイルさんの間で、誓約がされてしまいましたよ」
「別に構わないよ。誓約を破るつもりは無いからね」
しかし、神という存在は気まぐれであり、神の考えと人の考えは必ずしも一致しないと、シェリーは理解している。それに、シェリーの側にいれば神という存在がどういうものか目に見えてわかるだろうに、簡単に神に誓いの言葉を口にしたカイルに非難的な視線を向けつつ、シェリーは口を開いた。
「神との契約は恐ろしいものです。後で後悔しても遅いです。それに……カイルさんのことは好きですよ……つっ~!!」
シェリーは契約を反故することはできないと言おうとしていたのだが、シェリーの口からはカイルに対しての好意の言葉が出てきた。
思わずシェリーは両手で口を覆い、辺りに視線を巡らすも、ベッドの上でカイルに抱きしめながら横になっている状態では、視界に捉える範囲は限られてくる。
そしてカイルはというと、まさか本当に好きと言ってもらえるとは思っていなかったため、口を覆っているシェリーを驚いた表情で見ているも、瞬時に蕩けるような笑みを浮かべた。そして、シェリーの口を塞ぐように覆っている両手をベッドに縫い付けるように、握った。
ということは、仰向けのシェリーに覆い被さるような形でカイルはシェリーを見下ろしているのだ。
「カイルさん。さっきの言葉は言わされたのです!私はそんなことを言おうとは思っていませんでした!」
流石のシェリーもこの状況に慌てて、否定をする。そして、言わされたというのはどういうことかと言えば。
「シエロ様!こんな時にイタズラをしないでください!」
そうこれは女神ナディアがグレイを使って、神威を言葉にすることと同じであった。しかし、グレイのようにシェリーは天空神シエロの愛し子というものではない。では何故か。
『えー?僕の可愛い小竜にご褒美をあげただけだよー』
天空神シエロの気まぐれで、シェリーは言わされたのだった。
「竜神シエロ様。感謝致します。シェリー。俺の愛しい番。愛してる」
そう言ってカイルは天空神シエロに文句を言っているシェリーに口づけをしたのだった。
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