四の五の言わず離婚届にサインをしてくれません?

白雲八鈴

文字の大きさ
4 / 4

4話

しおりを挟む

 そして私は、国王陛下の執務室に通されました。
 広い執務室は綺麗に片付いており、まるで私が来るのを待っていたかのようです。

「ご機嫌麗しゅうございます。ミレーネ・リヴェルトに、この度は寛大なるご支援を賜り、恐悦至極に存じます。無事に離縁をすることができました」
「うむ。可愛い姪のためでもある。それに国に多大なる貢献をした結果でもある。余はミレーネの能力はいち公爵夫人に収めるには余りあるものと評価している」
「寛大なる評価に痛み入ります」

 執務机に偉そうにして席についているのが、この国の国王であり、私の伯父にあたる人物です。歳は四十三歳であり、十歳の王太子がいるには少々歳を取っています……が!

 その王の背後に控えている、凛と背筋を伸ばして存在感のある女性がいなければの話です。

 はい。この方が国王陛下をシスコンにした張本人である愛人のキア様です。

「ミレーネ様。息子であるレインとの婚姻にサインされていないと伺いましたが、王家直轄地であるカリオディルを任せるにあたっての体裁とご理解頂いていると思っておりましたが? 如何なのでしょうか?」

 そのキア様からの言葉です。やはりそうですか。レインの意もあるでしょうが、キア様の意もあると……これは面倒ですわね。

「キア様。それよりも……」
「それよりもとはなんですか? 今は、あなたの話をしているのですよ」
「キア様が、私の立場を思ってのことと存じております」

 この方は頭が悪い方ではありません。逆です。
 母親が先王の妾妃だったのは事実ですが、戦争奴隷だったことも事実です。

 母親に身分がない場合、その子供にも身分が与えられません。ですからキア様は自分の価値を兄に示したのです。

 帝王学を自ら学び、あらゆる学問を修めていったのです。

 私が怒っているのは、この方なら政務官としてやっていけただろうというのに、このシスコン親父は愛人という立場を与え、己の側に置いたことです。

「確か先日、リンエラドール地方の話をしておいででしたが、グレアバラン行きの荷の魔鉱石の量が合わないのではという報告が上がって来ていまして、早めに情報を精査されたほうがいいのではと、お伝えしたかったのですが、必要ありませんでしたか?」
「魔鉱石が? それは途中に経由するリンエラドールで荷が降ろされていると言っていますか?」
「さて、既にアルディーラ公爵夫人ではなくなった私では、情報を精査するつてはありませんので、どうとも言えません」

 すると慌てて国王陛下の執務室をでていかれるキア様。これで当分の間は戻ってこられないでしょう。

「ときに伯父様?」
「何かな? ミレーネ」

 私はワザと国王陛下を伯父と呼び、その茶番に載るように、陛下も合わせてくれています。

「伯父様のこの婚姻届けに対する意を確認してもいいかしら?」

 私はまだ私のサインをしていない婚姻届を見せつけます。

「ふむ。レインでは役不足であるか?」
「執事としては優秀でしたわ」
「ミレーネ姫に認めていただけるなど、光栄の至り。姫の為に頑張った甲斐がありました」

 はぁ、優秀過ぎるほどでした。流石、キア様の血を引き継いていることはあると思いましたね。

「ならば問題あるまい。しかし私個人の意というよりも、王としての意であるな」

 その言葉を聞いてホッと胸を撫で下ろします。もし、父親としてのレインの意を優先させたとか言うのであれば、ここで破り捨てるところでした。

 厄災もこれから起こる中で、色々対処しなければならないとか、面倒でしかありませんからね。

「ベルグランダ地方に発生した奇病は、まさにミレーネが言っておったものと酷似しておった。ならば、その先に起こるという厄災にも対処が必要である」

 そうですか。やはり、私が言っていた未来を国王陛下は信じておられなかった。そんなことは当たり前です。私には立証するすべを持ち合わせていなかったのですから。

「そうなると。中でも流通の要であるカリオディルが壊滅すれば、荷が滞ることになる。避けるためには、未来を予見できるミレーネが適任であろう」

 ん? 私は未来視ではなく、この国に起こる夢を繰り返し見たと説明を……未来視と言えますか。

「陛下。未来を予見など、ただの戯言だと言われなかった陛下のご慧眼が素晴らしいのです」
「む……うむ。そのとおりであるな」

 ええ、信じていなかったことは、わかっていますわよ。
 ただ私が陛下の意だと確認したかったのは、他にも理由があります。

 あの聖女召喚の物語で、国王に愛人が居たという話があった記憶がないのです。
 今のキア様なら聖女召喚の場に国王陛下の補佐官として居てもおかしくはありません。

 ただ物語に出てこなかったのか、キア様の存在が疎いと消されたのか、厄災で命を落としたのかはわかりませんが、私の立場を安定させるには、国王陛下の命だったということが大事なのです。

 愛人頼りで政務を行っている盆暗と、陰で言われているままではないということがです。

「その陛下の慧眼に報いるために、このお話は喜んで承りましょう」

 私は手に持ってきた婚姻届を、ズカズカと陛下の前まで行って、執務机の上にあったペンを拝借してサインを記入します。

 そしてそのまま陛下の前に差し出しました。

「うむ。ではミレーネ・リヴェルト。ネルエラルトという名と共に伯爵の地位を与えよう。これは今までのそなたの国への貢献を評価したものである」
「ありがたく拝命いたします」

 これで女伯爵を名乗れば、煩わしいハエ共を黙らせることができます。

「ただし、一代限りとする」
「承諾いたしました」

 これは予想済です。他の貴族たちを納得させる為に、一代限りと条件を出したのでしょう。
 大いに構いません。
 既に他国との繋がりも作っています。
 如何様にも出来ますわ。

「因みになのだが」
「何でしょうか?」
「ベルグランダの奇病に対する解決策は、悪竜の再封印しかないのか?」
「……根本的に解決するのであればです」
「魔物化する場所を調査して、封印の場所を探し出して来た者が、魔物化の奇病を振りまくことはないのか?」
「……陛下は無事だと言っておきます」
「いや、しかし、どれほどの影響があるのか」
「ああ。そうですわ。アルディーラ公爵の後妻にフェリヴァール侯爵令嬢を推薦しておきます」
「ミレーネ。の話を聞いているのか?」

 ……国王としてではない意見に答えを求められても、答えませんわよ。

 薄々は気づいています。
 恐らく厄災の影響を受けるのは、低魔力者であろうと。そうなると貴族の血が薄い男爵令嬢であるメリーエルンは、物語開始時には居ない理由になりますし、母親が戦争奴隷だったキア様も居ない理由になります。

「陛下。厄災に影響を受けない者などいないのです。少なからず、誰しもその影響をうけます。私の回答としては、封印された場所を探し出して再封印する。それが一番影響が少ないと思われます。陛下もおわかりのはず」
「むむ……そうであるな。わかっているのだが……」

 陛下はちらりと私の隣に視線を移動させます。
 なんですか? レインに何か言いたいことがあるなら、言って構いませんわよ。

「レインハルトが奇病に罹れば、そなたはどうする?」

 これは魔物化に罹った者の対象法が知りたいということですか?
 私は聖女ではありませんからね。

 それから物語内では、治療方法があったという記憶はありません。ただ聖女の浄化魔法に効果があったと。

「何もしませんわ。私はカリオディルの地を与えられたのであれば、優先させるべきことは、別にあるからです」

 まぁ、恐らくレインは奇病には罹りません。二代続けて王の血が入っていますからね。ただ、先程会った第三王女は微妙ですわ。魔力的にキア様よりという感じですからね。

「やはり、そなたはそのように答えるか。では、守るべき民をどう守る?」
「それは、これから考えることですわ。何故なら、ネルエラルト伯爵の名を与えられたのは、たった今なのですから」
「うむ……わかった。では、ネルエラルト伯爵。貴公はカリオディルに向かいその任に就くように」
「その命。このネルエラルト伯爵が賜りました」

 そして私はレインを連れてさっさと、執務室をあとにします。
 キア様が戻ってこられる前にです。

 あのシスコン親父。直ぐに何かとキア様に意見を求めて、見ているこっちがイライラしてくるのです。
 盆暗! 貴様の意見はないのか! と罵りたくなるのです。

 これが愛人ではなく、政務官としてキア様を側に置いているなら違ったのでしょうけど。

 誰が公私混同させた王に対処方を言うのですか!
 絶対に民ではなく、キア様を優先させることが目に浮かびます。

「流石ミレーネです」
「何がですか?」
「あの父上にはっきりと意見を言うなど……それもゴミを見るような蔑んだ目で言うのです。最後は父上も引かざるを得なかったですよね」

 ゴミですか。まぁ表現としては間違っていないでしょう。

「しかし一代限りと条件をつけられてしまったのは、私の立場の所為です」
「それはどうかしら?」
「え?」
「女伯爵という立場など、国王陛下の依怙贔屓えこひいきと捉えかねないと思わないかしら?」

 姪のわがままに付き合った王。王は女に甘いのではと、陰口をたたかれても仕方ないと思っています。

「そんな、ミレーネはこの三年間で成したことは、大いに評価されることです」
「目障りなアルディーラ公爵夫人。女のクセに出しゃばり過ぎのアルディーラ公爵夫人。己の立場を勘違いしたアルディーラ公爵夫人。これが貴族社会での評価ね」
「しかし、ご夫人方からは評価されているではないですか」

 もちろん、そのように動いてきましたから。
 ですが、女性が政治に口を出すなどおこがましいという風潮があるのは事実。
 だから、国王陛下はキア様を政務官としてではなく、愛人という立場で政治に関わらせたのでしょう。
 が!絶対にあの人なら、他の男どもを黙らせて、のし上がるぐらいしたと思います。
 シスコンならキア様を信用しろと。

「それは、これから先に効いてくるわね。女伯爵の地位を得たのなら、今までできなかったことにも手を出せますもの」

 私はこれからのことを色々構想を立てながら、馬車に乗り込みます。
 取り敢えず、軍部をやり込めますか。
 手を打たれる前に先手必勝です。

 ふふふっと笑いがこぼれ出ていると、何故か体ごと斜め横に向けられてしまいました。

 なんですか? レイン。
 横に腰を下ろしたレインの方に向けられたのですが、他に寄るところでもありましたか?
 それなら、言ってくれればよかったのに。

「未来のことを視ているミレーネ姫も素敵ですが、私のことも見てくださいね」

 ん? 執事として側にいて補佐をしてくれていましたのに、何を言っているのですか?

「心からお慕い申し上げます。ミレーネ姫。この命尽きるまで、あなたの側にいさせてくださいね」
「レイン。重いわ。こういうのは、これからもよろしくでいいと思うわ」

 命をかけるようなことを言われると、重すぎるわ。

「あなたにとって、私はただのその辺の雑草だということは、自覚しています」
「え?そんな酷い扱いをした覚えはないわよ」
「わかっています。あなたが守ろうとしているのは国そのものだということに。ですから、私など道端の雑草なのです」

 ……これはアレですか。私がさっき言った言葉のことですか。
 はぁ、そういう意味で言ったのではないのに。

「レイン。それは私が、あなたが奇病を患っても何もしないと言ったことへの意趣返しかしら?」
「意趣返しなど、そのようなことはありませんよ」

 ちっ! 胡散臭い綺麗な笑みを浮かべて言っている時点で、そうだと言っているようなものです。

「あれは、シスコ……国王陛下への回答よ。本当のことを言えば、あの王は民よりもキア様を優先させるでしょう。それでは駄目なのよ」

 やばい。やばい。心の声を思わず声に出して言いかけてしまいました。流石に国王陛下をシスコン親父と呼んでいることがばれるのは、避けないといけません。

「悪竜が吐き出す毒と魔素が原因なの。それを排除すればいいだけのこと。ただし、それは聖魔法が使える者がいる場合ね」

 浄化魔法。これが使えれば一番いいのですが、私には使えない魔法です。
 しかしこれをあのシスコン親父に言えば、聖魔法使いを独占しかねないからです。それに他の貴族に広まれば、同じことが起こりかねません。

「今、色々実験中。何のために私が外貨を稼いできたと思っているの。個人で動くためよ。今の私はレイン個人のために動くことはない。そういう意味……うっ」

 いきなり私を抱き寄せないでほしいわ。
 まだ、話の途中です。

「誰ともわからない者たちに嫉妬する私を許してください。あなたの側に立ち、手をとり、笑みを向けられるのは私ひとりでいいと思うことを許してください」

 ……重いわね。
 私にはレインが思うような価値などないのに。

「だったら、今までどおりでいいのではないの?視察に行く以外だいたい引きこもりだったもの。ということで、これからもよろしくでいいと思うわ」

 愛など恋など言われても、どこか冷めた目で見てしまうのはきっと前世で何かがあったからでしょうね。
 それは仕方がないと諦めてもらわないと……

「わかりました。これからミレーネ姫から、私がいないと駄目だと思っていただけるように頑張りますね」

 ……何か違う気がする。

「あ、そうですね。今から教会に寄って二人だけの結婚式を挙げましょう。やっぱり形式は大事ですよね」

 何か違う気がする。

「それからそのまま新婚旅行に行って二人だけの旅をするのもいいですね」
「ふふふ。レイン。まずは軍部と一戦まじえるから駄目よ」
「そのように、怒った顔も好きですよ。ミレーネ」



 こうして、私はアルディーラ公爵夫人からネルエラルト伯爵となり厄災に立ち向かうべく、準備を進めることになるのでした。

「これからずっと一緒にいる権利は、誰にも渡すつもりはありませんから、安心してくださいね」
「結婚すれば、それが普通でしょう?」
「たとえ、ミレーネが他の男を連れてきても排除するという意味です」

 ……部下としてスカウトした者にはしないでほしいわ。ん? 私が連れてきた……部下もってことはないわよね……。



___________
ここまで読んでいただきましてありがとうございます。

宣伝を
【見鬼の陰陽師は鬼の嫁である】
をキャラ文芸大賞に参加中なので、興味があればどうぞ。

見鬼の陰陽師と鬼との変わった関係のお話です。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/192304031/64012573
#アルファポリス






しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

【完結】有能外交官はドアマット夫人の笑顔を守りたい

堀 和三盆
恋愛
「まあ、ご覧になって。またいらしているわ」 「あの格好でよく恥ずかしげもなく人前に顔を出せたものねぇ。わたくしだったら耐えられないわ」 「ああはなりたくないわ」 「ええ、本当に」  クスクスクス……  クスクスクス……  外交官のデュナミス・グローは赴任先の獣人国で、毎回ボロボロのドレスを着て夜会に参加するやせ細った女性を見てしまう。彼女はパルフォア・アルテサーノ伯爵夫人。どうやら、獣人が暮らすその国では『運命の番』という存在が特別視されていて、結婚後に運命の番が現れてしまったことで、本人には何の落ち度もないのに結婚生活が破綻するケースが問題となっているらしい。法律で離婚が認められていないせいで、夫からどんなに酷い扱いを受けても耐え続けるしかないのだ。  伯爵夫人との穏やかな交流の中で、デュナミスは陰口を叩かれても微笑みを絶やさない彼女の凛とした姿に次第に心惹かれていく。  それというのも、実はデュナミス自身にも国を出るに至ったつらい過去があって……

神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました

青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。 それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

王妃はただ、殺されないことを願う

柴田はつみ
恋愛
一度目の人生で、愛する国王の剣によって結婚半年で殺されたお飾り王妃リリアナ。彼女は運命に抗うことなく、隣国から送られた「呪いの血を持つ王妃」として処断された。 しかし、リリアナは婚礼直後に時を戻して転生する。二度目の人生、彼女に残された時間は、運命の冬至の夜会までの半年間。 リリアナは、以前のような無垢な愛を国王アレスに捧げることをやめ、「殺されない」ため、そして「愛する人を裏切り者にしたくない」ために、冷徹な「お飾りの王妃」として振る舞い始める。

婚約者が選んだのは私から魔力を盗んだ妹でした

今川幸乃
恋愛
バートン伯爵家のミアの婚約者、パーシーはいつも「魔法が使える人がいい」とばかり言っていた。 実はミアは幼いころに水の精霊と親しくなり、魔法も得意だった。 妹のリリーが怪我した時に母親に「リリーが可哀想だから魔法ぐらい譲ってあげなさい」と言われ、精霊を譲っていたのだった。 リリーはとっくに怪我が治っているというのにずっと仮病を使っていて一向に精霊を返すつもりはない。 それでもミアはずっと我慢していたが、ある日パーシーとリリーが仲良くしているのを見かける。 パーシーによると「怪我しているのに頑張っていてすごい」ということらしく、リリーも満更ではなさそうだった。 そのためミアはついに彼女から精霊を取り戻すことを決意する。

【完結】美しい人。

❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」 「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」 「ねえ、返事は。」 「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」 彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め

処理中です...