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第二章 「深十島〇〇一作戦」
三章 ロリアエ(3)
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俺の母さんは俺と離れたくなくて話を伸ばす癖がある。要件を訊きたければ多少強引にする他ない。
「あー……と、母さん。もう一度訊くけれど、どうしてここにいるの?」
今も落ち着きがない母さんは、俺の質問にはぐらかす余裕なく答えた。
「それは──白雪ちゃんがいなくなってたから探しにきたのよ!」
「なんだって!?」
──白雪。正真正銘、俺の最大のパートナーである。
いついかなるときも離れることなく、一緒に風呂に入り、食べ、笑い、泣き、寝た(寝ただけ)俺の半身とも言うべき存在。
そんな白雪が家から居なくなるなど恐怖でしかない。
「……ずず」
鼻すすり涙を流すネメシスを見た。
……果たして、俺はネメシスのことを白雪よりも大切だと思うことができるのだろうか。
不安と恐怖、一体どちらが辛いのだろうか。
いや、間違いなく恐怖なのだが……彼女を慰められるのは誰だ?
フリアエか? 緋苗か? それとも先生か?
違うだろ。いくら俺が白雪と絆が深く、半身の存在であっても、ネメシスの弱点を剥き出しにする覚悟の前では比較対象にもならない。
俺の心は圧倒的にネメシスが大切だ。
「……白雪はゴッドシリーズよりも強いミーザだ。心配はもとより必要ないよ」
「え? 白雪ちゃん……シーちゃんなのよ? シー君とシーちゃん二人とも私の最愛の子として想っていたし……まるで双子のように仲良くしてきたじゃない。どうしてそんなこと言ってしまえるの……?」
「あ……いや……」
一度固めた筋の通る理屈が早くも倒壊し始める。母の言葉は否応なしに効くもの、子の道理など間違っていて当然なのだから。
俺は再びネメシスを見て決意を固めた。
「お、俺は今、大して白雪のことを考えられない。何故ならば、あいつは……優先順位が下だからだ!」
「シー君……。じゃあ、もし、シーちゃんがね、盗賊に拉致されて、まわされてたら……?」
「え、えっと……え?」
「こんな世の中だもの、そういうのくらい居るよ……?」
……。
…………。
………………は?
「白雪は俺の一番大切な家族だ! 冗談じゃないぜ……!」
母さんによって歪な決意が崩壊を起こし、俺は冷や汗をかきながら本当の気持ちをさらけ出す。
白雪のことを一番分かっていて、一番多く過ごして、一番互いを知り合った奴なんて一人しかいない!
誰が白雪のことを知り切っている? 俺だ!
誰が白雪のことを信頼し切っている? 俺だ!
誰にも分かりゃしない。他人に俺と白雪の仲がどのようになっているかなど、知られたくもない!
これは母さん父さん彼女の問題では断じてないのだ。白雪が俺に黙って居なくなるのなら、俺が無理矢理連れ戻すだけだ‼
「すぐ戻る」
俺はネメシスにそう告げ、ゆっくりと右手を──離せない。
だからまずは左腕を──離したくない。
俺は……ネメシスが……好きだから……。
「ああ! くそ! なんであいつ居なくなるかなぁ!」
俺はネメシスの右手をしっかり握り、早歩きで玄関へ向かった。
「し、しぃちゃん……?」
ネメシスの不安そうな声を聞いて一瞬止まるが、やはり白雪が大切過ぎて速く歩く。
母さんは相変わらず慌てるだけだ。
「わ、わたしのシー君が不良になってまった……!」
「あー……と、母さん。もう一度訊くけれど、どうしてここにいるの?」
今も落ち着きがない母さんは、俺の質問にはぐらかす余裕なく答えた。
「それは──白雪ちゃんがいなくなってたから探しにきたのよ!」
「なんだって!?」
──白雪。正真正銘、俺の最大のパートナーである。
いついかなるときも離れることなく、一緒に風呂に入り、食べ、笑い、泣き、寝た(寝ただけ)俺の半身とも言うべき存在。
そんな白雪が家から居なくなるなど恐怖でしかない。
「……ずず」
鼻すすり涙を流すネメシスを見た。
……果たして、俺はネメシスのことを白雪よりも大切だと思うことができるのだろうか。
不安と恐怖、一体どちらが辛いのだろうか。
いや、間違いなく恐怖なのだが……彼女を慰められるのは誰だ?
フリアエか? 緋苗か? それとも先生か?
違うだろ。いくら俺が白雪と絆が深く、半身の存在であっても、ネメシスの弱点を剥き出しにする覚悟の前では比較対象にもならない。
俺の心は圧倒的にネメシスが大切だ。
「……白雪はゴッドシリーズよりも強いミーザだ。心配はもとより必要ないよ」
「え? 白雪ちゃん……シーちゃんなのよ? シー君とシーちゃん二人とも私の最愛の子として想っていたし……まるで双子のように仲良くしてきたじゃない。どうしてそんなこと言ってしまえるの……?」
「あ……いや……」
一度固めた筋の通る理屈が早くも倒壊し始める。母の言葉は否応なしに効くもの、子の道理など間違っていて当然なのだから。
俺は再びネメシスを見て決意を固めた。
「お、俺は今、大して白雪のことを考えられない。何故ならば、あいつは……優先順位が下だからだ!」
「シー君……。じゃあ、もし、シーちゃんがね、盗賊に拉致されて、まわされてたら……?」
「え、えっと……え?」
「こんな世の中だもの、そういうのくらい居るよ……?」
……。
…………。
………………は?
「白雪は俺の一番大切な家族だ! 冗談じゃないぜ……!」
母さんによって歪な決意が崩壊を起こし、俺は冷や汗をかきながら本当の気持ちをさらけ出す。
白雪のことを一番分かっていて、一番多く過ごして、一番互いを知り合った奴なんて一人しかいない!
誰が白雪のことを知り切っている? 俺だ!
誰が白雪のことを信頼し切っている? 俺だ!
誰にも分かりゃしない。他人に俺と白雪の仲がどのようになっているかなど、知られたくもない!
これは母さん父さん彼女の問題では断じてないのだ。白雪が俺に黙って居なくなるのなら、俺が無理矢理連れ戻すだけだ‼
「すぐ戻る」
俺はネメシスにそう告げ、ゆっくりと右手を──離せない。
だからまずは左腕を──離したくない。
俺は……ネメシスが……好きだから……。
「ああ! くそ! なんであいつ居なくなるかなぁ!」
俺はネメシスの右手をしっかり握り、早歩きで玄関へ向かった。
「し、しぃちゃん……?」
ネメシスの不安そうな声を聞いて一瞬止まるが、やはり白雪が大切過ぎて速く歩く。
母さんは相変わらず慌てるだけだ。
「わ、わたしのシー君が不良になってまった……!」
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