神守の少女、二度目の人生は好きに生きます〜因縁相手は勝手に自滅〜

雪水砂糖

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1 目覚め

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「絶対に許さない」

 強烈な怒りの感情と共に、私は目を覚ました。

 最初に目に映ったのは、見慣れた自室の天井。

 従姉妹に騙され、愛する弟を目の前で殺された。私も瀕死の重傷だったはず。でも今は怪我一つしていない。

「光矢!!!」

 私は光矢のもとへ駆けつけようと、ほとんど無我夢中でベッドから降りようとした――が、そのまま盛大に転げ落ちた。

「瑞葉様! どうされましたか!?」

 部屋の扉が開き、侍女の佳乃が駆け込んできた。

「光矢は……私の弟は無事なの?」

「無事もなにも、光矢様はまだお部屋でお休みです。なにせ、起床時刻の一刻も前ですから」

 佳乃は苦笑しながら答える。

 ああ、よかった。

 安堵のあまり膝が崩れそうになるが、とりあえず落ち着こう。

「怖い夢でも見られましたか?」

 そう言いながら、佳乃は私を支える。

 まじまじと顔を見ると、その顔は記憶よりも数段若く、はつらつとしている。

「……佳乃。あなた、結婚のために退職したはずじゃ」

 彼女はたしか、三年前に結婚が決まり、慌ただしく嫁いでいった。しかし、誠実そうに見えていた結婚相手は実は女癖の悪い甲斐性なしで苦労していると。それを聞き、引き留めればよかったと後悔したものだ。

「えっ? 何のお話ですか? そのような予定はありませんよ。やはり、悪い夢を……?」

「そうね…夢を見たようね。もう少し寝るわ。」

「かしこまりました。では、失礼いたします。」

 佳乃は部屋から出ていった。

 本当に夢……?今でも殴られた痛みはしっかり覚えている。

 ふと壁の掛け暦を見ると
「浄暦五六〇年 霜月」。

 ――八年前だ。

 私が死んだのは、浄暦五六八年。

 まさかとは思ったが、たしか古い文献で読んだことがある。壮絶に強い感情を抱いて死んだ魂が、膨大な神気を媒介に、時間を遡る現象。

「時戻り」

 おとぎ話だと思っていた。

 けれど私は今、確かに八年前に戻っている。

 光矢から流れ込んできた大量の神気と私の神気が合わさり、神具で抑えられないほどに膨れ上がり結界を破り暴発した。それを媒介に時戻りが起こったとしか考えられない。

 幸運にもやり直せる機会が与えられた。
 
 今度こそ守ってみせる。弟と私自身の未来を。

 そして、あの忌まわしい女に、二度と立ち上がれないほどの絶望を味あわせてやる。

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