神守の少女、二度目の人生は好きに生きます〜因縁相手は勝手に自滅〜

雪水砂糖

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 今日は久しぶりに佳乃と一緒に神殿で活動する。最近は一人で来ることも多いのだ。二人で掃除を終え、孤児院で小さい子向けに絵本を読もうと、絵本を選んでもらっていたときだった。

「そういえば、今日は大きい子が少ないのね」

 問いかけると、子どもたちは絵本を選ぶ手を止めて答えた。

「あのね、おにいちゃんたちは、やくそうをとりにいったの」

「えっ、子どもたちだけで?」

「うん。おおきいおにいちゃん3人でいったの」

「先生は知ってるの?」

「ううん、せんせいはようじででかけてるんだ。ひらひらのおようふくきた、くるくるのおねえちゃんがね、ないしょでおねがいしてきたの。たくさんおこづかいをくれるんだって」

 佳乃と顔を見合わせる。
 ひらひらのくるくる……おそらく笠原綾乃だ。まさか孤児院の子どもたちまで巻き込んでいたとは。

「そういえば、おそいね。あさはやくからでていったのに」

 一人の子がそう言うと、皆が不安そうな顔になった。森の浅いところなら危険はないが、薬草を探すうちに奥へ入り、禍憑の生息域に足を踏み入れてしまうこともある。

「絵本はまた今度にするわね。お姉ちゃんたち、心配だから探してくるわ」

「うん、おにいちゃんたちをおねがい」

 心配そうに見送る子どもたちに手を振り、私と佳乃は足早に森へ向かった。

「瑞葉様、最近、緊急依頼で薬草採取が出ていました。緊急依頼は点数が高いので、笠原綾乃が受けたのでしょう」

「私もそう思うわ。子どもたちに採らせて自分の点数にするつもりね。わずかな報酬を渡して」

「急ぎましょう」

 神気を巡らせ、人の気配を探る。遠方に、人と禍憑の反応を感じた。

「禍憑と一緒にいるわ。急がないと」

 身体を神気で強化し、駆ける。ほどなくして、現場が見えた。
 一番体格の大きい大輔が、他の子を守るように採取用の小型のナイフを振るい、一匹の穢牙兎を必死に追い払っていた。神気を扱えない者にとっては、穢牙兎一匹といえど脅威だ。
 大輔の体にも怪我があり、庇われている二人はぐったりしている。傷口は黒く変色し、穢れに侵されているのがわかった。

 射程に入ると同時に、子どもたちを包み込む結界を展開する。
 大輔は私たちに気づくと、泣きそうな表情で安堵した。

 すぐに佳乃が攻撃し、禍憑は霧散した。

「もう大丈夫よ。よく頑張ったわね」

 そう声をかけると、大輔は唇を震わせながらも言った。

「お嬢! 翔太と健二が動かないんだ」

 二人はかなり穢れが回ってしまっている。急がなければ命に関わる。
 私は集中して穢れを浄化し、傷を癒やした。一命は取り留めたが、意識はまだ戻らない。

「大輔、二人はもう大丈夫よ」

「ありがとう……もうだめかと思った」

 彼はついに涙をこぼした。まだ十歳。必死に仲間を守っていたのだ。
 大輔の腕も治療すると、彼は「痛くなくなった」と驚きの声をあげた。

 その時――

「瑞葉様!! 岩毛熊(がもうぐま)の群れが接近中です。おそらく十頭ほどかと!」

「えっ!」

 岩毛熊は、一頭でも並の兵が複数で戦う。十頭となれば、佳乃一人では危うい。
 私は即座に判断した。

「佳乃、増援を呼んできて! 私は結界で子どもたちを守るわ」

 佳乃は一瞬迷いを見せたが、神気で身体を限界まで強化し、風のような速さで森を去った。

 私は結界の強度を最大に高めた。これは母の全力攻撃にも耐えた結界だ。絶対に破らせない。

「大輔、さっきの話を聞いていたわね? 岩毛熊がこちらに向かっている。佳乃が助けを呼びに行ったわ。この中にいれば絶対に安全だから、外に出ないで」

「わかった」

 大輔は動揺せず、真剣な目で答えた──この子は将来有望だ。希望するなら父の討伐隊で鍛えてもらうよう頼んでみよう。

 そう考えているうちに、森の奥から獣の荒い息遣いと地響きが近づいてくる。
 葉擦れの音をかき消すように、低い唸り声が耳に届いた。

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