神守の少女、二度目の人生は好きに生きます〜因縁相手は勝手に自滅〜

雪水砂糖

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30 光矢の秘密

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 光矢が一歩前に出る。
「……姉さま、僕のことも話すよ」

「うん。光矢が決めたことなら」

 光矢は告げる。
「僕は幼いころから、邪な心を持つ人には黒いもやが見えるのです。そして嘘をつくと、黒い息となって吐かれるのが見えます」

「そんな力が……!」

「ちなみに、沼安親子は真っ黒いモヤが常に出ており、口から出す言葉も真っ黒でした」

「私は光矢が三歳のときこの力に気づいたのですが、その時はこの力を利用されるのではないかと思って誰にも言わないようにと口止めしていました」

「……そうだったのね」お母様は悲しげに目を伏せた。

「禍憑が蔓延ったとき、姉さまに天璽家の周囲の様子を問われ、皇女殿下の侍女や周辺が黒く見えると答えました。そこで姉さまは誘拐事件を思い出したのです」

「なるほど……だが、天璽家からの呼び出しでは詳しく問われるだろう。すべて正直に話す必要はない。『皇女殿下の周囲に違和感を覚えたので後を追った』とだけ答えなさい」

「わかりました。今まで隠していて申し訳ありません」

「気にしなくていいのよ。むしろ私たちが至らなかったのだから。これからは、家族として信じ合い、支え合っていけるよう努力していきましょう」

「「はい!」」

「……そういえば、他に思い出したことがあります。佳乃のことです」

「佳乃が?どうしたの?」

「私が十三歳のころ、急に結婚が決まり退職しました。でも相手は働かず暴力を振るう最低な男だったと後から知りました。確か名字は今井だったと思います。私は佳乃の幸せを願って送り出しましたが、心の底から後悔したのです。そして、佳乃の後任として奥村チエという侍女が入りました。彼女は一見すると明るい性格で、誰とでも気さくに話していましたが、その口から出てくるのは人の悪口ばかり。妬みや嫉みを隠そうともしない性格で、傍にいるだけで不快で仕方ありませんでした。けれど私に対しては決して表立って悪く言うこともなく、与えられた仕事もきっちりこなすため、交代を願い出ることはできませんでした。神気の使えない部屋に案内したのも、彼女です。花蓮の息がかかっていたのかもしれません」

「……わかった。今井という者については、こちらで調べておこう。佳乃の縁談が持ち上がることがあれば、必ず事前に我らの手で調査する。そして奥村チエという者についても、決して我が家に関わらせぬよう手を打つ」

「佳乃の実家にも手が回っていた可能性があるわ」

「遠縁だが分家筋だ。何かあればすぐ知らせるよう強く言っておこう」

「ありがとうございます。佳乃の幸せが一番ですが……可能なら長く一緒にいたいです」

「任せておきなさい。……瑞葉も光矢も、これからは何かあったら遠慮なく頼るのだぞ」

「はい、お父様」

「さあ、もう遅い。ここから先は大人の話になる。二人は部屋で休みなさい」

 こうして私と光矢の告白は無事に受け入れられ、心に抱えていた重荷をようやく下ろすことができた。

 すでに夜も更け、六歳の光矢にはとうに眠る時間を過ぎている。早く部屋へと促そうとしたとき、光矢が真剣な顔で口を開いた。

「姉さま……父様と母様、それに叔父様に伝えられて、本当によかったね。まだ運命から確実に逃れられた保証はないから、大人の協力は絶対に必要だよ」

 私は小さくうなずいた。
「そうね。光矢が一緒に話してくれたから、心強かったわ」

 光矢は少しはにかみながらも続ける。
「僕、これからも姉さまを守るから。だから……一人で抱え込まないでね」

 その言葉に胸が温かくなり、私はそっと光矢の頭を撫でた。
「ありがとう、光矢。私もあなたを守るわ。だから、今夜はもう休みましょう」

「うん……おやすみ、姉さま」

 光矢は名残惜しそうにしながらも、ようやく部屋へと向かっていった。

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