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56 叔父様の家にて1
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結界による討伐は、すでに実戦で十分に通用することが証明された。あとは実際の討伐活動を重ね、理解を深めていくことになった。
アオくんや祥太朗さんと共に行くこともあれば、光矢や叔父様と組むこともある。そして佳乃は常に傍らにいて、ときには二人きりで向かうこともあった。
叔父様と初めて一緒に討伐に出かけたとき、彼は結界をじっと観察しながら、矢継ぎ早に質問を投げかけてきた。さすが研究者だと感心しつつ、一つひとつ答えながら結界で禍憑を囲み討伐していくと――あれ以来、起きていなかった現象が再び現れた。黒いモヤがすべて抜け切ったあと、禍憑は消滅せず、ただの兎へと戻ったのだ。
叔父様はすぐに丁寧に処理を施し、持参していた保冷袋に収めた。早く調べたいとのことで、その日の討伐はそれで解散となった。
数日後、叔父様の家に招かれ、光矢と共に伺うことになった。
私は初めて訪れる叔父様の家に胸を弾ませていた。回帰前では縁のなかった場所であり、交流すらなかったのだから。
叔父様は上機嫌で出迎えてくれた。
光矢はまるで「第二の我が家」と言わんばかりに先へ進み、叔父様を追い越して部屋に入り、「そのソファに適当に座って」と言いながら、手際よくみんなの紅茶を淹れ始める。同行していた佳乃が慌てて手伝いに回った。
この二人は、いつもここでこんなふうにしているのだろう。叔父様もにこにこと微笑みながら席についた。
「あっ、佳乃さん。その戸棚の中に、この前いただいた美味しそうな茶菓子があるんだ。出してくれるかな」
「あ、はい」
「右から二番目の戸棚だよ。そう、その緑の箱」
「これですね。お皿に出しますね」
二人が楽しそうに準備をしている様子を眺めていると、叔父様が声をひそめて尋ねてきた。
「瑞葉ちゃん、“時戻し”のことは佳乃さんに話したのかな?」
「はい。もう話しました。二人で討伐に出たときに」
そう。私はついに佳乃に時戻りのことを打ち明けた。
彼女は私が変わったことをうすうす察していたようだ。信じてもらえないのではと恐れて黙っていたのではない。ずっと話したかったのだが、彼女は、私が命を落としたことを知ればきっと深く悲しむと思い、言い出せずにいたのだ。だが、何度も討伐を共にするうち、思わず話してしまった。案の定、佳乃は号泣した。普段は感情をあまり表に出さない彼女が、泣いたり怒ったりと忙しかった。
その流れで、彼女の結婚に関する未来のことも話した。お父様とお母様にはすでに伝えており、必要な手は打ってくれると思うが、何か兆しがあればすぐ知らせてほしい、と。今から五年後に起こる出来事なので、まだ何の気配もないはずだが、備えておくに越したことはない。
「そうか。話せたんだね」
叔父様は穏やかな笑みを浮かべて言った。
「うーん、佳乃さん、そのお皿じゃなくて、こっちにしよう」
光矢が別の棚から新しい皿を取り出す。
「ははは。光矢君はもう、うちの物の所在を全部把握しているね。本当にありがたいよ。瑞葉ちゃん、僕はね、光矢君がいないと研究ができないんだ」
「ふふっ、叔父様ったら。じゃあ光矢は優秀な助手なのですね」
「ああ、とんでもなく優秀だよ」
「この部屋は通いの使用人には入らせないから、掃除も自分でやらざるを得なくてね」
「でも叔父さん、僕が来る前からわりときれいでしたよ」
皿に盛りつけた茶菓子を手に、光矢が笑いながら戻ってきた。
「いやいや、光矢君が来てからすっかり甘えてしまって、もう前の生活には戻れないんだよ。それが人間というものさ」
「はいはい。お役に立てて何よりです。それで、この前の兎、何かわかったんですか?」
「おお、そうだ。実は重要なことがわかったんだ」
アオくんや祥太朗さんと共に行くこともあれば、光矢や叔父様と組むこともある。そして佳乃は常に傍らにいて、ときには二人きりで向かうこともあった。
叔父様と初めて一緒に討伐に出かけたとき、彼は結界をじっと観察しながら、矢継ぎ早に質問を投げかけてきた。さすが研究者だと感心しつつ、一つひとつ答えながら結界で禍憑を囲み討伐していくと――あれ以来、起きていなかった現象が再び現れた。黒いモヤがすべて抜け切ったあと、禍憑は消滅せず、ただの兎へと戻ったのだ。
叔父様はすぐに丁寧に処理を施し、持参していた保冷袋に収めた。早く調べたいとのことで、その日の討伐はそれで解散となった。
数日後、叔父様の家に招かれ、光矢と共に伺うことになった。
私は初めて訪れる叔父様の家に胸を弾ませていた。回帰前では縁のなかった場所であり、交流すらなかったのだから。
叔父様は上機嫌で出迎えてくれた。
光矢はまるで「第二の我が家」と言わんばかりに先へ進み、叔父様を追い越して部屋に入り、「そのソファに適当に座って」と言いながら、手際よくみんなの紅茶を淹れ始める。同行していた佳乃が慌てて手伝いに回った。
この二人は、いつもここでこんなふうにしているのだろう。叔父様もにこにこと微笑みながら席についた。
「あっ、佳乃さん。その戸棚の中に、この前いただいた美味しそうな茶菓子があるんだ。出してくれるかな」
「あ、はい」
「右から二番目の戸棚だよ。そう、その緑の箱」
「これですね。お皿に出しますね」
二人が楽しそうに準備をしている様子を眺めていると、叔父様が声をひそめて尋ねてきた。
「瑞葉ちゃん、“時戻し”のことは佳乃さんに話したのかな?」
「はい。もう話しました。二人で討伐に出たときに」
そう。私はついに佳乃に時戻りのことを打ち明けた。
彼女は私が変わったことをうすうす察していたようだ。信じてもらえないのではと恐れて黙っていたのではない。ずっと話したかったのだが、彼女は、私が命を落としたことを知ればきっと深く悲しむと思い、言い出せずにいたのだ。だが、何度も討伐を共にするうち、思わず話してしまった。案の定、佳乃は号泣した。普段は感情をあまり表に出さない彼女が、泣いたり怒ったりと忙しかった。
その流れで、彼女の結婚に関する未来のことも話した。お父様とお母様にはすでに伝えており、必要な手は打ってくれると思うが、何か兆しがあればすぐ知らせてほしい、と。今から五年後に起こる出来事なので、まだ何の気配もないはずだが、備えておくに越したことはない。
「そうか。話せたんだね」
叔父様は穏やかな笑みを浮かべて言った。
「うーん、佳乃さん、そのお皿じゃなくて、こっちにしよう」
光矢が別の棚から新しい皿を取り出す。
「ははは。光矢君はもう、うちの物の所在を全部把握しているね。本当にありがたいよ。瑞葉ちゃん、僕はね、光矢君がいないと研究ができないんだ」
「ふふっ、叔父様ったら。じゃあ光矢は優秀な助手なのですね」
「ああ、とんでもなく優秀だよ」
「この部屋は通いの使用人には入らせないから、掃除も自分でやらざるを得なくてね」
「でも叔父さん、僕が来る前からわりときれいでしたよ」
皿に盛りつけた茶菓子を手に、光矢が笑いながら戻ってきた。
「いやいや、光矢君が来てからすっかり甘えてしまって、もう前の生活には戻れないんだよ。それが人間というものさ」
「はいはい。お役に立てて何よりです。それで、この前の兎、何かわかったんですか?」
「おお、そうだ。実は重要なことがわかったんだ」
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