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人生の攻略本
第16話
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莉杏と別れて、僕は自室に1人残された。
さて、莉杏と話したおかげで目的が定まった。目的は自殺を防ぐこと。誰がいつ自殺をするのかも分からないが、とにかく防がなければならない。
攻略本を読みこんでも、誰が自殺してしまうのかは記述されていなかった。いらないネタバレ配慮のせいで、肝心なところは掲載されていないのだった。
さて……自殺を止めるとは言ったものの……
「……何をすればいいのか……」
先生に相談……しても無意味だよな。夢で見たなんて言っても信用してくれるわけもない。何も言わずに信用してくれた莉杏がおかしいだけだ。
莉杏以外に相談できる相手なんていない。母親よりも信用している莉杏だからこそ、今回の相談相手に選んだのだ。
……だから……やはりこれ以上協力者は増やせないよな。攻略本の存在を明かせば協力者は集められるかもしれないけれど、攻略本はできれば隠し通したい。
とにかく……
「とりあえず……全員と仲良くなるか」
思いつく自殺の防止方法は、これだけだった。
誰かが自殺してしまう理由はわからない。それを探るためには、やはり本人たちと仲良くなるほかあるまい。
どれくらいまで仲良くなればいいのか……わからないけれど、1つの目安を攻略本が示してくれている。
「好感度80……」
その数値を超えると、告白可能になるらしい。つまり、告白イベントが起きるほどの親密度ということだ。
告白できるほど仲良くなれば、なんとかなるのではないだろうか。告白できるくらいなら、悩み事を相談してくれるのではないだろうか。
……いや、待てよ……どのルートを選んでも『あのキャラクター』とやらは自殺してしまうんだよな……じゃあ好感度を上げても無意味か?
しかし……現状、他の解決策は見つからない。思いつかない。僕の貧弱な発想力では、他の方法はわからない。
だが、思いつかなければならないのだ。考え抜いて、なんとかしなければならないのだ。
「……待てよ……」
しばらく悩んだ結果、1つの結論に行き着いた。
「……全員と仲良くなるルートは……さすがに想定されてないんじゃないか?」
攻略本には『誰のルートを選んでも、自殺は回避できない』ということが書いてある。雪海雪を攻略しても、月影月ルートを進んでも、風音風と仲良くなっても、花咲花と恋人になっても『あのキャラクター』とやらは助からないという。
ならば……全員を攻略した場合はどうなる? 全員と同時に仲良くなった場合は、どうだ? 全員の好感度を80以上にした場合は、どうなる?
最低の発想であることは自覚している。要約すると、
「4股かけることになる」
浮気というレベルじゃない。
……いや……違う……だってまだ僕は誰とも付き合っていないのだ。キレイな女性と親密になるだけなら、二股扱いにはならないはずだ。
そう……交友関係が広いというだけの話だ。世の人気者は多くの異性と友達になっている。しかしそれらは浮気ということにはならない。あくまでも仲が良い友人である。
そうそう……友達を増やすだけ……友達を増やすだけ……別に恋愛感情があるわけじゃない。人命救助のためなのだ。
人命救助……そうだ。僕は人助けをしている。
仕方がない。やむを得ない。本意ではない。あくまでも人命救助のためなのだ。
人命救助のために、ハーレムを作ることになってしまう。美少女たちに囲まれることになってしまう。しかしそれも仕方がないことなのだ……
「……待て、僕よ……」
僕は気持ち悪い独り言を乱用していた。もはや歯止めはきかなかった。
「素直になれ僕……」
たしかに人命救助はしたい。それは紛れもない事実。僕の学校の人が死んでしまうなんて、避けられるなら避けたほうが良い。
そのための方法がハーレム……じゃなくて、ヒロイン全員と仲良くなることであるならば、それを実行しよう。
だが……それだけか? 僕の願いはそれだけか? 本当に人命救助のためだけにヒロインたちと仲良くなろうとしているのか?
違う……違うはずだ……僕は、
「ハーレムが作りたい」
そう思って悪いか。美少女たちに囲まれたいと思って、何が悪い。その結果、自殺も防げるのなら一石二鳥じゃないか。
「よし……」
今度こそ覚悟は決めた。
ハーレムを作る。そして、自殺も防ぐ。その両取りだ。
僕ならできる。この攻略本を手に入れた今なら、できる。この世界がギャルゲーの世界なのだとしたら、僕は無敵だ。
さて、莉杏と話したおかげで目的が定まった。目的は自殺を防ぐこと。誰がいつ自殺をするのかも分からないが、とにかく防がなければならない。
攻略本を読みこんでも、誰が自殺してしまうのかは記述されていなかった。いらないネタバレ配慮のせいで、肝心なところは掲載されていないのだった。
さて……自殺を止めるとは言ったものの……
「……何をすればいいのか……」
先生に相談……しても無意味だよな。夢で見たなんて言っても信用してくれるわけもない。何も言わずに信用してくれた莉杏がおかしいだけだ。
莉杏以外に相談できる相手なんていない。母親よりも信用している莉杏だからこそ、今回の相談相手に選んだのだ。
……だから……やはりこれ以上協力者は増やせないよな。攻略本の存在を明かせば協力者は集められるかもしれないけれど、攻略本はできれば隠し通したい。
とにかく……
「とりあえず……全員と仲良くなるか」
思いつく自殺の防止方法は、これだけだった。
誰かが自殺してしまう理由はわからない。それを探るためには、やはり本人たちと仲良くなるほかあるまい。
どれくらいまで仲良くなればいいのか……わからないけれど、1つの目安を攻略本が示してくれている。
「好感度80……」
その数値を超えると、告白可能になるらしい。つまり、告白イベントが起きるほどの親密度ということだ。
告白できるほど仲良くなれば、なんとかなるのではないだろうか。告白できるくらいなら、悩み事を相談してくれるのではないだろうか。
……いや、待てよ……どのルートを選んでも『あのキャラクター』とやらは自殺してしまうんだよな……じゃあ好感度を上げても無意味か?
しかし……現状、他の解決策は見つからない。思いつかない。僕の貧弱な発想力では、他の方法はわからない。
だが、思いつかなければならないのだ。考え抜いて、なんとかしなければならないのだ。
「……待てよ……」
しばらく悩んだ結果、1つの結論に行き着いた。
「……全員と仲良くなるルートは……さすがに想定されてないんじゃないか?」
攻略本には『誰のルートを選んでも、自殺は回避できない』ということが書いてある。雪海雪を攻略しても、月影月ルートを進んでも、風音風と仲良くなっても、花咲花と恋人になっても『あのキャラクター』とやらは助からないという。
ならば……全員を攻略した場合はどうなる? 全員と同時に仲良くなった場合は、どうだ? 全員の好感度を80以上にした場合は、どうなる?
最低の発想であることは自覚している。要約すると、
「4股かけることになる」
浮気というレベルじゃない。
……いや……違う……だってまだ僕は誰とも付き合っていないのだ。キレイな女性と親密になるだけなら、二股扱いにはならないはずだ。
そう……交友関係が広いというだけの話だ。世の人気者は多くの異性と友達になっている。しかしそれらは浮気ということにはならない。あくまでも仲が良い友人である。
そうそう……友達を増やすだけ……友達を増やすだけ……別に恋愛感情があるわけじゃない。人命救助のためなのだ。
人命救助……そうだ。僕は人助けをしている。
仕方がない。やむを得ない。本意ではない。あくまでも人命救助のためなのだ。
人命救助のために、ハーレムを作ることになってしまう。美少女たちに囲まれることになってしまう。しかしそれも仕方がないことなのだ……
「……待て、僕よ……」
僕は気持ち悪い独り言を乱用していた。もはや歯止めはきかなかった。
「素直になれ僕……」
たしかに人命救助はしたい。それは紛れもない事実。僕の学校の人が死んでしまうなんて、避けられるなら避けたほうが良い。
そのための方法がハーレム……じゃなくて、ヒロイン全員と仲良くなることであるならば、それを実行しよう。
だが……それだけか? 僕の願いはそれだけか? 本当に人命救助のためだけにヒロインたちと仲良くなろうとしているのか?
違う……違うはずだ……僕は、
「ハーレムが作りたい」
そう思って悪いか。美少女たちに囲まれたいと思って、何が悪い。その結果、自殺も防げるのなら一石二鳥じゃないか。
「よし……」
今度こそ覚悟は決めた。
ハーレムを作る。そして、自殺も防ぐ。その両取りだ。
僕ならできる。この攻略本を手に入れた今なら、できる。この世界がギャルゲーの世界なのだとしたら、僕は無敵だ。
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