人生の攻略本を拾いました~彼女の行動がギャルゲー感覚で予測できるので、簡単にハーレム……とおもいきや誰かが死んでしまうらしい~

星上みかん(嬉野K)

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心の闇

第132話

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 その後、僕たちは一緒に家に帰った。僕と莉杏りあんは久しぶりに同じ部屋で寝た。僕たちが子供の頃以来のことだった。

 2人とも今日は疲れ果てているだろう。僕はずっと監禁されていて、莉杏りあんはそれを助けに県外まで来てくれた。疲れていないわけがない。

 しかし……眠れなかった。神経が高ぶって眠れなかった。眠ったら最後、莉杏りあんに2度と会えないかもしれないと思ってしまっていた。

 布団に入って、電気は消されている。監禁場所じゃなくて、いつもの僕の自室。

 その部屋の中で、莉杏りあんが言う。莉杏りあんも僕と並んで布団に入っているので、表情は全く見えない。

「……ごめんね……」
「? 何を謝られたのかわからない」
「……私が自殺未遂なんてしなければ、攻略本の存在がバレることはなかったのに」

 そうかもしれない。自殺イベントが起こらなければ、ゆきさん以外が攻略本の存在を知ることはなかった。

 だけれど……それは結果論である。どうせ莉杏りあんの自殺イベントはネタバレ回避されているだろうから、そこで攻略本の存在が明らかになるのかなんてわからないはずである。

 しかも……

「僕の自業自得だよ」完全にそう思う。「僕が攻略本に頼り切ってたから、苦しむことになっただけ。莉杏りあんのせいじゃない」
「……」僕の言葉に返事をせずに、「……月がキレイだねぇ……」

 月は影に隠れて見えていない。

「……それはどういう意味?」

 現状では3つの意味があるように思える。1つはI love you。もう1つは純粋に月がキレイだと言っている。最後の1つは、月影つきかげつきさんがキレイだと言っている。

「キミの解釈に任せるよ」
「そっか……」だったら……「手が届かないから、キレイなんだと思うよ」
「……なら、ずっと月はキレイなままだね」
「……うん」

 そう思う。月は……莉杏りあんは手が届かない位置にいるから美しいのだ。僕程度の器には収まりきらない女性なのだ。だからこそ美しい。誰からも束縛されない位置にいるからキレイなのだ。彼女を縛ることができるのは、運命だけだ。

 その運命に縛られた姿も美しいけれど。

 僕にとって月がキレイじゃなかったことなんてない。だけれど、だからこそ……僕の手には届かない。それでいい。莉杏りあんからすれば腹立たしいかもしれないけれど……そうするしかないのだ。

 月には手が届かない。それが自然の摂理なのだ。それはなんでもできそうに見える莉杏りあんですら例外ではない。

 莉杏りあんと僕は結ばれることはない。それは、もう確定している。運命によって決められている。

 それが僕と莉杏りあんの関係。幼馴染でしかない。ただの仲の良い友人でしかない。それ以上には、絶対になれない。

 それでいい。それしか、ない。
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