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第五章 2年目前半
第210話 明けました
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いよいよ年が明けて、学園に入って2年目の生活が始まる。ただ、年明けの行事があるので、年明けの3日間ほどは学園はお休みだった。みんな忙しくて学園どころではないのだ。
そんな休みの日に、食事中にモモが私に声を掛けてくる。
「お姉様」
「何かしら、モモ」
なので、私は普通にモモの声に反応しておく。
「お姉様は、誕生日に何か欲しいものはございますでしょうか」
ああ、10日目に迎える私の誕生日の事か。向こうで1月10日だったものね、私の誕生日。
……そういえば、私は10日だったからよかったけど、これ、29~31日が誕生日だった人って、いつが誕生日になるのかしらね。こっちの世界って、1か月が28日しかないんだもの。
モモの問い掛けに私が悩んでいると、食事を一緒にしていたエスカが反応してくる。
「あら、アンマリアって誕生日が近いのですのね」
「ええ、私の誕生日は年明けの10日ですので、もう来週の話なんですよ」
家族の前なので普通に答えておく私。すると、エスカは「ほおん」と妙な相槌を打っていた。……なんだか悪寒がするわ。変な事を企まなきゃいいんだけど、相手がエスカだけに怖いわね。
私が警戒していると、
「アンマリア、別に何も企んでませんからね? お友だちの誕生日に変な事をするのは嫌われますもの」
エスカは焦ったような顔をしてそんな事を言っていた。うーん、これは信用ならないわね。私はエスカを訝しんで見ていた。
「まあまあ、誕生日を祝ってくれるならいいじゃないか、マリー」
「ええ、そうですよ。隣国の王女様とはいえ、王家の方から祝って頂けるなんて、あまりない経験ですからね」
両親はそんな事を言って私を諫めてきた。いや、私だって普通の王家の人間からのお祝いなら、素直に跪くくらい喜ぶんだけど、相手がエスカだものねぇ……。これまでの実績というのがものを言うのよ。
「私、今までお姉様にいろいろよくして頂いたからには、今年こそしっかりとした贈り物がしたいのです」
なんともまあ、モモの気合いが入っている。そのモモの姿を見たエスカが、地味に嫌な笑みを浮かべている。
「なんて健気な妹さんなのかしら。モモ、私も手伝いますからアンマリアが喜ぶようなプレゼントを贈りましょうね」
「はい、エスカ王女殿下」
エスカが声を掛けると、ものすごく元気に返事をするモモ。エスカに変な影響を受けなければいいんだけれど……。ものすごく心配になっちゃうわね。
心配にはなるけれど、自分のための誕生日プレゼントを用意してくれるというのなら、これは介入しない方がいいわね。そう思った私は、仕方なく二人を一緒にさせてみる事にしたのだった。
そんな三が日を過ごした私たち。
新年明けて4日目を迎え、ついに2年生がスタートしたのである。
「ふふっ、どうかしら、アンマリア」
そう言って制服を見せつけてくるエスカ。なんだろうか、このゆるふわなサーモンピンクの髪が制服と異様にマッチしている。何だろう、この敗北感は。
「さすがですわね、エスカ王女殿下。我が国の学園の制服も見事に着こなしてみせるとは、羨ましい限りですわね」
ついつい負け惜しみを言ってしまう私である。エスカの方もそれが分かっているのか、ものすごくににやけた顔をしている。王女じゃなかったら殴ってた。
「お待たせしました、お姉様、エスカ王女殿下」
少し遅れてモモも現れる。相変わらず天使のような姿で羨ましいわ。
「これで三人揃いましたわね。それでは学園に向かいましょうか」
「いってらっしゃい。エスカ王女殿下、アンマリア、モモ」
父親は外交の件で既に城に行ってしまっていたがために、母親と使用人たちに見送られながら、私たちは学園へと向かっていった。
学園に到着すると、今年は去年よりも人であふれていた。
これには実は理由がある。
何と言っても今年は王族が四人も入学するのだ。
サーロイン王国第二王子リブロ・サーロイン。
ミール王国王女エスカ・ミール。
ベジタリウス王国王子レッタス・ベジタリウス。
ベジタリウス王国王女ミズーナ・ベジタリウス。
その彼らと一緒の時を過ごしたとあれば経歴に箔がつく。そう考えた貴族や商人がこぞって学園へと子女を送り込んだのだ。中には養子を取ってまで送り込んできた猛者も居るらしい。なんて人気なのよ。
ちなみに今年の入学式は、在校生歓迎の挨拶がフィレン王子で、新入生代表の挨拶がリブロ王子だったらしいわ。2年生になった私たちは参加できなかったから見れなかった。なんて事のなのよ! これは帰ってからエスカに確認しなきゃいけないわね。
……って、ミズーナ王女は拡張版のヒロインだったわね。という事は、これが最初のゲームスチルってわけ? きー、悔しいわ!
その晩、私が自室で荒れたのは言うまでもない話だった。
何にしても、これで無事にゲームの2年目がスタートしたわけで、とにかく私は痩せる事を目標に頑張るわよ。もちろん、王妃教育もちゃんと受けるし、交流授業はミスミ教官のを継続して取るわ。
あとは、ドーピングイベントよね。あればかりはどうにかしないと。ミズーナ王女にも一応気を付けるように言っておかなきゃね。120kgだから、私が満たしていなくても、ミズーナ王女の手に渡る危険性だってあるものね。
初日を終えた私は、考え事を一通り終えると、ぐっすりと眠りに就いたのだった。
そんな休みの日に、食事中にモモが私に声を掛けてくる。
「お姉様」
「何かしら、モモ」
なので、私は普通にモモの声に反応しておく。
「お姉様は、誕生日に何か欲しいものはございますでしょうか」
ああ、10日目に迎える私の誕生日の事か。向こうで1月10日だったものね、私の誕生日。
……そういえば、私は10日だったからよかったけど、これ、29~31日が誕生日だった人って、いつが誕生日になるのかしらね。こっちの世界って、1か月が28日しかないんだもの。
モモの問い掛けに私が悩んでいると、食事を一緒にしていたエスカが反応してくる。
「あら、アンマリアって誕生日が近いのですのね」
「ええ、私の誕生日は年明けの10日ですので、もう来週の話なんですよ」
家族の前なので普通に答えておく私。すると、エスカは「ほおん」と妙な相槌を打っていた。……なんだか悪寒がするわ。変な事を企まなきゃいいんだけど、相手がエスカだけに怖いわね。
私が警戒していると、
「アンマリア、別に何も企んでませんからね? お友だちの誕生日に変な事をするのは嫌われますもの」
エスカは焦ったような顔をしてそんな事を言っていた。うーん、これは信用ならないわね。私はエスカを訝しんで見ていた。
「まあまあ、誕生日を祝ってくれるならいいじゃないか、マリー」
「ええ、そうですよ。隣国の王女様とはいえ、王家の方から祝って頂けるなんて、あまりない経験ですからね」
両親はそんな事を言って私を諫めてきた。いや、私だって普通の王家の人間からのお祝いなら、素直に跪くくらい喜ぶんだけど、相手がエスカだものねぇ……。これまでの実績というのがものを言うのよ。
「私、今までお姉様にいろいろよくして頂いたからには、今年こそしっかりとした贈り物がしたいのです」
なんともまあ、モモの気合いが入っている。そのモモの姿を見たエスカが、地味に嫌な笑みを浮かべている。
「なんて健気な妹さんなのかしら。モモ、私も手伝いますからアンマリアが喜ぶようなプレゼントを贈りましょうね」
「はい、エスカ王女殿下」
エスカが声を掛けると、ものすごく元気に返事をするモモ。エスカに変な影響を受けなければいいんだけれど……。ものすごく心配になっちゃうわね。
心配にはなるけれど、自分のための誕生日プレゼントを用意してくれるというのなら、これは介入しない方がいいわね。そう思った私は、仕方なく二人を一緒にさせてみる事にしたのだった。
そんな三が日を過ごした私たち。
新年明けて4日目を迎え、ついに2年生がスタートしたのである。
「ふふっ、どうかしら、アンマリア」
そう言って制服を見せつけてくるエスカ。なんだろうか、このゆるふわなサーモンピンクの髪が制服と異様にマッチしている。何だろう、この敗北感は。
「さすがですわね、エスカ王女殿下。我が国の学園の制服も見事に着こなしてみせるとは、羨ましい限りですわね」
ついつい負け惜しみを言ってしまう私である。エスカの方もそれが分かっているのか、ものすごくににやけた顔をしている。王女じゃなかったら殴ってた。
「お待たせしました、お姉様、エスカ王女殿下」
少し遅れてモモも現れる。相変わらず天使のような姿で羨ましいわ。
「これで三人揃いましたわね。それでは学園に向かいましょうか」
「いってらっしゃい。エスカ王女殿下、アンマリア、モモ」
父親は外交の件で既に城に行ってしまっていたがために、母親と使用人たちに見送られながら、私たちは学園へと向かっていった。
学園に到着すると、今年は去年よりも人であふれていた。
これには実は理由がある。
何と言っても今年は王族が四人も入学するのだ。
サーロイン王国第二王子リブロ・サーロイン。
ミール王国王女エスカ・ミール。
ベジタリウス王国王子レッタス・ベジタリウス。
ベジタリウス王国王女ミズーナ・ベジタリウス。
その彼らと一緒の時を過ごしたとあれば経歴に箔がつく。そう考えた貴族や商人がこぞって学園へと子女を送り込んだのだ。中には養子を取ってまで送り込んできた猛者も居るらしい。なんて人気なのよ。
ちなみに今年の入学式は、在校生歓迎の挨拶がフィレン王子で、新入生代表の挨拶がリブロ王子だったらしいわ。2年生になった私たちは参加できなかったから見れなかった。なんて事のなのよ! これは帰ってからエスカに確認しなきゃいけないわね。
……って、ミズーナ王女は拡張版のヒロインだったわね。という事は、これが最初のゲームスチルってわけ? きー、悔しいわ!
その晩、私が自室で荒れたのは言うまでもない話だった。
何にしても、これで無事にゲームの2年目がスタートしたわけで、とにかく私は痩せる事を目標に頑張るわよ。もちろん、王妃教育もちゃんと受けるし、交流授業はミスミ教官のを継続して取るわ。
あとは、ドーピングイベントよね。あればかりはどうにかしないと。ミズーナ王女にも一応気を付けるように言っておかなきゃね。120kgだから、私が満たしていなくても、ミズーナ王女の手に渡る危険性だってあるものね。
初日を終えた私は、考え事を一通り終えると、ぐっすりと眠りに就いたのだった。
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