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第五章 2年目前半
第270話 騒動から夜が明けて
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夜が明けて、私は目を覚ます。
さすがに魔力の使い過ぎで少々ふらつくものの、まぁ生活には問題はなさそうだった。
どうにかベッドから抜け出すと、私はラムたちの部屋へと向かう。ちなみに私以外の三人は爆睡中だ。
「ラム様、サクラ様、サキ様、起きてらっしゃいますか?」
ラムたちの眠る小屋に到着した私は、扉をコンコンと叩く。すると、サクラが迎えてくれた。
「これがアンマリア様。起きているのは私だけです。テールの様子ですよね?」
察しのいいサクラである。
私がこくりと頷くと、サクラは中へと案内してくれた。
小屋の中に並ぶベッドのひとつ、そこでテールは眠っている。顔色は悪いものの、呼吸は意外と安定している。
それもそうだろう。あの後一人だけ余裕のあったミズーナ王女が回復魔法を掛けておいたのだ。ミズーナ王女も私と同じでヒロインだから、結構チートな存在なのだ。
しかし、テールは目が覚めたら尋問を受ける事になるだろう。そのくらいに昨夜の事件は大事件だったのだ。
合宿中にそれなりに様子は見ていたのだけど、テールがこんな問題を引き起こすような子には見えなかった。おそらくは、何も知らされずに巻き込まれたのだろう。私はそう思った。
「テール様の事、心配ですか?」
「ええ、ずっと見てたけどあんな事をするようには思えなかったし、おそらくは知らず知らずのうちに巻き込まれていたんだと思うのよ。王都に戻ったら、おそらく尋問されるだろうから、どうにかできないかしらね」
サクラの質問に、私は素直に気持ちを全部吐き出していた。その私の様子に、サクラも同じような気持ちなのか理解を示していた。
とはいえ、テールは今は無理に動かすわけにはいかないので、このまま寝かせて様子を見る事になった。
結局この日は一日フリーとなった。本来ならば合宿最終日でいろいろやる予定だったのだが、昨夜の騒ぎで全部予定が吹っ飛んでしまったのである。
そんなわけで、朝食後、私たち主人公、攻略対象、ライバル令嬢、そして王子王女の面々がテールの前に勢ぞろいしていた。
「昨夜そんな事になっていたのか。なんか眩しかったりうるさかったりしたのはそのせいか」
こんな事を言うのはアーサリーである。あの状況の中で爆睡していたらしい。
「いやはや、まったく面目ないという他ないですね」
それにレッタス王子も続いていた。
「それを言うなら僕もですよ。王子でありながら恥ずかしい話です」
結局、フィレン王子以外は寝ていたのだった。それもそれですごいのだけど、王子としてどうなのかという疑問は確かに浮かぶ話だった。
でも、今はそういう話をしている場合じゃなかった。
「ここで漆黒のオーラが発生する事態になっていたみたいですけれど、問題はそれだけではありませんでしたよ」
「どういう事かな、エスカ王女」
フィレン王子がエスカの言葉に反応する。
「魔物をこちらへおびき寄せていたようでした。私とミズーナ王女で対処しておきましたが、かなりの数が居ましたね。全部収納魔法に放り込んでおきましたけど」
「な、なんだって?!」
エスカの証言に、全員が叫ぶ。耳が痛いわね。
「魔物が迫ってきていたのは事実ですよ。私も確認しましたから」
「アンマリア、本当なのか」
「ええ、私とエスカ王女とミズーナ王女の三人で確認致しました」
フィレン王子が確認をしてくるので、私は再度確認した事を伝えておいた。
とりあえず、昨夜起きた事を全部話すと、爆睡していた面々は非常に申し訳なさそうな顔をしていた。
しかし、寝ていた事を私は咎められずにいた。なにせ、その原因を作っていたのは私なんだから。合宿地全体と小屋ひとつひとつに防護壁を展開していたんだもの。人によっては効果が出過ぎてぐっすり眠れてしまうというものだったのだから、責められるわけもないというわけである。
「まぁ昨夜起きた事は大体分かった。あとは、このテール嬢が起きてからというわけだな」
「そうですね」
ひと通り確認した事で、私たちの話し合いは終わる事となった。
「テール様の事は私に任せておいて下さい。昨夜かなり無茶をしましたので、今日は安静にしておいた方がいいですから」
「そうだね。アンマリアは魔法の使い過ぎでふらついていたから、頼むとしよう」
「はい、お任せ下さい」
フィレン王子から了承を受けた事で、私はテールと一緒に居られる事になった。
「エスカ、ミズーナ王女」
私は解散して部屋を出ていく中から二人に声を掛ける。
「昨夜、テール様が浮いていた場所に何かしらの欠片が落ちていると思いますので、回収をお願いします」
「分かったわ」
「任せておいて下さい」
私がお願いをしておくと、二人とも快く了承してくれていた。意外と簡単に話が通じる転生者たちで助かるわ。
というわけで、私はみんなが小屋を出ていく様子をにこやかに笑いながら見送っていた。
「さて、みんなが居なくなったわけだし、ちょっと失礼しますよ」
小屋にテールと二人きりになった私は、テールに対して鑑定魔法を使う事にしたのだった。さて、どんな情報が取れるかしらね。
さすがに魔力の使い過ぎで少々ふらつくものの、まぁ生活には問題はなさそうだった。
どうにかベッドから抜け出すと、私はラムたちの部屋へと向かう。ちなみに私以外の三人は爆睡中だ。
「ラム様、サクラ様、サキ様、起きてらっしゃいますか?」
ラムたちの眠る小屋に到着した私は、扉をコンコンと叩く。すると、サクラが迎えてくれた。
「これがアンマリア様。起きているのは私だけです。テールの様子ですよね?」
察しのいいサクラである。
私がこくりと頷くと、サクラは中へと案内してくれた。
小屋の中に並ぶベッドのひとつ、そこでテールは眠っている。顔色は悪いものの、呼吸は意外と安定している。
それもそうだろう。あの後一人だけ余裕のあったミズーナ王女が回復魔法を掛けておいたのだ。ミズーナ王女も私と同じでヒロインだから、結構チートな存在なのだ。
しかし、テールは目が覚めたら尋問を受ける事になるだろう。そのくらいに昨夜の事件は大事件だったのだ。
合宿中にそれなりに様子は見ていたのだけど、テールがこんな問題を引き起こすような子には見えなかった。おそらくは、何も知らされずに巻き込まれたのだろう。私はそう思った。
「テール様の事、心配ですか?」
「ええ、ずっと見てたけどあんな事をするようには思えなかったし、おそらくは知らず知らずのうちに巻き込まれていたんだと思うのよ。王都に戻ったら、おそらく尋問されるだろうから、どうにかできないかしらね」
サクラの質問に、私は素直に気持ちを全部吐き出していた。その私の様子に、サクラも同じような気持ちなのか理解を示していた。
とはいえ、テールは今は無理に動かすわけにはいかないので、このまま寝かせて様子を見る事になった。
結局この日は一日フリーとなった。本来ならば合宿最終日でいろいろやる予定だったのだが、昨夜の騒ぎで全部予定が吹っ飛んでしまったのである。
そんなわけで、朝食後、私たち主人公、攻略対象、ライバル令嬢、そして王子王女の面々がテールの前に勢ぞろいしていた。
「昨夜そんな事になっていたのか。なんか眩しかったりうるさかったりしたのはそのせいか」
こんな事を言うのはアーサリーである。あの状況の中で爆睡していたらしい。
「いやはや、まったく面目ないという他ないですね」
それにレッタス王子も続いていた。
「それを言うなら僕もですよ。王子でありながら恥ずかしい話です」
結局、フィレン王子以外は寝ていたのだった。それもそれですごいのだけど、王子としてどうなのかという疑問は確かに浮かぶ話だった。
でも、今はそういう話をしている場合じゃなかった。
「ここで漆黒のオーラが発生する事態になっていたみたいですけれど、問題はそれだけではありませんでしたよ」
「どういう事かな、エスカ王女」
フィレン王子がエスカの言葉に反応する。
「魔物をこちらへおびき寄せていたようでした。私とミズーナ王女で対処しておきましたが、かなりの数が居ましたね。全部収納魔法に放り込んでおきましたけど」
「な、なんだって?!」
エスカの証言に、全員が叫ぶ。耳が痛いわね。
「魔物が迫ってきていたのは事実ですよ。私も確認しましたから」
「アンマリア、本当なのか」
「ええ、私とエスカ王女とミズーナ王女の三人で確認致しました」
フィレン王子が確認をしてくるので、私は再度確認した事を伝えておいた。
とりあえず、昨夜起きた事を全部話すと、爆睡していた面々は非常に申し訳なさそうな顔をしていた。
しかし、寝ていた事を私は咎められずにいた。なにせ、その原因を作っていたのは私なんだから。合宿地全体と小屋ひとつひとつに防護壁を展開していたんだもの。人によっては効果が出過ぎてぐっすり眠れてしまうというものだったのだから、責められるわけもないというわけである。
「まぁ昨夜起きた事は大体分かった。あとは、このテール嬢が起きてからというわけだな」
「そうですね」
ひと通り確認した事で、私たちの話し合いは終わる事となった。
「テール様の事は私に任せておいて下さい。昨夜かなり無茶をしましたので、今日は安静にしておいた方がいいですから」
「そうだね。アンマリアは魔法の使い過ぎでふらついていたから、頼むとしよう」
「はい、お任せ下さい」
フィレン王子から了承を受けた事で、私はテールと一緒に居られる事になった。
「エスカ、ミズーナ王女」
私は解散して部屋を出ていく中から二人に声を掛ける。
「昨夜、テール様が浮いていた場所に何かしらの欠片が落ちていると思いますので、回収をお願いします」
「分かったわ」
「任せておいて下さい」
私がお願いをしておくと、二人とも快く了承してくれていた。意外と簡単に話が通じる転生者たちで助かるわ。
というわけで、私はみんなが小屋を出ていく様子をにこやかに笑いながら見送っていた。
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