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第五章 2年目前半
第278話 粘るんじゃないわよ
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私とミズーナ王女が、砕けた呪具を挟み込むように立つ。
「鑑定魔法でいきますわよ」
「ええ、分かりました」
私たちは手を伸ばして呪具に向けて鑑定魔法を使う。
ところが、使った瞬間に呪具は砕けた状態ながらも、私たちの魔法に対しても抵抗を見せる。バチバチと音を立てながら、妨害魔法を展開する呪具。砕け散りながらも抵抗を見せるとは、これを作った奴は相当に性悪な奴だわね。
私たちが魔法を使っている間、周りの魔法使いたちはおろおろとしながらその様子を見守っている。
だけど、こっちだってゲームのヒロインっていうチートな存在なのよ。呪具ごときにこれ以上負けてたまるもんですかっていうのよ。
目の前のミズーナ王女も同じ気持ちなのか、ものすごく真剣な表情をしている。
だけど、呪具はそんな事は知るかと言わんばかりに激しく抵抗を続けている。まったく、なによこの頑固者は!
鑑定魔法は意外と簡単なものだというのに、呪具の抵抗のせいでまったく結果を見る事ができない。まったく腹が立つものだわ。
私たちが連れてきたテールといつの間にかやって来ていたフィレン王子が見守る中、私たちと呪具との格闘はまだ続いている。本当に腹立つ呪具だわね。
「まったく、いい加減にしなさいよ、このすっとこどっこいが!」
思わず私は文句を叫んでいた。
その瞬間、魔力が強くほとばしる。
すると、さっきまで呪具の抵抗にバチバチとしていた魔力の競り合いが一気に小さくなっていく。私の怒りの爆発で、魔力の均衡が崩れたのだ。
(アンマリアの魔力がいきなり強くなったわね。これなら呪具を抑え込めるわ)
チャンスと見たミズーナ王女もここぞとばかりに魔力を強めていく。
転生者二人による強力な魔力に押し切られてしまった呪具。抵抗虚しく私たちの魔力に完全に包み込まれてしまった。
「まったく、手こずらせてくれたわね……」
私もミズーナ王女も肩で息をしている。そのくらいに魔力を消耗してしまったのだ。本当にこの呪具には苦戦させられたものだわね。
「えっと……、肝心の鑑定結果はどうなのかしら……ね」
呼吸がまだ落ち着かない状態ではあるものの、私たちは鑑定結果へと目を向ける。
「ふむ、ずいぶんと厄介な代物のようだね」
私たちが顔を上げて鑑定結果を見ると同時に、男性の声が聞こえてきた。
「ふぃ、フィレン殿下?!」
思わず叫んで後退ってしまう私である。
その私に構う事なく、フィレン王子は空中に表示されている鑑定結果をじっと眺めている。
「すまないが、ちょっと解説を頼みたい」
真剣に眺めながら、フィレン王子は魔法使いたちを呼んでいる。どうにも表示されている内容が理解できないようなのだ。だから、専門家である魔法使いたちに声を掛けているわけなのである。
呼ばれた魔法使いたちが鑑定結果を覗き込む。すると、魔法使いたちはものすごく青ざめた表情をしていた。書いてある内容がすぐに理解できるとは、さすがは専門家といったところね。
「どうした、分かったなら解説をして欲しいのだが?」
フィレン王子が魔法使いたちに声を掛ける。だが、魔法使いたちは震え上がってしまっていて、どうにも話ができる状態ではなかった。
「……この呪具、持ち主から魔力を吸収して発動させるタイプのものみたいですからね。おおよその見当はついていましたよ」
私も鑑定結果を覗き込みながら呟くように説明を始める。
「アンマリア、どういう事が書いてあったんだい?」
フィレン王子が私に内容を確認してくる。しかし、その時の私の表情に気が付いて、思わず息を飲んでしまう。
「フィレン殿下、できれば国王陛下もこの場にお呼び頂けますでしょうか。さすがに、私たちだけで情報を共有するには、事が重大すぎます」
「分かった。父上と宰相、それとアンマリアの父親も呼んでくる」
私のお願いに、フィレン王子は大慌てで部屋を出ていった。
どれほど待っただろうか。フィレン王子は国王たちを連れて部屋へと戻ってきたのだった。
「どうした。この私まで呼ぶとは、一体何事なんだ?」
国王たちは息を切らしている。フィレン王子の訴えを聞いて、仕事の手を止めてやって来たのだろう。
「父上、これをご覧下さい」
「むぅ、それは?」
「私たちの合宿での事件に用いられた呪具の鑑定結果です。私には読み切れませんでしたが、アンマリアたちの顔色が優れないようですので、おそらくはとんでもない事が書かれているのだと思われます」
フィレン王子は呪具の真上で光り輝く鑑定結果を指差しながら説明をする。その説明を受けて、国王たちも鑑定結果を覗き込む。
「こ、これは!」
そこに書かれていた事に、国王は思わず声を上げてしまう。一緒に見ていた宰相や父親も私たちと同じように顔を青ざめさせていた。
「父上、一体何が書かれていたのですか?」
国王に対して詰め寄っていくフィレン王子。その様子を不安そうに見守っているテール。
重苦しい雰囲気に包まれる部屋の中。一体私たちは何を見たというのだろうか。
「鑑定魔法でいきますわよ」
「ええ、分かりました」
私たちは手を伸ばして呪具に向けて鑑定魔法を使う。
ところが、使った瞬間に呪具は砕けた状態ながらも、私たちの魔法に対しても抵抗を見せる。バチバチと音を立てながら、妨害魔法を展開する呪具。砕け散りながらも抵抗を見せるとは、これを作った奴は相当に性悪な奴だわね。
私たちが魔法を使っている間、周りの魔法使いたちはおろおろとしながらその様子を見守っている。
だけど、こっちだってゲームのヒロインっていうチートな存在なのよ。呪具ごときにこれ以上負けてたまるもんですかっていうのよ。
目の前のミズーナ王女も同じ気持ちなのか、ものすごく真剣な表情をしている。
だけど、呪具はそんな事は知るかと言わんばかりに激しく抵抗を続けている。まったく、なによこの頑固者は!
鑑定魔法は意外と簡単なものだというのに、呪具の抵抗のせいでまったく結果を見る事ができない。まったく腹が立つものだわ。
私たちが連れてきたテールといつの間にかやって来ていたフィレン王子が見守る中、私たちと呪具との格闘はまだ続いている。本当に腹立つ呪具だわね。
「まったく、いい加減にしなさいよ、このすっとこどっこいが!」
思わず私は文句を叫んでいた。
その瞬間、魔力が強くほとばしる。
すると、さっきまで呪具の抵抗にバチバチとしていた魔力の競り合いが一気に小さくなっていく。私の怒りの爆発で、魔力の均衡が崩れたのだ。
(アンマリアの魔力がいきなり強くなったわね。これなら呪具を抑え込めるわ)
チャンスと見たミズーナ王女もここぞとばかりに魔力を強めていく。
転生者二人による強力な魔力に押し切られてしまった呪具。抵抗虚しく私たちの魔力に完全に包み込まれてしまった。
「まったく、手こずらせてくれたわね……」
私もミズーナ王女も肩で息をしている。そのくらいに魔力を消耗してしまったのだ。本当にこの呪具には苦戦させられたものだわね。
「えっと……、肝心の鑑定結果はどうなのかしら……ね」
呼吸がまだ落ち着かない状態ではあるものの、私たちは鑑定結果へと目を向ける。
「ふむ、ずいぶんと厄介な代物のようだね」
私たちが顔を上げて鑑定結果を見ると同時に、男性の声が聞こえてきた。
「ふぃ、フィレン殿下?!」
思わず叫んで後退ってしまう私である。
その私に構う事なく、フィレン王子は空中に表示されている鑑定結果をじっと眺めている。
「すまないが、ちょっと解説を頼みたい」
真剣に眺めながら、フィレン王子は魔法使いたちを呼んでいる。どうにも表示されている内容が理解できないようなのだ。だから、専門家である魔法使いたちに声を掛けているわけなのである。
呼ばれた魔法使いたちが鑑定結果を覗き込む。すると、魔法使いたちはものすごく青ざめた表情をしていた。書いてある内容がすぐに理解できるとは、さすがは専門家といったところね。
「どうした、分かったなら解説をして欲しいのだが?」
フィレン王子が魔法使いたちに声を掛ける。だが、魔法使いたちは震え上がってしまっていて、どうにも話ができる状態ではなかった。
「……この呪具、持ち主から魔力を吸収して発動させるタイプのものみたいですからね。おおよその見当はついていましたよ」
私も鑑定結果を覗き込みながら呟くように説明を始める。
「アンマリア、どういう事が書いてあったんだい?」
フィレン王子が私に内容を確認してくる。しかし、その時の私の表情に気が付いて、思わず息を飲んでしまう。
「フィレン殿下、できれば国王陛下もこの場にお呼び頂けますでしょうか。さすがに、私たちだけで情報を共有するには、事が重大すぎます」
「分かった。父上と宰相、それとアンマリアの父親も呼んでくる」
私のお願いに、フィレン王子は大慌てで部屋を出ていった。
どれほど待っただろうか。フィレン王子は国王たちを連れて部屋へと戻ってきたのだった。
「どうした。この私まで呼ぶとは、一体何事なんだ?」
国王たちは息を切らしている。フィレン王子の訴えを聞いて、仕事の手を止めてやって来たのだろう。
「父上、これをご覧下さい」
「むぅ、それは?」
「私たちの合宿での事件に用いられた呪具の鑑定結果です。私には読み切れませんでしたが、アンマリアたちの顔色が優れないようですので、おそらくはとんでもない事が書かれているのだと思われます」
フィレン王子は呪具の真上で光り輝く鑑定結果を指差しながら説明をする。その説明を受けて、国王たちも鑑定結果を覗き込む。
「こ、これは!」
そこに書かれていた事に、国王は思わず声を上げてしまう。一緒に見ていた宰相や父親も私たちと同じように顔を青ざめさせていた。
「父上、一体何が書かれていたのですか?」
国王に対して詰め寄っていくフィレン王子。その様子を不安そうに見守っているテール。
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