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第八章 3年生後半
第392話 残り半年
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いよいよゲーム本編最後となる3年生の後期が始まった。前世みたいにこの後進学だとか就職だとか騒ぐ必要がないので、ただひたすら勉強をするだけだわね。
最後まで所属していれば普通に学園を卒業できてしまうので、その後はこの学園3年間の頑張りがそのまま跳ね返ってくる。なので、卒業後苦労したくない学生は必死に勉学に励んでいた。
もちろん、私だって苦労はしたくないから勉強は頑張ってるわよ。前世の癖も抜けてないしね。なにより、モモとエスカの勉強も見なきゃいけないから、気が抜けないものね。
3年生の後期とはいえ、大きな催し物といったら学園祭くらい。今年も私は剣術大会には顔を出す予定よ。去年も出てはいたけれど、やっぱり男子生徒の壁は厚かったわね。いくらヒロインチートがあるとはいっても、女性であるからには限度があるもの。
ところがどっこい、家で学園祭の話題が出てくると、父親が予想外な事を言い渡してきた。
「アンマリア、今年は剣術大会に出てはならんぞ」
まさかの親による出場停止である。理由はなんとなく分かるんだけど、納得はしたくなかったわね。
「お父様、去年もおととしも出ているのです。確かに事情は分かるのですが、直前になってから言われても納得いきませんね」
真面目だった前世の性格が、ここにきて親への反抗心となって牙を剥く。ここまで出たのなら皆勤するのは普通でしょうという悪い癖だった。
貴族の体裁と私の意地が戦った結果、私の意地が勝った。父親は私の剣術大会への出場を認めたものの、傷がつく事は許さないという条件を付けてきた。出場できるのならと、私はその条件を飲むことにした。
なんにせよ、これで剣術大会3年連続出場という目的は達成された。完全に魔法系であるカービルとタカー以外は、これで好感度が稼げるのがゲームの仕様だったのよね。まあ、ここは現実なんだけど。
そのやり取りを見ていたモモは本気で心配をしてきたし、エスカにいたっては笑いっぱなしだった。まあ、同じゲームをしていたのなら、状況がよく分かっているものね。
そんなこんなで、それからというもの学園祭に向けた準備が始まった。
その間の学園の講義は、時間を短縮して行われている。最低限の教養は身に付けてもらわないといけないので、講義そのものを削るわけにはいかないので苦肉の策というわけである。
話が決まった翌日の学園で、私たちはいつものように昼食を共にする。
「お姉様ってば、本気で今年も出ますの?」
「ええ、もちろんですよ。守られるだけが女性ではありませんからね」
モモの心配の声に、私はにこやかに返しておく。
「本当にアンマリア様ってばすごいですね。その強さに、私たち親子もすっかりお世話になってしまいました」
去年の一件以降すっかり仲間に加わってテールは、感心したように話している。
ちなみにテールだけれど、魔族の問題が解決した事で今はロートント男爵家に戻っている。もう命を狙われる危険はなくなったのだから。
「今年もアンマリア様と戦えるかもと思うと、私も俄然と燃えてきたというものですよ」
サクラもサクラで予想通りの反応だわね。私もそう思うわ。
私とサクラは相変わらず交流講義でミスミ教官の講義を取っている。そのせいでお互いの事はよく分かっているつもりなのだ。手の内が分かっている相手だからとはいっても、どっちが上かというのはつい気にしてしまいものだからね。
「今年で学生は最後なのですから、直接対決をして決着をつけておきたいですね」
サクラは好戦希望のようである。さすがは脳筋の一族といったところである。
「望むところですよ。タン様も今年は参加されるのでしょうか」
「ええ、彼も参加されるそうですよ。ああ、今から戦いが楽しみでドキドキしてしまいます」
「あは、あははは……」
頬を赤らめながら話すサクラの姿に、思わず笑顔を引きつらせてしまう私である。この思考がバッサーシの一族なのだった。他のみんなも苦笑いである。
「そういえば、テール様も武術型でしたね。ご参加はなさるおつもりですか?」
「わ、私はさすがに出ませんよ。元平民の私では魔法がうまく使えませんので、それで武術型に入ったようなものなのですから」
「あら、あれだけの魔力をお持ちで魔法がそんなに得意ではない。それはさすがにもったいないですね」
慌てているテールに対して、ラムがにこやかに話していた。ラムは公爵令嬢というのもあるし、魔法を得意としているからこその発言というものだった。
「今からでも、魔法を身に付けられるでしょうか……」
「可能ですよ。20歳を過ぎてから魔法を習い始めた方も過去にはいらっしゃるようですし、遅いという事はないと思います」
にっこりと微笑んで返すラムに、ほっと安心したような表情を見せるテール。この様子では魔法を使って見たかったようだった。
「わたくしでよろしければ、お教え致しますよ」
「は、はい。よろしくお願いします」
剣術大会の話だったはずなのに、なんか魔法の話がまとまっちゃったわね。
でも、こういった話ができるくらいには平穏な日常が戻ってきたってことよね。うん、やっぱり平和が一番ね。
心の底からそう思う私なのであった。
最後まで所属していれば普通に学園を卒業できてしまうので、その後はこの学園3年間の頑張りがそのまま跳ね返ってくる。なので、卒業後苦労したくない学生は必死に勉学に励んでいた。
もちろん、私だって苦労はしたくないから勉強は頑張ってるわよ。前世の癖も抜けてないしね。なにより、モモとエスカの勉強も見なきゃいけないから、気が抜けないものね。
3年生の後期とはいえ、大きな催し物といったら学園祭くらい。今年も私は剣術大会には顔を出す予定よ。去年も出てはいたけれど、やっぱり男子生徒の壁は厚かったわね。いくらヒロインチートがあるとはいっても、女性であるからには限度があるもの。
ところがどっこい、家で学園祭の話題が出てくると、父親が予想外な事を言い渡してきた。
「アンマリア、今年は剣術大会に出てはならんぞ」
まさかの親による出場停止である。理由はなんとなく分かるんだけど、納得はしたくなかったわね。
「お父様、去年もおととしも出ているのです。確かに事情は分かるのですが、直前になってから言われても納得いきませんね」
真面目だった前世の性格が、ここにきて親への反抗心となって牙を剥く。ここまで出たのなら皆勤するのは普通でしょうという悪い癖だった。
貴族の体裁と私の意地が戦った結果、私の意地が勝った。父親は私の剣術大会への出場を認めたものの、傷がつく事は許さないという条件を付けてきた。出場できるのならと、私はその条件を飲むことにした。
なんにせよ、これで剣術大会3年連続出場という目的は達成された。完全に魔法系であるカービルとタカー以外は、これで好感度が稼げるのがゲームの仕様だったのよね。まあ、ここは現実なんだけど。
そのやり取りを見ていたモモは本気で心配をしてきたし、エスカにいたっては笑いっぱなしだった。まあ、同じゲームをしていたのなら、状況がよく分かっているものね。
そんなこんなで、それからというもの学園祭に向けた準備が始まった。
その間の学園の講義は、時間を短縮して行われている。最低限の教養は身に付けてもらわないといけないので、講義そのものを削るわけにはいかないので苦肉の策というわけである。
話が決まった翌日の学園で、私たちはいつものように昼食を共にする。
「お姉様ってば、本気で今年も出ますの?」
「ええ、もちろんですよ。守られるだけが女性ではありませんからね」
モモの心配の声に、私はにこやかに返しておく。
「本当にアンマリア様ってばすごいですね。その強さに、私たち親子もすっかりお世話になってしまいました」
去年の一件以降すっかり仲間に加わってテールは、感心したように話している。
ちなみにテールだけれど、魔族の問題が解決した事で今はロートント男爵家に戻っている。もう命を狙われる危険はなくなったのだから。
「今年もアンマリア様と戦えるかもと思うと、私も俄然と燃えてきたというものですよ」
サクラもサクラで予想通りの反応だわね。私もそう思うわ。
私とサクラは相変わらず交流講義でミスミ教官の講義を取っている。そのせいでお互いの事はよく分かっているつもりなのだ。手の内が分かっている相手だからとはいっても、どっちが上かというのはつい気にしてしまいものだからね。
「今年で学生は最後なのですから、直接対決をして決着をつけておきたいですね」
サクラは好戦希望のようである。さすがは脳筋の一族といったところである。
「望むところですよ。タン様も今年は参加されるのでしょうか」
「ええ、彼も参加されるそうですよ。ああ、今から戦いが楽しみでドキドキしてしまいます」
「あは、あははは……」
頬を赤らめながら話すサクラの姿に、思わず笑顔を引きつらせてしまう私である。この思考がバッサーシの一族なのだった。他のみんなも苦笑いである。
「そういえば、テール様も武術型でしたね。ご参加はなさるおつもりですか?」
「わ、私はさすがに出ませんよ。元平民の私では魔法がうまく使えませんので、それで武術型に入ったようなものなのですから」
「あら、あれだけの魔力をお持ちで魔法がそんなに得意ではない。それはさすがにもったいないですね」
慌てているテールに対して、ラムがにこやかに話していた。ラムは公爵令嬢というのもあるし、魔法を得意としているからこその発言というものだった。
「今からでも、魔法を身に付けられるでしょうか……」
「可能ですよ。20歳を過ぎてから魔法を習い始めた方も過去にはいらっしゃるようですし、遅いという事はないと思います」
にっこりと微笑んで返すラムに、ほっと安心したような表情を見せるテール。この様子では魔法を使って見たかったようだった。
「わたくしでよろしければ、お教え致しますよ」
「は、はい。よろしくお願いします」
剣術大会の話だったはずなのに、なんか魔法の話がまとまっちゃったわね。
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