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第86話 本の虫、ステラ
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コリーヌ帝国にやって来てからはすっかりお姫様ドレスで動いているステラ。
アンペラトリスに話をして、ようやくコリーヌ帝国の書庫へと立ち入ることができるようになったので、そのお姫様ドレスをふわふわとさせながら廊下を歩いていた。
冒険者生活が長いとはいえども、エルミタージュ王族として培った王族としての振る舞いは忘れていなかったのである。
途中で兵士に止められはしたものの、アンペラトリスから渡された首飾りを落ち着いて見せる。すると、兵士たちは驚いたようにしながらも、ステラを見逃していた。
「書庫ならこの先の扉がそうだ。扉の真ん中に本のデザインの刻まれているから、すぐに分かるともうぞ」
「ありがとうございます。私、一杯勉強しますからね」
「ああ、頑張ってくれ」
兵士と簡単に言葉を交わしたステラは、嬉しそうな表情で書庫へと向かっていった。
しばらく進むと、警戒にあたっている兵士の話に出てきたとおり、本の意匠が刻まれた扉が見つかった。ここがコリーヌ帝国の書庫で間違いないようだ。
(えっと……。確か、扉の取っ手に首飾りをかざせばいいんでしたっけか)
ステラはアンペラトリスから聞いた通りに、首から外した首飾りを扉の取っ手にかざす。
すると、ガチャリと扉が開いて中に入れるようになった。どうやら扉も魔道具のようである。
中に入ると、部屋の中に明かりがともる。これだけでも驚かされたのだが、その書庫の規模にステラは圧倒される。
「うわぁ……、すごい数の本。どこからこんなに集めてきたのかしら」
辺り一面に並ぶ本棚と、そこに納められた書物の数々。少なくとも数年というレベルの話ではなかった。
「これだけあれば、かなりの日数通い詰めれそうですね。私に足りないもののひとつである知識を、どこまで得られるでしょうか」
ステラは意気込んでいた。
ステラが知見を得ようとするのは理由があった。
それというのも冒険者としての生活が長くて、あちこちを転々としてきたことが影響している。
特に最初の方なんて生活に慣れることに必死だったので、周りを気にしている余裕などなかったのだ。
ある程度経ってから冒険者としての生活が板についてくると、必要のない情報に対しての興味関心が薄れてしまっていた。冒険者として生きていくことを決め込んだがための副作用なのだ。
ところが、ここにきてエルミタージュ王国の復興という目標ができてしまった。なので、そのために必要な知識を仕入れに、コリーヌ帝国の書庫へ来たというわけである。
改めて書庫の中を見て回るステラ。あまりの蔵書の多さに圧倒されながらも、ひとまずは自分に必要そうな情報を探して書庫の中をさまよう。
さすがに王族として教育されていたし、生活のために必要だったとあって、書庫にある本の背表紙の題名はすべて読む事ができていた。
「やはり、コリーヌ帝国の成り立ちからでしょうね。こういう歴史書は、当時の情勢を振り返るには一番ですから」
にこやかに独り言を話しながら、コリーヌ帝国史と書かれた本を引っ張り出していくステラ。
歴史書を手にしたステラは、書庫内に備え付けられた読書スペースへと移動する。
周りを見ていて気が付いたステラだったが、よく見ると部屋には窓というものがなかった。
(本は陽の光に弱いと聞きます。おそらくは本の状態を長くもたせるために、あえて窓を設けていないのでしょうね)
歴史書を平積みにした状態で、ステラはそのように考えていた。
よく思えば、書庫に入った時点では真っ暗だったのだ。これに気が付いた時点で、ステラの心はわくわくし始めていた。
だがしかし、まずはこれまで大陸でどんな事があったのか知るところから始める。そのための歴史書なのである。時間の許す限り、この日のステラは本を読みふけったのだった。
すっかり歴史書を読むのに集中していたステラ。
さすがに疲れたのでふと顔を上げたのだが、その時に思わぬ違和感を感じた。
(あれ? なんだか部屋の中の雰囲気が変わっていませんか?)
そう、さっきまでとはなんだか様子が違っていたのだ。
わけが分からず首を傾げているステラ。するとそこへ、思いもしなかった人物がやって来た。
「やはりここにいたか、ステラリア」
「皇帝陛下!?」
やって来たのはアンペラトリスだった。息を切らせた様子が見られたので、ステラは驚いているのである。
「まったく、昼に姿を見せなかった時はそこまで気にしなかったが、さすがに集中し過ぎだ。もう夜ぞ、早く来て食事にしなさい」
「ええ?!」
続けて出てきた言葉に、さらに驚くステラ。なんともう夜になっているというのだ。
「この部屋の照明は、時間帯によって色が変わる。今みたいに青っぽい色が混ざると、もう夜になったということなのだ」
「な、なるほど……。それで違和感を感じたのですね」
違和感の正体を知って納得するステラである。
ぐうぅ~……。
その時、部屋の中に大きな音が鳴り響く。ステラのお腹の音だった。
自分から発せられたと気が付いたステラは、顔を真っ赤にしていた。
「ふはははっ、そなたもそういうことがあるのだな。さっ、早く食堂に移動して夕食にしようではないか」
「は、はい。そうします……」
恥ずかしくて目を泳がせるステラである。
その経験から、翌日からは早めに読書を切り上げることを心に誓ったステラなのであった。
アンペラトリスに話をして、ようやくコリーヌ帝国の書庫へと立ち入ることができるようになったので、そのお姫様ドレスをふわふわとさせながら廊下を歩いていた。
冒険者生活が長いとはいえども、エルミタージュ王族として培った王族としての振る舞いは忘れていなかったのである。
途中で兵士に止められはしたものの、アンペラトリスから渡された首飾りを落ち着いて見せる。すると、兵士たちは驚いたようにしながらも、ステラを見逃していた。
「書庫ならこの先の扉がそうだ。扉の真ん中に本のデザインの刻まれているから、すぐに分かるともうぞ」
「ありがとうございます。私、一杯勉強しますからね」
「ああ、頑張ってくれ」
兵士と簡単に言葉を交わしたステラは、嬉しそうな表情で書庫へと向かっていった。
しばらく進むと、警戒にあたっている兵士の話に出てきたとおり、本の意匠が刻まれた扉が見つかった。ここがコリーヌ帝国の書庫で間違いないようだ。
(えっと……。確か、扉の取っ手に首飾りをかざせばいいんでしたっけか)
ステラはアンペラトリスから聞いた通りに、首から外した首飾りを扉の取っ手にかざす。
すると、ガチャリと扉が開いて中に入れるようになった。どうやら扉も魔道具のようである。
中に入ると、部屋の中に明かりがともる。これだけでも驚かされたのだが、その書庫の規模にステラは圧倒される。
「うわぁ……、すごい数の本。どこからこんなに集めてきたのかしら」
辺り一面に並ぶ本棚と、そこに納められた書物の数々。少なくとも数年というレベルの話ではなかった。
「これだけあれば、かなりの日数通い詰めれそうですね。私に足りないもののひとつである知識を、どこまで得られるでしょうか」
ステラは意気込んでいた。
ステラが知見を得ようとするのは理由があった。
それというのも冒険者としての生活が長くて、あちこちを転々としてきたことが影響している。
特に最初の方なんて生活に慣れることに必死だったので、周りを気にしている余裕などなかったのだ。
ある程度経ってから冒険者としての生活が板についてくると、必要のない情報に対しての興味関心が薄れてしまっていた。冒険者として生きていくことを決め込んだがための副作用なのだ。
ところが、ここにきてエルミタージュ王国の復興という目標ができてしまった。なので、そのために必要な知識を仕入れに、コリーヌ帝国の書庫へ来たというわけである。
改めて書庫の中を見て回るステラ。あまりの蔵書の多さに圧倒されながらも、ひとまずは自分に必要そうな情報を探して書庫の中をさまよう。
さすがに王族として教育されていたし、生活のために必要だったとあって、書庫にある本の背表紙の題名はすべて読む事ができていた。
「やはり、コリーヌ帝国の成り立ちからでしょうね。こういう歴史書は、当時の情勢を振り返るには一番ですから」
にこやかに独り言を話しながら、コリーヌ帝国史と書かれた本を引っ張り出していくステラ。
歴史書を手にしたステラは、書庫内に備え付けられた読書スペースへと移動する。
周りを見ていて気が付いたステラだったが、よく見ると部屋には窓というものがなかった。
(本は陽の光に弱いと聞きます。おそらくは本の状態を長くもたせるために、あえて窓を設けていないのでしょうね)
歴史書を平積みにした状態で、ステラはそのように考えていた。
よく思えば、書庫に入った時点では真っ暗だったのだ。これに気が付いた時点で、ステラの心はわくわくし始めていた。
だがしかし、まずはこれまで大陸でどんな事があったのか知るところから始める。そのための歴史書なのである。時間の許す限り、この日のステラは本を読みふけったのだった。
すっかり歴史書を読むのに集中していたステラ。
さすがに疲れたのでふと顔を上げたのだが、その時に思わぬ違和感を感じた。
(あれ? なんだか部屋の中の雰囲気が変わっていませんか?)
そう、さっきまでとはなんだか様子が違っていたのだ。
わけが分からず首を傾げているステラ。するとそこへ、思いもしなかった人物がやって来た。
「やはりここにいたか、ステラリア」
「皇帝陛下!?」
やって来たのはアンペラトリスだった。息を切らせた様子が見られたので、ステラは驚いているのである。
「まったく、昼に姿を見せなかった時はそこまで気にしなかったが、さすがに集中し過ぎだ。もう夜ぞ、早く来て食事にしなさい」
「ええ?!」
続けて出てきた言葉に、さらに驚くステラ。なんともう夜になっているというのだ。
「この部屋の照明は、時間帯によって色が変わる。今みたいに青っぽい色が混ざると、もう夜になったということなのだ」
「な、なるほど……。それで違和感を感じたのですね」
違和感の正体を知って納得するステラである。
ぐうぅ~……。
その時、部屋の中に大きな音が鳴り響く。ステラのお腹の音だった。
自分から発せられたと気が付いたステラは、顔を真っ赤にしていた。
「ふはははっ、そなたもそういうことがあるのだな。さっ、早く食堂に移動して夕食にしようではないか」
「は、はい。そうします……」
恥ずかしくて目を泳がせるステラである。
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