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第4話 未知の惑星?
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アーツが購入した航宙船は小さいものの、最低限の設備が揃っている。それというのも、両親が関わったからだ。
大事な息子のためを考えてかなり奮発したために、設備がかなり揃っている。医務室があるのもそのためだ。
そして、冒険をするようなことがあれば、いろんな知識が必要になる。そのための設備までが備わっていた。
ニックがやって来たのはその設備だった。
「こんなものまであるなんてな、驚きだぜ」
「航宙冒険家でも夢見ていたんでしょうね。船の設備を見回っていてびっくりしました」
アーツが目を見開いて部屋を見回していると、ニックは眼鏡をくいっと動かして説明している。
ニックの指示で、その部屋の中央にある台に、先程倒した虫を乗せる。
アーツとレンクスも、目の前のものが虫だということは、ざっくりとした知識から分かっていた。しかし、それが一体何なのかは、まったく分からなかった。
「生活などに必要なシステムはほぼ生きていますから、これを調べて結果が出るまではそう時間がかからないでしょう。ちょっと待ってて下さいね」
「ああ、よろしく頼むぞ」
ニックが設備を触り始め、目の前に置かれた虫を調べ始める。
しばらくして、天井とテーブルとの間でスキャンが行われると、空中に虫を調べた結果が表示され始める。
「なんて書いてあるんだ?」
「ちょっと待って下さい。そんなに急かしてもすぐには分かりませんよ」
ニックが再び眼鏡をいじりながら、じっと表示された内容を確認している。
「……結果が出ましたね。この虫は『アリ』と呼ばれる昆虫とのことです」
「これがアリ?!」
ニックが伝えた検査結果に、アーツもレンクスも大声で叫んでいた。
「バカ言え。アリっていったらこんなちんまいやつだろ。人間並みのデカさってどんだけなんだ?」
アーツが指でアリの大きさを示しながらニックに反論をしている。だが、ニックは首を横に振って認めようとしない。
「この航宙船のシステムが出した答えです。間違っているとは思えませんね。僕が見た判断でも、これは骨格などの状態からいってアリで間違いありませんから」
ニックはきっぱりと言い切っていた。
ここまで言われてしまえば、専門外であるアーツとレンクスは黙って認めるしかなかった。
「アーツ、レンクス。このアリ以外にも何か見かけませんでしたか?」
ニックはさらにアーツたちに迫っていく。
この迫力には二人も逆らえなかったようで、仕方なくさっき撮影した巨大生物の写真を見せることにした。
「これは、爬虫類ですかね」
「爬虫類?」
「ええ、トカゲといった方がいいでしょうか。陸上で生活する肺呼吸をするうろこを持った生物たちのことを言います。かつて、僕たちの祖先が住んでいた地球に存在しているらしいですが、今では一部のコレクターの間での取引でしか見られなくなりましたね」
説明をしながらも、ニックはさらにじっと画像を覗き込んでいる。
「周りの木々の状態から察するに、体長は20メートルから30メートルといったところでしょうか。となると、文献で読んだ恐竜というものでしょうかね」
「恐竜?」
またよく分からない単語が出てきたので、アーツとレンクスが首を捻っている。
ニックの説明によれば、恐竜というのは数千万年から数億年前に地球という星の地上を席巻していた爬虫類の総称なのだという。
「それじゃ何か? 俺たちはその恐竜時代に迷い込んだというのか?」
「断定はできませんが、可能性はありますね。その断定できない理由が、ここにいるアリなんですけれど」
ニックはテーブルの上に乗せられたアリを見ている。
「アリはこんなに大きな体になることはなかったはずです。なので、恐竜時代に似たどこかの惑星という可能性が捨てられません。もっと、調査をする必要があります」
「そうか……。だが、いつまでもこんなところにいるつもりはない。ニック、修理を頼むぞ」
「分かりました。僕もこんなどことも分からない場所で死にたくないですからね」
アーツがニックをしっかりと見ると、ニックは大きく頷いて、航宙船の修理を約束した。
外から戻ってきたアーツたちは、一度落ち着こうとして操舵室へとやって来る。
窓から見えた光景に、アーツたちは思わず息を飲んでしまう。
「おい、ブラン、クロノ、ちょっと来い」
医務室で待機する少女二人に向かって、大声で呼び掛けるアーツ。
声に驚いて、ブランとクロノがゆっくりと操舵室に姿を見せた。
「なによ、アーツ。私ケガ人なんだから、静かにしてよね」
「何を言ってるんだ、これを見ろよ」
アーツは二人に呼び掛けながら、窓のを外を指差した。
そこには、赤く染まった空が広がっていたのだ。
生まれてからずっと宇宙空間で育ってきたアーツたちが見る、初めての夕日である。
ニックだけ仲間外れなのはよろしくないと、レンクスが力づくでニックを連れてきた。
「何をするんですか。探求心を邪魔しないで下さい」
「いいから窓の外を見ろ」
床にぽいっと放り出されたニックは、言われた通り渋々と窓の外を見る。
「これは……、これが噂に聞いた夕焼けですか! なんと美しい光景なんでしょうか」
ニックですら、赤く染まった空に感動していた。
しかし、航宙船が不時着した現在、これからここでどれだけの期間過ごすことになるのか分からない。
夕焼けに感動しつつも、不安も同時に五人に少しずつ忍び寄っていた。
不時着初日の夜を迎え、様々な思いを胸に五人は眠りについたのだった。
大事な息子のためを考えてかなり奮発したために、設備がかなり揃っている。医務室があるのもそのためだ。
そして、冒険をするようなことがあれば、いろんな知識が必要になる。そのための設備までが備わっていた。
ニックがやって来たのはその設備だった。
「こんなものまであるなんてな、驚きだぜ」
「航宙冒険家でも夢見ていたんでしょうね。船の設備を見回っていてびっくりしました」
アーツが目を見開いて部屋を見回していると、ニックは眼鏡をくいっと動かして説明している。
ニックの指示で、その部屋の中央にある台に、先程倒した虫を乗せる。
アーツとレンクスも、目の前のものが虫だということは、ざっくりとした知識から分かっていた。しかし、それが一体何なのかは、まったく分からなかった。
「生活などに必要なシステムはほぼ生きていますから、これを調べて結果が出るまではそう時間がかからないでしょう。ちょっと待ってて下さいね」
「ああ、よろしく頼むぞ」
ニックが設備を触り始め、目の前に置かれた虫を調べ始める。
しばらくして、天井とテーブルとの間でスキャンが行われると、空中に虫を調べた結果が表示され始める。
「なんて書いてあるんだ?」
「ちょっと待って下さい。そんなに急かしてもすぐには分かりませんよ」
ニックが再び眼鏡をいじりながら、じっと表示された内容を確認している。
「……結果が出ましたね。この虫は『アリ』と呼ばれる昆虫とのことです」
「これがアリ?!」
ニックが伝えた検査結果に、アーツもレンクスも大声で叫んでいた。
「バカ言え。アリっていったらこんなちんまいやつだろ。人間並みのデカさってどんだけなんだ?」
アーツが指でアリの大きさを示しながらニックに反論をしている。だが、ニックは首を横に振って認めようとしない。
「この航宙船のシステムが出した答えです。間違っているとは思えませんね。僕が見た判断でも、これは骨格などの状態からいってアリで間違いありませんから」
ニックはきっぱりと言い切っていた。
ここまで言われてしまえば、専門外であるアーツとレンクスは黙って認めるしかなかった。
「アーツ、レンクス。このアリ以外にも何か見かけませんでしたか?」
ニックはさらにアーツたちに迫っていく。
この迫力には二人も逆らえなかったようで、仕方なくさっき撮影した巨大生物の写真を見せることにした。
「これは、爬虫類ですかね」
「爬虫類?」
「ええ、トカゲといった方がいいでしょうか。陸上で生活する肺呼吸をするうろこを持った生物たちのことを言います。かつて、僕たちの祖先が住んでいた地球に存在しているらしいですが、今では一部のコレクターの間での取引でしか見られなくなりましたね」
説明をしながらも、ニックはさらにじっと画像を覗き込んでいる。
「周りの木々の状態から察するに、体長は20メートルから30メートルといったところでしょうか。となると、文献で読んだ恐竜というものでしょうかね」
「恐竜?」
またよく分からない単語が出てきたので、アーツとレンクスが首を捻っている。
ニックの説明によれば、恐竜というのは数千万年から数億年前に地球という星の地上を席巻していた爬虫類の総称なのだという。
「それじゃ何か? 俺たちはその恐竜時代に迷い込んだというのか?」
「断定はできませんが、可能性はありますね。その断定できない理由が、ここにいるアリなんですけれど」
ニックはテーブルの上に乗せられたアリを見ている。
「アリはこんなに大きな体になることはなかったはずです。なので、恐竜時代に似たどこかの惑星という可能性が捨てられません。もっと、調査をする必要があります」
「そうか……。だが、いつまでもこんなところにいるつもりはない。ニック、修理を頼むぞ」
「分かりました。僕もこんなどことも分からない場所で死にたくないですからね」
アーツがニックをしっかりと見ると、ニックは大きく頷いて、航宙船の修理を約束した。
外から戻ってきたアーツたちは、一度落ち着こうとして操舵室へとやって来る。
窓から見えた光景に、アーツたちは思わず息を飲んでしまう。
「おい、ブラン、クロノ、ちょっと来い」
医務室で待機する少女二人に向かって、大声で呼び掛けるアーツ。
声に驚いて、ブランとクロノがゆっくりと操舵室に姿を見せた。
「なによ、アーツ。私ケガ人なんだから、静かにしてよね」
「何を言ってるんだ、これを見ろよ」
アーツは二人に呼び掛けながら、窓のを外を指差した。
そこには、赤く染まった空が広がっていたのだ。
生まれてからずっと宇宙空間で育ってきたアーツたちが見る、初めての夕日である。
ニックだけ仲間外れなのはよろしくないと、レンクスが力づくでニックを連れてきた。
「何をするんですか。探求心を邪魔しないで下さい」
「いいから窓の外を見ろ」
床にぽいっと放り出されたニックは、言われた通り渋々と窓の外を見る。
「これは……、これが噂に聞いた夕焼けですか! なんと美しい光景なんでしょうか」
ニックですら、赤く染まった空に感動していた。
しかし、航宙船が不時着した現在、これからここでどれだけの期間過ごすことになるのか分からない。
夕焼けに感動しつつも、不安も同時に五人に少しずつ忍び寄っていた。
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